2011-08-27創刊 ISSN 2189-1621
人文情報学月報
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄Digital Humanities Monthly
2017-04-30発行 No.069 第69号【後編】 661部発行
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◇ 目次 ◇
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【前編】
◇《巻頭言》「人文学における市民参加と人文情報学」
(橋本雄太:国立歴史民俗博物館)
◇《連載》「Digital Japanese Studies寸見」第25回
「Adobe・Google、中日韓対応の明朝体フォントを公開」
(岡田一祐:東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所)
【後編】
◇人文情報学イベントカレンダー
◇イベントレポート
「デジタルアーカイブ学会設立総会に参加して気がついたこと・期待すること」
(永崎研宣:人文情報学研究所)
◇編集後記
◇奥付
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【人文情報学/Digital Humanitiesに関する様々な話題をお届けします。】
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◇人文情報学イベントカレンダー(□:新規掲載イベント)
【2017年5月】
■2017-05-13(Sat):
情報処理学会 人文科学とコンピュータ研究会 第114回研究発表会
(於・京都府/龍谷大学アバンティ響都ホール)
http://jinmoncom.jp/index.php?CH114
■2017-05-27(Sat)~2017-05-28(Sun):
情報知識学会 第25回(2017年度)年次大会
(於・京都府/同志社大学今出川キャンパス)
http://www.jsik.jp/?2017cfp
□2017-05-30(Tue):
人文学オープンデータ共同利用センター 第3回CODHセミナー
「人文学でのDOI活用-研究データや所蔵品など研究資源へのDOI付与」
(於・東京都/国立情報学研究所)
http://codh.rois.ac.jp/seminar/doi-for-humanities-data-20170530/
【2017年6月】
■2017-06-05(Mon)~2017-06-09(Fri):
2017 IIIF Conference in Vatican
(於・バチカン市国/Institutum Patristicum Augustinianum)
http://iiif.io/event/2017/vatican/
■2017-06-10(Sat)~2017-06-11(Sun):
2017年度アート・ドキュメンテーション学会年次大会
(於・東京都/東京工業大学大岡山キャンパス)
http://d.hatena.ne.jp/JADS/20161220/1482225138
【2017年7月】
□2017-05-30(Tue):
デジタルアーカイブ学会 第1回研究大会「デジタルアーカイブの拓く未来」
(於・岐阜県/岐阜女子大学 文化情報研究センター)
http://www.gijodai.jp/jyouhou/info/2017/04/1414
Digital Humanities Events カレンダー共同編集人
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小林雄一郎(日本大学生産工学部)
瀬戸寿一(東京大学空間情報科学研究センター)
佐藤 翔(同志社大学免許資格課程センター 助教)
永崎研宣(一般財団法人人文情報学研究所)
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◇イベントレポート
「デジタルアーカイブ学会設立総会に参加して気がついたこと・期待すること」
(永崎研宣:人文情報学研究所)
2017年4月15日、デジタルアーカイブ学会の設立総会が開催された。この学会が具
体的にどういう姿を目指そうとしているのか、十分に理解できているとは言えない
のだが、筆者自身のこれまでの活動と内容的には浅からぬ関係がありそうだったの
で筆者も参加させていただいた。
この学会に期待することについては、この設立総会の少し前に自分のブログにメ
モを残した。( http://digitalnagasaki.hatenablog.com/entry/2017/04/15/131432
)その後、総会に参加してみたが、このブログに書いたことについては引き続き同
じ感想を持ったので、本記事の末尾にこれを再掲させていただきたい。それ以外の
感想として、学会の趣意書が目指すように、研究者というよりはむしろ実務者や、
研究者であっても比較的実務的な関心から来ている人が多かったようであったこと
と、総会後の懇親会が熱気にあふれたものであったように思えたことが印象的であ
った。筆者自身も、こういった活動については実務的関心が強く、また、その必要
性を痛感していることから、この学会が実務的な事柄に関する情報共有の場の一つ
として機能していくことができるなら、大いに有効に機能していくのではないかと
期待したところであった。しかしながら、学会という学術界の慣習的制度がある限
られた分野の研究者同士の情報共有の場をオーソライズする機能を持ってきたのだ
としたら、実務者・実践者による情報共有の場をオーソライズするということを学
会という名の下でどのようになしえるのか、ということについては、今後の展開に
期待したい。
それから、最後に、この学会の設立趣意書ということで下記のブログ記事からリ
ンクを張ったURLが本記事執筆時点では「404 Error - Page not Found」となってし
まっていることについて触れておきたい。このように、デジタルアーカイブという
名前を冠する学会でさえこの短期間のURLの持続性を確保できないということは、昨
今議論されるパーマリンクやDOIといった問題が、実はそれほど容易に解決できる問
題でなく、相応のコストを支払う必要がある事柄であり、そういったことにきちん
と対応できている学会や組織は、おそらくは何らかの形でかなりのコストをそこに
かけてきたということを端的に表しているとみるべきだろう。これまで様々な学会
や組織でWebサイト運営に関わってきた立場から見ると、関係者のうちの誰かが専門
家でないにも関わらずそれなりの時間をかけてこういった事柄について学習して、
さらに実作業の手間暇もかけるか、あるいは、専門家に相応の費用をかけて依頼す
る、といったことを通じて、こういった問題は局所的に解決されてきていたに過ぎ
ないように思える。近年では機関リポジトリのハンドルシステムや、JaLCの立ち上
げによる日本の各関係機関でのDOI付与といった形で、学術資源に関しては全体的に
状況が整備されるようになりつつあるが、同時に、そのコストも可視化されるよう
になりつつある。結果として、そのコストを負担できないコミュニティの行く末を
どうするかという問題にも踏み込んで行かざるを得ないという厳しい現状もまた可
視化されつつある。デジタルアーカイブ学会に関しては、今後は、学会として設立
されたことで、会費収入や参加する関係者を通じてこういった問題にコストをある
程度かけられるようになり、今後は速やかに解決されていくと思われるが、この件
に限らず、デジタル媒体上のアーカイビングにまつわる様々な課題については、た
だ議論の場となるだけでなく、この学会が目指す政策形成に向けた議論の展開をは
じめとする様々な学会の活動そのものをいかにしてデジタルアーカイビングするか、
ということについても、モデルになるような活動を提示していただけたらと期待し
ている。
(以下、ブログ記事の引用)
20170415
デジタルアーカイブ学会設立総会に向けて期待すること
さて、本日は夕方からデジタルアーカイブ学会設立総会に参加する予定です。す
でにWebサイトには「デジタルアーカイブ学会設立趣意書」が公開されていますので、
目指す方向はここで提示されているものと思われます。
これを拝見してまず思ったことは、学会に副題をつけるとわかりやすくなるかも
しれない、ということです。たとえば、「デジタル知識基盤社会のための政策形成
に向けて」などといったような感じです。「デジタルアーカイブ」という呼称だけ
だと、「何がデジタルアーカイブか」という終わりがなく生産性の低い議論を呼び
起こしがちなので、それを避けるための一工夫があるとよいのではないかと思った
ところです。
趣意書を私が理解したところでは、かつてキャリア官僚が、最近はシンクタンク
が担ってきたようなことを、これからは学会が担うのだ、という話のように読めま
す。かつて県立大学の教員をしていた頃に地方自治体で某総研会社の人と仕事をし
た身としては、確かに、シンクタンクの力は大きくて、しかもそこにそれなりのお
金も流れているようだった、ということを思い出しつつ、ああいう仕事を学会と名
付けられた組織が担うことが可能なのだろうか、ということは若干気になるところ
ではあります。知る限りでは(すごく狭い経験ですが)、シンクタンクは、調査力
だけでなく見せ方が上手で、そこにも相当のリソースを投入しているであろうこと
が想像されますので、それにとって代わろうとするなら、同じ事を肩代わりする必
要はないにせよ、相当な説得力のある何かは提示できる必要があろうかと思います。
それが、「中央省庁から民間企業、地域の草の根の活動までが、高い次元で車座的
に話し合い、共に考え」ることなのだろうと想像していますが、そのような場をど
ういう風に形成していくのか、今後に期待したいところです。
それから、「デ ジタルアーカイブに関わる諸学会、研究者を繋ぎ、共通の認識基
盤を形成しながら、こうした具体的課 題に取り組んでいきます」とのこと、設立準
備委員会が主導してこれを進めているのだと思いますが、これについては、とにか
く、うまくやっていただけたらと思っております。
最後の段落では、すべてのステイクホルダーへの呼びかけ、価値のあることだと
思います。難しいことではありますが、声が大きな人だけでなく、関係者皆が参加
意識を持てるような形になってもらえたらと思っております。ちょうど10年前に、
この種のステイクホルダーの問題について人文科学とコンピュータシンポジウムで
発表したことがありますが(「人文科学のためのデジタル・アーカイブにおけるス
テイクホルダー」)、この趣意書での議論は政策としての基盤というところから立
ち上げていこうということなので、話としてはもっと大きくなるのだろうと思いま
す。この種の問題に技術・実務・研究の面からそれなりの期間関わってきた経験か
らしますと、とりわけ、人事ローテーションでたまたまデジタル知識基盤に数年間
の仕事として関わる人たちと、仕事でデジタル知識基盤を利用するユーザや所蔵者、
創作者、提供者、作成者(企業含む)等の立場でずっと仕事として関わり続ける人
たち、それから、たまにちょっと関心を持ったときだけ利用するようなライトユー
ザ(これは、ヘビーユーザと区別すべきでない、という議論もありますが、区別し
た方が良い状況が確かに存在します)との感覚の違いをうまく乗り越えて議論でき
るような場を作ってくださるとありがたいと思っております。
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配信の解除・送信先の変更は、
http://www.mag2.com/m/0001316391.html
からどうぞ。
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◆編集後記(編集室:ふじたまさえ)
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今月の人文情報学月報は、いかがでしたか?今回は比較的コンパクトな文量でし
たが、内容はいつも通り、濃いものになっていたと思います。ご寄稿いただいた皆
さま、ありがとうございました!
巻頭言にて橋本さんがおっしゃっている人文情報学も市民に開かれる方向性を組
み込んでいくべきではないか、というご指摘は、これまであまり目を向けられてい
なかった視点なのではないかと思いました。クラウドソーシングによって、参加す
る側は楽しみながらその分野に貢献できるという仕組みが確立しつつあります。研
究者だけでなくあらゆる人に、人文情報学の価値を伝えていくことは本メールマガ
ジンの本来の趣旨にも沿った重要な点です。
また、岡田さんの連載でご紹介いただいているフォントの話題についても、プレ
スリリースをちらっと目にしていたものの、その製作側やこれまでのフォントの変
遷について知らなかった部分も多くあり、大変勉強になりました。イベントレポー
トにあった「デジタルアーカイブ学会」についても貴重な視点の意見をご提供頂い
たと思います。
次号もお楽しみに。
◆人文情報学月報編集室では、国内外を問わず各分野からの情報提供をお待ちして
います。
情報提供は人文情報学編集グループまで...
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人文情報学月報 [DHM069]【後編】 2017年04月30日(月刊)
【発行者】"人文情報学月報"編集室
【編集者】人文情報学研究所&ACADEMIC RESOURCE GUIDE(ARG)
【 ISSN 】2189-1621
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