ISSN 2189-1621

 

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《巻頭言》「文学部教員から見た人文情報学」

◇《巻頭言》「文学部教員から見た人文情報学」
 (小林正人:東京大学文学部)

 大学生の時なけなしの貯金で買ったMS-DOSのパソコンでawkを学び始めて以来、自
分なりに工夫してコンピュータを人文学に使ってきたため、人文情報学という言葉
をはじめて聞いたときは、かすかな違和感を覚えた。十六、十七世紀にヨーロッパ
の大学を人文主義が席巻したとき、旧来のスコラ的人文学は長い闘争の後、消えて
いったという。人文情報学というときも、ただの人文学と人文情報学の二種類があ
って、前者はいずれ駆逐される遅れた人文学という言外の意味を感じるのは、文学
部教員の妄想だろうか。そう考えていると、文学部の先輩で、筆者よりはるかに先
端的な情報技術の活用をしてこられた苫米地等流先生の記事を本誌10号で読み、人
文情報学の専門家にもよく似た懸念があることを知った。人文学から見える人文情
報学について自分でももう少し考えてみたい。

《特集》「デジタル学術資料の現況から」第10回 CADAL(China Academic Digital Associative Library)利用レポート

◇《特集》「デジタル学術資料の現況から」第10回
CADAL(China Academic Digital Associative Library)利用レポート
 (王一凡:東京大学大学院人文社会系研究科修士課程)

 CADALとは、中国国内の大学図書館が中心となって整備している共同デジタル化ラ
イブラリーのことで、各図書館の蔵書をデジタル化し、オンライン上で共有するこ
とを目的としています。2014年2月現在、270万冊以上の書籍・雑誌が収録されてい
ます( http://www.cadal.cn/zydt/index1402.htm による)。

CADALライブラリーポータルページ(CADAL数字図書館)
http://www.cadal.zju.edu.cn/index
プロジェクトトップページ
http://www.cadal.cn/

コロンビア大学DHセンター,ダンテに関する研究リソースを提供する“Digital Dante”をリニューアル公開

12月12日、コロンビア大学図書館のDHセンターCenter for Digital Research and
Scholarshipが、同大学のイタリア語学研究科等と共同で、“Digital Dante”をリ
ニューアル公開した。『神曲』を中心に、ダンテに関する研究リソースを提供する
ものというもので、もともと1990年代に作成されていたものであった。
http://cdrs.columbia.edu/cdrsmain/2014/12/center-for-digital-research-an...
http://digitaldante.columbia.edu/

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《巻頭言》「人文学を『分かる』」

◇《巻頭言》
「人文学を『分かる』」
 (美馬秀樹:東京大学工学系研究科/知の構造化センター)

 「分かる」とはどういうことか?語源としては「分ける」と同じとのことである。
つまり、「分ける」(分類する)ことが、「分かる」ことにつながる。通常、分類
するためには、特徴の抽出と比較(類を見つける)、加えて、抽象化(同類のグルー
プに対する命名)の過程が必須となる。

 古典的な動物分類は、その形態を特徴としたもので、例えば、ほ乳類は毛が生え
ている、鳥類は翼を持つなど、生物の表現系の比較により分類が行われてきた。言
わば、アナログな情報から、生物を「分かろう」としたわけである。曖昧さを含む
がゆえに、コウモリのような毛の生えた翼のある動物の分類を決めようとすると破
綻を来す。

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