ISSN 2189-1621

 

現在地

DHM 025 【前編】

2011-08-27創刊

人文情報学月報
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄Digital Humanities Monthly

             2013-08-26発行 No.025 第25号【前編】 379部発行

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 ◇ 目次 ◇
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
【前編】
◇《巻頭言》「デジタルゲーム(ビデオゲーム)研究は人文情報学とむすびつくの
か?」
 (尾鼻崇:中部大学人文学部)

◇《連載》「Digital Humanities/Digital Historyの動向
      ~2013年7月中旬から8月中旬まで~」
 (菊池信彦:国立国会図書館関西館)

【後編】
◇人文情報学イベントカレンダー

◇イベントレポート(1)
WHAT ARE DIGITAL HUMANITIES?
 (Oeyvind Eide & Espen S. Ore:オスロ大学)
 (日本語訳:永崎研宣・人文情報学研究所)

◇イベントレポート(2)
Digital Humanities 2013
 (上阪彩香:同志社大学文化情報学研究科)

◇イベントレポート(3)
Digital Humanities 2013
 (永崎研宣:人文情報学研究所)

◇イベントレポート(4)
第13回国際チベット学会セミナーパネル“Tibetan Information Technology”
 (苫米地等流:人文情報学研究所)

◇イベントレポート(5)
Corpus Linguistics 2013
 (小林雄一郎:日本学術振興会/立命館大学)

◇編集後記

◇奥付

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【人文情報学/Digital Humanitiesに関する様々な話題をお届けします。】
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◇《巻頭言》「デジタルゲーム(ビデオゲーム)研究は人文情報学とむすびつくの
か?」
 (尾鼻崇:中部大学人文学部)

 1978年に公開され社会的現象とまでなった「スペース・インベーダー」(タイト
ー)以来、日本はデジタルゲーム(ビデオゲーム)の先進国として、産業ないし文
化樹立の先陣をきってきた。このようなデジタルゲームを学術的に研究するという
動向は、21世紀に入ってから急激に加速し、デジタルゲーム研究は様々な学問領域
を越境する新機軸の学術形態として成立しつつある。

 今回のお題は、そのようなデジタルゲームを、デジタル・ヒューマニティーズ的
手法を用いてどのように研究するのかという点である。このように記述すると、本
件はそもそも論じる価値もないほど妥当な研究手法のように思われるかもしれない。
たしかにデジタルゲームはその名が示すように、デジタル技術を用いた、しかもい
わゆる「ボーンデジタル」とよばれるようなメディアである。生まれた段階からデ
ジタル情報によって構成されているこのメディアは、デジタル・ヒューマニティー
ズとすこぶる相性が良いことに異論を挟む余地はないだろう。

 しかし、世界的にみても、デジタル技術を用いた「人文学的な」デジタルゲーム
の学術研究の事例というものは、そこまで多数を占めているわけではない。近年、
北欧や北米を中心にデジタルゲームの人文学的研究領域である「ゲームスタディー
ズ」の興隆が著しい。しかし、その先駆的かつ中心的な位置を占める研究者である
ジャスパー・ジュールやエリック・ジマーマン、マーク・ウォルフらは、いわゆる
伝統的な人文学的ないし認知科学的研究手法をもってデジタルゲームの理論的フレ
ームを構築している。

 だからといって、デジタル・ヒューマニティーズとデジタルゲーム研究が無縁で
あるかというと、もちろんそうではない。世界各地で開催されているデジタル・ヒ
ューマニティーズの関連学会では、CFPのキーワードに必ずといっていいほどこの分
野が含まれている。私事で恐縮だが、筆者自身も数年間にわたってデジタル・ヒュ
ーマニティーズの研究機関でゲーム研究を進めてきたし、この領域の重鎮であるカ
ナダ・アルバータ大学のジェフリー・ロックウェル氏もまた、デジタルゲーム研究
に強い関心を示している(5月に立命館大学にて開催されたゲーム研究の国際会議も
ロックウェル氏のコーディネートによるものである)。

 では、デジタルゲーム研究のなかで、デジタル技術を活用した事例にはどのよう
な傾向がみられるのだろうか。関連学会での研究報告からかんがみるに、現時点で
は(1)デジタルアーカイブ事業、(2)計量的言語処理ないし物語論的研究、(3)
様々な教育活動への活用研究(ゲーミフィケーション的研究)の三点に集約できる
と思われる。本稿で各々を詳しく説明する余裕はないが、その方法論に注目すると
テキストマイニングやデジタルアーカイブなど、他のデジタル・ヒューマニティー
ズの領域でもよくみられるものが目立ち、デジタルゲーム研究固有のものはほとん
どみられないという状況が見て取れる。この中で、最も意欲的に研究が進められて
いると思われるゲームアーカイブの問題に関しても、ボーンデジタルメディアであ
るデジタルゲームをどのようにアーカイブするのか、という根本的な問題に対する
回答や、大規模な博物館・図書館施設などとの連携、オンライン・データベースの
整備、そして国際的な規格統一の必要性など課題は蓄積されている。

 また、デジタルゲームというメディア固有の面白さとはどのような点にあるのか。
それは、デジタルゲームがインタラクティブメディアとよばれていることからも理
解できるように、プレイヤーの一回性の経験に基づくゲーム体験にこそあると思わ
れる。このような「プレイするたびに異なる結果になる体験」こそが、筆者自身も
興味を持つデジタルゲームの特性である。プレイヤーがどのようにゲームをプレイ
するのか。この問題を中核に置き、デジタルゲームのインタラクティブ性を明確化
する研究もまた、デジタル・ヒューマニティーズにおける重要な課題といえるので
はないだろうか。たとえば、デジタルゲームのプレイ経験とは、プレイヤーとデジ
タルゲーム機、そしてテレビによる「やりとり」によって成立している。これら三
点における情報のやりとりは、原則としてデジタル信号でなされる。プレイヤー自
身は、思考・感情など非常に多大な情報を処理しつつゲームプレイを実践している
が、ゲームプレイに関する重要な情報の大半はプレイヤーのコントローラー操作に
ある。プレイヤーがゲームコントローラーを通じてデジタル情報としてデジタルゲ
ーム機へと伝えられ、その結果がモニタ上に描かれる。このようなプレイヤーとデ
ジタルゲーム機との間で行われるデジタル情報化された「やりとり」を解析してい
くことこそが、デジタル技術を用いたデジタルゲーム研究の命題のひとつであり、
デジタルゲーム研究固有の展望といえるのではないだろうか。

 デジタルゲーム(の人文学的)研究に、デジタル・ヒューマニティーズとしての
(デジタル技術を応用した)方法論を適応することは、言うまでもなく重要な試み
であり必然とさえいえる。デジタル化された上でやりとりされている様々なデジタ
ルゲームの情報(これにはゲーム内のデータのみならず、ウェブ上の記事やレビュ
ーなども含まれる)を効率的に扱い解析するためには、デジタル・ヒューマニティ
ーズで用いられる方法論が最も適切であるためである。

 しかし、それに加えて敢えて私見を述べさせていただくのであれば、筆者はデジ
タルゲーム研究の事例をつうじて、様々な人文学分野に対してデジタル・ヒューマ
ニティーズの重要性・必要性を主張する機会もあるのではないかと考えている。デ
ジタル技術の急速な進歩と普及に伴い、将来的には現在「デジタル・ヒューマニテ
ィーズとよばれている領域」は、研究のためのツール(常套的な研究手法の一つ)
として各分野に再構築されていく可能性も高い。このような過渡期の中で、広範囲
の研究分野をフォローし、ボーンデジタルメディアを扱うというデジタルゲーム研
究の状況は、デジタル技術を用いた研究手法のさらなる普及を担う「メディア」と
しての役割を担える可能性を秘めていると思われる。

執筆者プロフィール
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尾鼻崇(おばな・たかし)中部大学人文学部助教、立命館大学ゲーム研究センター
客員研究員。博士(学術)。日本学術振興会特別研究員、文部科学省グローバルCOE
プログラム「日本文化デジタル・ヒューマニティーズ」博士研究員を経て現職。映
像音楽論やビデオゲーム論、ゲームアーカイブの活用研究を専門としている。

Copyright(C)OBANA, Takashi 2013- All Rights Reserved.
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◇《連載》「Digital Humanities/Digital Historyの動向
      ~2013年7月中旬から8月中旬まで~」
 (菊池信彦:国立国会図書館関西館)

 前号に引き続き、2013年7月中旬から8月中旬までのDigital Humanities/Digital
Historyに関する動向をまとめた。

○新聞・ブログ記事
 7月18日、英UCLのCenter for Digital Humanitiesが、人文学アドヴォカシープロ
ジェクト4Humanitiesと協力して、インフォグラフィック“The Humanities Matter!
”を公開した。その内容は、人文学へ寄せられる批判に対しデータをもとに反論を
行い、また、文化の意義を説いたもの。なお、UCLと4Humanitiesは昨年“
Quantifying Digital Humanities”と題したインフォグラフィックを作成しており、
今回はその続編にあたる。
http://4humanities.org/2013/07/the-humanities-matter-infographic/

 7月29日に、カナダのActive Historyのウェブサイトに“Digital History isn't
for everyone”という記事が掲載された。執筆者はダートマス・カレッジのThomas
Peace。内容は、カナダの約1/5の世帯がインターネットにアクセスしておらず、ま
たそれらが主に貧困層であるとする調査結果を踏まえ、歴史学の成果の公表・発信
においてインターネットは大いに活用すべきとしながらも、同時に紙媒体による刊
行が依然として重視されなければならないと説くものである。
http://activehistory.ca/2013/07/digital-history-isnt-for-everyone/

 7月29日に、Early Modern Online Bibliographyのウェブサイトに掲載された“
SHARP 2013 Digital Projects and Tools Showcase”という記事では、Society
for the History of Authorship, Reading & Publishing(SHARP)の第21回年次大
会(於ペンシルバニア大学)で報告された、書物史・出版史等に関するDHプロジェ
クト16件がまとめて紹介されている。
http://earlymodernonlinebib.wordpress.com/2013/07/29/sharp-2013-digital-...

 8月1日に、University of Colorado Colorado SpringsのPaul Harveyら3名による
共同ブログReligion in American Historyに、“Quantifying the American Tract
Society: Using Library Catalog Data for Historical Research”という記事が掲
載された。American Antiquarian Societyが所蔵するAmerican Tract Soceietyの刊
行資料の刊行日等を、図書館の目録データを利用して調査し、その結果を紹介した
もの。
http://usreligion.blogspot.jp/2013/08/quantifying-american-tract-society...

○イベント・出来事
 前号でも紹介したが、7月16日から19日までDigital Humanities 2013(DH2013)
が、米ネブラスカ大学リンカーン校で開催された。7月25日に、このDH2013に関する
ブログ記事等のまとめがDigital Humanities Nowに掲載されている。
http://dh2013.unl.edu/
http://digitalhumanitiesnow.org/2013/07/editors-choice-digital-humanitie...
http://togetter.com/li/534885

 このDH2013において、ADHO運営委員会が開かれ、DH2015をオーストラリアのシド
ニーで開催すること、Working Group on Inclusivityを設置すること、JADHについ
て全投票権を有する正規会員とすること、Lisa Lena Opas-Ha"nninen賞を創設する
こと等が決定された。
http://adho.org/announcements/2013/summary-adhos-steering-committee-meet...

 関連してADHOは、8月19日に、2014年のAntonio Zampolli賞をビクトリア大の
Raymond Siemensに、DH2013での若手研究者ベストプレゼン賞であるPaul Fortier賞
を、バージニア大のCourtney EvansとBen Jasnowに贈ることを発表している。
http://adho.org/announcements/2013/adho-announces-winners-fortier-and-za...

 7月19日、International Federation for Public Historyは、2014年10月にアム
ステルダムで開催する初の国際カンファレンス(テーマは“Public History in a
Digital World: The Revolution Reconsidered”)の企画募集を開始した。締切は
2014年1月31日。
http://www.allc.org/news-events/international-federation-public-history-...
http://www.publichistoryint.org/wordpress/?page_id=33

 7月22日から26日まで、イタリアのフィレンツェでCENDARI(Collaborative
European Digital Archive Infrastructure)のサマースクールが初開催された。テ
ーマは“Historical Sources and Transnational Approaches to European History
”。8月13日には、その詳細について、アテネのライブラリアンPhilippa Currieが
CENDARIのサイトで紹介している。
http://www.cendari.eu/cendari-summer-school-2013-florence-italy/
http://www.cendari.eu/news-events/summer-school-2013/
http://www.cendari.eu/summer-school-blog-a-wonderful-week-in-florence/

 7月22日、ジョージメイソン大学の歴史とニューメディアセンター(RRCHNM)が提
供する歴史教育のためのポータルサイトTeachinghistory.orgに、American
Association for State and Local HistoryからAward of Meritが贈られた。
http://chnm.gmu.edu/news/teachinghistory-org-wins-2013-aaslh-award-of-me...

 7月25日、全米人文科学基金のOffice of Digital Humanitiesが、“Digital
Humanities Implementation Grants”6件と“Institutes for Advanced Topics in
the Digital Humanities”3件の助成プログラムを発表した。これに関連し、7月29
日にジョージメイソン大学のRRCHNMは、助成を活用して、2014年夏に中堅の歴史研
究者を対象にしたDigital History研修プログラム“Doing Digital History: An
Institute for Mid-Career American Historians”を実施すると発表している。
http://www.neh.gov/divisions/odh/grant-news/announcing-6-digital-humanit...
http://www.neh.gov/divisions/odh/grant-news/announcing-3-institutes-adva...
http://chnm.gmu.edu/news/neh-funds-rrchnms-doing-digital-history-summer-...

 7月29日から31日まで、Electronic visualization and the Arts (EVA) London
2013が開催された。大会のウェブサイトにはプレプリントが掲載されており、この
中には3D技術を活用したアートと考古学に関するプロジェクトMaking History
Project等もある。
http://www.eva-london.org/
http://theculturalheritageweb.wordpress.com/2013/07/29/making-digital-ev...

 8月5日、HASTAC2014の開催日時と場所が発表された。2014年4月24から27日まで、
ペルーのリマで開催とのこと。
http://www.hastac.org/news/save-date-hastac-2014-conference-be-held-apri...

 8月16日、電子図書館「青空文庫」の呼びかけ人のひとりである富田倫生氏が、肝
臓がんのため亡くなった。享年61歳。同日、青空文庫は、富田氏が1997年に出版し
た『本の未来』を公開している。
http://www.aozora.gr.jp/soramoyou/soramoyouindex.html
http://attic.neophilia.co.jp/
http://www.aozora.gr.jp/index_pages/person55.html

 9月19日から21日まで立命館大学で開催されるJapanese Association for
Digital Humanities 2013(JADH2013)のウェブサイトが公開された。現在参加受付
中。
http://www.dh-jac.net/jadh2013/

○プロジェクト・ツール・リソース
 7月17日、The Maryland Institute for Technology in the Humanities(MITH)
は、今年1月に実施したイベント“Digital Humanities Winter Institute”を、“
Humanities Intensive Learning and Teaching (HILT)”へと名を変えて、また次回
は冬季ではなく2014年8月4日から8日までの夏季に実施すると発表した。
http://mith.umd.edu/announcing-hilt-humanities-intensive-learning-teaching/

 7月18日、ケンブリッジ大学と一部を国立海洋博物館が所蔵している「経度委員会」
のアーカイブコレクションがデジタル化公開された。キャプテン・クックの航海日
誌等が含まれた1737年から1828年までのもので、65,000点以上の画像とのこと。18、
19世紀科学史の重要史料である。
http://cudl.lib.cam.ac.uk/collections/longitude
http://www.jisc.ac.uk/news/the-longitude-problem-300-year-old-archive-op...
http://www.lib.cam.ac.uk/newspublishing/detail.php?news=402

 7月20日、米サンフランシスコのベイエリアを本拠地としたDigital Humanities
グループが結成されている。“ローカル”を意識したコミュニティとなっている。
http://sfbay-dh.org/

 7月24日に、Shawn Graham、Ian Milligans、Cott b. Weingarの3人によるオープ
ンレビューによる書籍執筆プロジェクト“The Historian's Macroscope”が発表さ
れた。ビッグデータをテーマにしたもののようだが、まだプロジェクトサイトは閲
覧できない。
http://www.themacroscope.org/
http://ianmilligan.ca/2013/07/24/announcing-a-new-book-project-the-histo...
http://electricarchaeology.ca/2013/07/24/themacroscope/
http://www.scottbot.net/HIAL/?p=38550

 7月25日、1893年から1978年までのソロモン諸島に関するウェブ歴史事典“
Solomon Islands Historical Encyclopaedia 1893-1978”が公開された。オースト
ラリアのクイーンズランド大学によるもの。
http://www.solomonencyclopaedia.net/
http://www.uq.edu.au/news/index.html?article=26502

 スペイン・ポルトガル語圏のDigital Humanitiesプロジェクトのマッピングを行
うプロジェクト“Mapa HD”のウェブサイトが公開された。当該語圏の研究者から情
報を募ることで、プロジェクトの把握を行っている。
http://mapahd.org/
http://www.hastac.org/blogs/ernesto-priego/2013/07/24/mapa-dh-mapping-di...

 7月28日から8月3日まで、1週間に1つの学術ツールを作るDigital Humanitiesのイ
ベント“One Week | One Tool”が、ジョージメイソン大学RRCHNMの主催で開催され、
そこで作成された“Serendip-o-matic”というウェブアプリが8月2日に発表された。
“Serendip-o-matic”は、記事や歌の歌詞、文献目録等のあらゆるテキストからキ
ータームを抽出し、DPLA、Europeana、Flickr Commonsにあるコレクションの中から
類似のものを返すというツール。
http://serendipomatic.org/
http://oneweekonetool.org/
http://chnm.gmu.edu/news/one-week-one-tool-team-launches-serendip-o-matic/

 8月1日、オンラインでの大規模なシラバスコレクション構築プロジェクト“Open
Syllabus Project”がスタートしている。
http://opensyllabusproject.org/

 8月1日、オランダでの奴隷制廃止150周年を記念し、カリブ海域でのオランダ植民
地に関するデータベース“The Dutch in the Caribbean World, C. 1670-C. 1870”
が公開された。
http://dutch-caribbean.huygens.knaw.nl/
http://www.historici.nl/Nieuws/Actueel/Database%20The%20Dutch%20in%20the...

 8月5日、エジプト、カイロでのソーシャルメディアの投稿情報を収集して表示さ
せる“Real Time Cairo”というサイトが公開されている。
http://www.artisopensource.net/projects/real-time-cairo.php
http://www.artisopensource.net/2013/08/05/real-time-cairo-the-real-time-...

 8月7日、アメリカ歴史学協会は、歴史学博士号取得者でノンアカデミックキャリ
アに進んだ人物がその後どのように職を得て、何をしているのか等を尋ねたインタ
ビュー動画シリーズ“What I Do: Historians Talk about Their Work”を公開した。
MLA(Modern Language Association)との共同プロジェクトである。
http://blog.historians.org/2013/08/what-i-do-historians-talk-about-their...
http://wp.me/p3M99u-6F

 8月7日、岩波書店は、創業100周年記念事業の一つとして、「岩波デジタルアーカ
イブス」を立ち上げると発表した。「岩波デジタルアーカイブス」は、過去に開催
された「岩波の文化講演会」と「岩波市民講座」の講演、講義記録を公開するとい
うもの。正式公開は2014年1月初旬の予定。
http://www.iwanami.co.jp/100th/archives/index.html
http://current.ndl.go.jp/node/24175

 8月9日、米空軍が過去の空爆情報に関するデータベース“Theater History of
Operations Reports”を公開した。同データベースは第一次世界大戦、第二次世界
大戦、ベトナム戦争における空爆情報を対象とするもので、太平洋戦争中の日本に
対する攻撃も含まれている。
http://afri.au.af.mil/thor/
http://current.ndl.go.jp/node/24146

 8月12日、米ゲティ財団が“Open Content Program”を開始した。これは、パブリ
ックドメイン、あるいは同財団が全ての権利を保有するデジタル情報資源を無料で
提供していくもの。まずは、ゲティ美術館所蔵作品の約4,600点のデジタル画像が公
開されている。
http://blogs.getty.edu/iris/open-content-an-idea-whose-time-has-come/
http://current.ndl.go.jp/node/24151

 8月15日前後と思われるが、ロシア語のDigital Humanitiesのウェブサイトが公開
されている。3点ほどDHに関する論考が掲載されているが、もっぱらTwitterで
Digital Humanitiesという単語のあるツイートをRTしているようだ。
http://www.dhprograms.ru/

○論文・学術雑誌・研究書
 2012年にミネソタ大学出版局から刊行された“Debates in the Digital
Humanities”のオープンアクセス版提供プラットフォームにおいて、7月17日、
ver.1.1が発表された。今回のバージョンアップで、ディベート参加者のアカウント
作成やオンラインでのコメント付けの機能等が追加された。
http://dhdebates.gc.cuny.edu/news

 7月に、Fre'de'ric ClavertとSerge Noiret編著の“L'histoire contemporaine
a` l'e're num e'rique Contemporary History in the Digital Age.”が刊行され
ている。なお、編者のひとりSerge Noiretは、上で紹介したInternational
Federation for Public Historyの議長である。
http://www.peterlang.com/index.cfm?event=cmp.ccc.seitenstruktur.detailse...

 Organization of American Historians(OAH)の雑誌“The OAH Magazine of
History”の2013年7月号(vol.27, no.3)が刊行された。この中に、Kelly Schrum
とNate Sleeterによる論文“Teaching History Online: Challenges and
Opportunities”がある。またOAHの刊行雑誌には“Journal of American History”
もあり、そこではDigital Historyのプロジェクト紹介・レビューを行う“Digital
History Reviews”というカテゴリがある。この最新号はこのほど刊行された2013年
9月号(vol.100, no.2)で、“Teach US History”等5本が掲載されている。
http://magazine.oah.org/issues/273/
http://jah.oxfordjournals.org/content/current

 MIT Pressより2012年に刊行された“Digital_Humanities”の一部を翻訳した「デ
ジタル・ヒューマニティーズ入門」(日本語訳)が、8月5日、公開された。これは、
東京大学大学院人文社会系研究科2012年度「人文情報学概論」(下田正弘・A.
Charles Muller・永崎研宣の三氏が担当)の一環として行われたものである。
http://21dzk.l.u-tokyo.ac.jp/CEH/index.php?sg2dh
http://mitpress.mit.edu/books/digitalhumanities-0

○レポート・報告書等
 今年3月30日に開催された文化情報資源政策研究会シンポジウム「文化情報資源政
策の確立を求めて:利活用に関わる課題を中心に」の記録や配布資料が、7月末およ
び8月上旬に、同研究会のウェブサイトで公開された。
http://wp.me/p3yIEB-c

特殊文字については次のとおり表記しました。
アクサン・テギュ:e'
アクサン・グラーヴ:a`
ウムラウト:a"

Copyright(C)KIKUCHI, Nobuhiko 2013- All Rights Reserved.
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 続きは【後編】をご覧ください。

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 配信の解除・送信先の変更は、
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                        からどうぞ。

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◆人文情報学月報編集室では、国内外を問わず各分野からの情報提供をお待ちして
います。
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人文情報学月報 [DHM025]【前編】 2013年08月26日(月刊)
【発行者】"人文情報学月報"編集室
【編集者】人文情報学研究所&ACADEMIC RESOURCE GUIDE(ARG)
【E-mail】DigitalHumanitiesMonthly[&]googlegroups.com
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【サイト】 http://www.dhii.jp/DHM/

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