ISSN 2189-1621

 

現在地

DHM 040 【前編】

2011-08-27創刊

人文情報学月報
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄Digital Humanities Monthly

             2014-11-27発行 No.040 第40号【前編】 530部発行

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 ◇ 目次 ◇
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【前編】
◇《巻頭言》「人間文化研究のデジタル文化資源の広範な利用とは」
 (後藤真:人間文化研究機構 資源共有化事業特任助教)

◇《連載》「Digital Humanities/Digital Historyの動向
      ~2014年10月中旬から11月中旬まで~」
 (菊池信彦:国立国会図書館関西館)

【後編】
◇《特集》「デジタル学術資料の現況から」第8回
 「The digital Loeb Classical Libraryのご紹介(2)」
 (吉川斉:東京大学大学院人文社会系研究科 西洋古典学研究室)

◆発表募集
 ◇情報処理学会 人文科学とコンピュータ研究会

◇人文情報学イベントカレンダー

◇イベントレポート
第53回シェイクスピア学会セミナー
「Digital Humanities and the Future of Renaissance Studies」
 (北村紗衣:武蔵大学人文学部)

◇編集後記

◇奥付

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【人文情報学/Digital Humanitiesに関する様々な話題をお届けします。】
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◇《巻頭言》「人間文化研究のデジタル文化資源の広範な利用とは」
 (後藤真:人間文化研究機構 資源共有化事業特任助教)

 今回は、人間文化研究機構の資源共有化事業について簡単に紹介し、人文科学研
究のためのデジタルデータの未来(夢)について簡単に述べてみたい。

 私は、2014年9月末をもって、花園大学を退職し、人間文化研究機構の資源共有化
事業特任助教へと着任した[1]。そのため、私が担当することとなるこの人間文化
研究機構が持つデジタル文化資源の利用可能性を通じて、人文科学研究のデジタル・
アーカイブの現在と未来を見てみることとする。

 人間文化研究機構の資源共有化事業について、簡単に説明しておきたい。人間文
化研究機構は、国立歴史民俗博物館・国文学研究資料館・国立国語研究所・国際日
本文化研究センター・総合地球環境学研究所・国立民族学博物館の6機関からなる、
大学共同利用機関法人である。これらの機関は、それぞれのミッションのもとで、
人文科学に関する研究をひろく行っており、その研究の成果や研究の過程で生みだ
されたもの、そして機関の持っている資料群を公開するためにデータベースを多く
作成している。これらのデータベースを中心に、人文科学研究諸機関の情報を、統
合的・網羅的に検索し、提供と活用を可能にすることを目指しているのが、この資
源共有化事業である。

 この資源共有化事業の成果として、1.統合検索システムである「nihu-INT」[2]
を柱に、以下のようなものがある。2.機構のもとに設置された「地域研究推進セン
ター」(地域研究拠点)の研究成果など、人間文化にかかわるさまざまな研究成果
を簡易に公開するためのシステムである「ndp」[3]。3.シンプルな時空間解析ツ
ールとして構築された「GT-map/GT-time」[4]。4.「nihu-INT」をより効果的に
使うべく、試験公開を開始した「人名一覧」[5]。5.国際ポータルの可能性を模
索し、実験的に公開している「国際リンク集」[6]である。ここでは、特に1の
「nihu-INT」にスポットを当てて、もう少し詳しく説明してみたい。

 nihu-INTは、先述のとおり、人間文化研究機構の6機関をはじめ、人文科学関係諸
機関の同時に検索することを可能としたシステムである[7]。本稿執筆現在、人間
文化研究機構のデータベース127、人間文化研究機構と地域研究推進事業を行ってい
る諸拠点のデータベース7、国立国会図書館のデータベース13の合計147のデータベ
ースを同時に検索できるシステムとなっている。検索対象となる総レコード数は440
万を超える。

 内容は、各機関の所蔵資料目録(41件のデータベース)、所蔵図書・雑誌目録
(12件)などの、所蔵情報に始まり、本文・フルテキスト(10件)、事項・ファク
ト(41件)などのテキストベースでの発見が可能な情報や、画像・映像・音響(9件)
のような情報まで、多様な情報を検索することが可能になっている。

 以下、私の個人的見解として述べる[8]。これほどの同時検索を可能とする規模
の人文系を対象としたデータベースは、現在、日本においては国会図書館のNDLサー
チと、このnihu-INTぐらいであろう。日本における人文科学研究の入り口で漠とし
た全体像をつかむためには、有用なデータベースであろう(ありたい)と考えてい
る。これらを構築してきた成果を引き継ぎ、より使いやすくしていき、機構全体の
情報を効果的に利用できるようにすることが、私に課せられた業務であると思って
いる。

 そこで後半では、その課せられた業務を果たすために、機構で今後試みたい点と、
その試みのためのバックボーンとして持っている人文科学研究のためのデジタル・
アーカイブがあるべき姿として考えている点について述べたい。

 近年大量のデータベースが公開され、デジタルデータとして利用できるようにな
ったのは、人文科学研究全体にとって大きな福音である。一方、データの量が多す
ぎると、発見がきわめて難しくなるというデメリットが生じている。これは人間文
化研究機構でも同じ問題を抱えている。実際、機構の440万件を超えるデータの中か
ら、真に自分がほしいデータを発見することは容易ではない。一方で「検索手法を
工夫すれば確実に発見できる」というものではない。多くのデータはあるが、それ
は当然「世界(人文科学研究資源)のすべて」ではない[9]。「データは多すぎる
けど足りない」という状況が生じている。そのため、「何があるかわからない、あ
ると思って探しても見つからないかもしれない」という状況が生じてしまっている。
これは、資料群が特定できない形式の人文系データベースが共通で抱える問題では
ないだろうか[10]。

 この問題を解決するためには、大きくは2つの方法が考えられる。一つは、Google
のようにWebの外と中の価値を転換し、「ここで検索してみつからないものは、人文
科学研究の資源ではない」というモデルを構築する方法。もう一つは、Webの世界全
体の中にデジタルデータそのものを投げ込んで、外から検索を可能にしてしまうこ
とである。前者が(少なくとも現時点では)およそ現実的ではないことはいうまで
もない。そして後者はLinked Data隆盛の現在に至り、ある種の解決方法として目さ
れていることもいうまでもないであろう。

 現在、人間文化研究機構のデータベースのほとんどは各機関のページかnihu-INT
からしか検索できない。このこと自体が上記の「網羅性の問題」を引き起こしてし
まっているのである。しかし、そもそも考えてみれば、機構が提供すべきデジタル・
アーカイブはあくまでも「資源」そのもののほうであり、統一検索システムは、提
供物をまとめて発見するための手段として位置づけられる。そのため、今後の統一
検索システムは、必ずしも機構の資源を検索する唯一の存在である必要はないのか
もしれない。機構以外の場からも機構の資源を一体的に検索・発見する手法が構築
できる枠組みがあれば、機構のシステムは、それらと並列し、より発見・検索・解
析しやすい「窓口」を競う形が望ましいのではなかろうか。

 このような資源提供と検索手法の分離は、人文科学研究のためのデジタル化資源
の提供の手順を再度確認する機会になるのではないだろうか。人文科学系の組織や
研究者はデータをある程度標準的な形式で、つながるように、シンプルに検索エン
ジンで検索・発見できる形でまず提供される[11]。デジタルデータは、まずシン
プルな資源として提供され、それを人文科学研究者・情報学研究者問わずに利用で
きることになる。それを用いて、人文系研究者は、まずは基礎的な情報発見をし、
利用することで研究を行う。並行してそれらのデータを用いて、より効果的な発見
の手法や新たな分析の手法を情報学者が提案する。それらの成果が公表され(成果
はデジタルデータであればなおよい)、その成果によって資源の使い方の理解が深
まり、かつアクセスの道が整備されることで、研究者以外の人間も、より容易に資
源を利活用できる[12]。この手順は、今まででも「当然」であったはずだが、Web
の世界の検索手法やデータベースの作り方の技術的限界もあり、実現しているとま
ではいえなかった。しかし、この「当然」が復権する時代が来ているのかもしれな
い。

 このことは、必ずしも機構をはじめとする人文系研究所機関に情報系研究者が不
要であるということを意味するわけではない。実際に、メタデータをはじめとする
「データの形」を作成し管理する人材は必要であり、人文科学の方法論を理解し、
広範な人文科学研究者とネゴシエートして、それをデータへと落とし込む人材は今
後さらに必要となる。人文系諸機関には、今まで以上に「データが作れる人」が必
要となるであろう。また、情報系研究者に対しても、今まで以上に人文科学系デー
タへの親和性を持ってもらい、新たな開発の材料として用いてもらうように、デー
タを見せていく必要があるであろう。

 また、これらのしくみを実現するためには、ライセンスの問題や公開・非公開の
問題も避けては通れない。これらの議論は、近年特に「オープン」を巡る場の中で
行われてきているが、人文系諸機関もどのような立場を取るにせよ、これらの議論
動向を見守り、オープンにできる部分はオープンにし、一方で守るべきものとは何
かを考えていく必要性がある。

 以上のことは、着任したばかりの私にとっては、まだまだ「夢物語」であり、実
現するためには多くのハードルがある。しかし、人文系諸機関が作り上げてきた多
くのデジタル・アーカイブを、社会の資源として利用してもらい、それによって人
文科学研究の重要性が少しでも理解され、社会のリソースを割くべきものであると
理解してもらうための一助になることを心より望むのである。

[1]詳細な状況については私がリサーチマップの「研究ブログ」に書いたもの(
http://researchmap.jp/jonhfx7cx-20127/ )を参照していただきたい。
[2] http://int.nihu.jp/
[3] http://mgr.nihu.jp/ndp/partition/
[4] http://www.chikyu.ac.jp/nihudb/gt-tools/
[5] http://mgr.nihu.jp/nihuKB/meta_pub/G0000093person
[6] http://www.nihu.jp/sougou/kyoyuka/japan_links/index.html
[7]なお、システムの詳細については山田太造「nihuINT: 多様な人文科学研究資
源を統合するプラットフォーム」(『人間文化研究情報資源共有化研究会報告集』5、
2014年3月)に詳しい。また、
http://www.nihu.jp/sougou/kyoyuka/source/system.html にも概要があるので、そ
ちらを参照していただきたい。
[8]ここでは、あくまでも研究者個人としての意見を書いており、組織としてこの
ような議論が直接的に進められているわけではないことをお断りしておく。
[9]もちろん、Googleであっても、世界のすべてが検索できるわけではないという
のは、Webの「罠」として語られることである。しかし、実際にはGoogleはWebの外
と中の価値を転換し、検索にひっかからないものは存在しない、と(正邪はともか
く)言わしめるようになっていることも、すでに語られている通りである。
[10]なお、この問題については、[7]の山田論文でも指摘されている。
[11]デジタル資源そのものは、まずはそれぞれの組織や研究者が保持する。その
うえでオープンなライセンス等については検討を行うというステップが望ましい。
[12]公開方法に一定の制限があるデータは検索手法を別途作るほうが望ましいで
あろう。

執筆者プロフィール
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後藤真(ごとう・まこと)2014年9月まで花園大学文化遺産学科講師。情報処理学会
若手研究者の会幹事、JADH理事。専門は情報歴史学・人文情報学。正倉院文書のデ
ジタル化をはじめ、人文科学資料のデジタル・アーカイブ構築とその活用手法に興
味を持つ。

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《連載》「Digital Humanities/Digital Historyの動向
      ~2014年10月中旬から11月中旬まで~」
 (菊池信彦:国立国会図書館関西館)

前号に引き続き、2014年10月中旬から11月中旬までのDigital Humanities/Digital Historyに関する動向をまとめた。

○新聞・ブログ記事
10月21日、JADH(Japanese Association for Digital Humanities)のウェブサイト
に、「日本語でWebで読める海外DH関連の論文・エッセイ」と題したまとめ記事が掲
載された。
http://www.jadh.org/node/40

10月から11月にかけて、H-Soz-Kultが“The Status Quo of Digital Humanities
in Europe”と題して、ヨーロッパ各国におけるDHの現状を論じたエッセイシリーズ
を公開している。H-Soz-Kultはベルリン・フンボルト大学の運営する歴史学ポータ
ルClio Onlineの一部。
http://www.hsozkult.de/hfn/text/id/texte-2535?title=forum-the-status-quo...

10月30日、英国図書館(British Library)のブログDigital scholarship blogにお
いて、同館が2012年より館内職員向けに実施しているDH関係の研修プログラム“
British Library Digital Scholarship Training Programme”に関する情報をまと
めた記事を公開している。
http://britishlibrary.typepad.co.uk/digital-scholarship/2014/10/british-...

WirelessWire Newsに、KDDI総研の高崎晴夫と東京大学の生貝直人の二人による対談
記事「なぜ私たちには『忘れられる権利』が必要なのか?」が、10月23日より前・
中・後編の3回にわたって掲載されている。
http://wirelesswire.jp/privacy_and_personal_data/201410231100.html
http://wirelesswire.jp/privacy_and_personal_data/201410281230.html
http://wirelesswire.jp/privacy_and_personal_data/201410311400.html

○イベント・出来事
10月16日と17日に、イタリアのヴェネツィアでEuropeana Spaceの設立記念カンファ
レンスが開催された。Europeana Spaceは、Europeanaのデジタル化資料をベースに、
クリエイティブ産業における雇用創出と経済成長を目指そうというプロジェクト。
デジタル文化コンテンツを利用したアプリやサービス開発のためのオープンな環境
を提供し、そのベストプラクティスを発信・共有するという。
http://www.europeana-space.eu/
http://www.europeana-space.eu/activities/projects-conferences/digital-cu...
一方、Europeanaのデジタル化資料を、経済ではなく教育に利用するプロジェクトが、
スペインで行われている。“Tu' eres la llave”(君がカギ)というその企画は、
スペイン文化省とEuropeanaの共同によるもので、スペインの中学生グループと教員
で、デジタル化資料を使って、「98年世代」の著述家や第一次世界大戦等のテーマ
に沿った記事を作成し競うコンクールとなっている。
http://certameneuropeana.es/
なお、Europeana関連では、公開日が不明ながら、Europeanaの統計データをビジュ
アル化して表示する“Europeana Statistics Dashboard”(α版)が話題となって
いた。
http://statistics.europeana.eu/welcome

10月18日、東京大学新図書館トークイベント「東大新図書館計画と次世代アーカイ
ブ:東大版ヨーロピアナをいかにつくるのか?」が開催された。また、11月2日から6
日にかけて図書館総合展が開催され、そこでは「日本版ヨーロピアナに向けての大
学・図書館の役割:デジタルアーカイブ連携に関わる国内外の動向から」が開催さ
れている。
http://togetter.com/li/733610
http://new.lib.u-tokyo.ac.jp/2176
http://2014.libraryfair.jp/node/2100
https://twitter.com/hashtag/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E7%89%88%E3%83%A8%E3%83%B...

10月20日、カナダのDH学会CSHN-SCHNと、アメリカのthe Association for
Computers and the Humanities(ACH)が、2015年6月1日から3日にかけて、初のジ
ョイントカンファレンスを開催すると発表した。プロポーサル等の受付締切は12月1
日となっている。
http://ach.org/2014/10/20/joint-ach-canadian-dh-conference-2015/

10月21日と22日に、台湾においてPNC 2014 Annual Conference and Joint Meetings
が開催された。PNCは情報技術を活用して環太平洋地域の高等教育機関の情報共有を
促進することを目的としたコンソーシアムである。10月22日付のGettyのブログでは、
“Beyond Borders: The Humanities in the Digital Age”と題し、このカンファレ
ンスでの報告内容が紹介されている。国境を超える、ゲティの様々なデジタルリソ
ースに関する取り組みが紹介されている。
http://blogs.getty.edu/iris/beyond-borders-the-humanities-in-the-digital...
http://current.ndl.go.jp/node/27197

10月23日から25日まで、オランダのアムステルダム大学において、International
Federation for Public History(IFPH)の2014年年次大会が開催された。今年のテ
ーマは、“Public History in a Digital World: The Revolution Reconsidered”
で、DHに関わりの深い報告が多数行われており、その内容は大会のブログで確認で
きる。
http://publichistory.humanities.uva.nl/category/blog/

10月29日、Amazon.co.jpは、国立国会図書館の近代デジタルライブラリーで公開さ
れているパブリックドメインの古書について「Kindle アーカイブ」での販売を開始
した。2014年内に1,000冊以上の配信を予定しているとのこと。
http://www.amazon.co.jp/b/ref=ka_shorturl?&node=3311912051
http://www.amazon.co.jp/gp/press/pr/201410291/

10月29日、写真遺産国際コンソーシアム(PHOTOCONSORTIUM: International
Consortium for Photographic Heritage)が結成された。これは、2015年1月末に終
了するEuropeana Photographyプロジェクトの後継として組織されたものとのこと。

http://www.photoconsortium.net/
http://www.digitalmeetsculture.net/article/celebrating-photoconsortium/

10月30日、国立国会図書館東京本館で開催されたデータベースフォーラムで、永崎
研宣による講演「デジタル人文学と図書館」が行われた。そのプレゼン資料がPrezi
で公開されている。
https://prezi.com/97adjdzvfj9w/presentation/
http://www.ndl.go.jp/jp/news/fy2014/1207276_1829.html

“Manifesto of Modernist Digital Humanities”が発表されている。アリゾナ州立
大学のShawna Rossらによるもの。
http://www.shawnaross.com/manifesto/

11月3日、英国図書館のDH関連ラボであるBL Labsのシンポジウムが開催された。サ
セックス大学のTim Hitchcockによる基調講演“Big Data, Small Data and Meaning
”――この内容は氏の個人ブログでスクリプトが公開されている――と、BL Lasコ
ンペの表彰者が発表された。
http://labs.bl.uk/
http://historyonics.blogspot.jp/2014/11/big-data-small-data-and-meaning_...
https://www.eventbrite.co.uk/e/british-library-labs-symposium-2014-ticke...

本連載でこれまで毎号のように紹介しているロイ・ローゼンツヴァイク歴史とニュ
ーメディアセンター(RRCHNM)は、今年開設20周年を迎えるのを記念して、11月14
日と15日に20周年記念カンファレンスを開催した。これに先立ち11月4日には、
RRCHNMのこれまでのプロジェクト等を振り返る記念サイトが公開されており、その
他、DH研究者らによって20周年に寄せたブログ記事等が複数公開されている。
http://chnm.gmu.edu/news/rrchnm20-site-live/
http://chnm.gmu.edu/news/chnms-histories-digital-history-and-teaching-hi...
http://railroads.unl.edu/blog/?p=1146
http://digitalhumanitiesnow.org/2014/11/editors-choice-round-up-the-futu...

12月13-14日に開催される人文科学とコンピュータシンポジウム「じんもんこん2014」
の併設イベントとして、人文科学データの活用を考えるためのアイデアソン「じん
もんそん」が開催される。
http://peatix.com/event/58842
http://jinmoncom.jp/sympo2014/

12月20日に、人文系データベース協議会の第20回公開シンポジウムが近畿大学で開
催される。9本の発表の他、「文化情報学とデータベース」をテーマとしたパネル・
ディスカッションが行われる。
http://www.osakac.ac.jp/jinbun-db/51.html

○プロジェクト・ツール・リソース
10月17日、オランダのライデン大学の書物史研究者Erik Kwakkelらが、中世写本の
作成全体のプロセスを解説するサイト“Quill”を公開した。同大学図書館所蔵の特
別コレクション資料を利用したものとのこと。
http://www.bookandbyte.org/quill/
http://sexycodicology.net/blog/quill-medieval-manuscripts/
また、中世写本に関連して、イギリスのリーズ大学中世学研究所(the Institute
for Medieval Studies)の院生向けに開発された写本学習用アプリ“Medieval
Handwriting”を紹介する記事もあった。iOS/Android向けのこのアプリは、12世紀
から15世紀後半までの写本資料の読解練習を、デジタル化した写本を使って行うと
いうもの。
http://www.medievalhistories.com/medieval-handwriting-app/
https://itunes.apple.com/app/medieval-handwriting/id734335308
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.agbooth.handwriting.me...

Internet Archiveに登録されている図書資料について、その資料の主題キーワード
から、それに関連する、Flickrで公開されている約260万点の挿絵画像にアクセスで
きる「マップ」が公開されている。Mario Klingemann作で、10月18日にver.2.0とな
った。
http://flowingdata.com/2014/10/20/map-of-book-subjects-on-internet-archive/
http://incubator.quasimondo.com/internetarchive/InternetArchiveBookSubje...

10月22日、15世紀のスペインの都市プラセンシア(Plasencia)を3Dで再現した
Virtual Plasenciaが公開された。同都市におけるユダヤ教徒・キリスト教徒・ムス
リムの混在を通じて、宗教的寛容/不寛容とその日常生活をビジュアル化して示すの
が目的。
http://revealingcooperationandconflict.com/announcing-virtual-plasencia-...
http://revealingcooperationandconflict.com/launch-page-for-virtual-plase...
3Dに関連する話題として、10月24日、ブリティッシュコロンビア大学のプロジェク
トが、3000年前の青銅時代のキプロスをARで再現・探索できるアプリ“KAD-AR”を
リリースした。
http://news.ubc.ca/2014/10/24/street-view-for-the-bronze-age/
また、日本では、「なら平城京歴史ぶらり」が今年2014年度のグッドデザイン賞を
受賞している。これもARを通じて、1300年前の平城京を体験できるというもの。
http://heijo-kyo.com/burari/
http://atr-c.jp/burari/product/theme/heijo.html
http://www.sankei.com/region/news/141010/rgn1410100071-n1.html

10月24日、TEIデータの長期保存と公開を行うプラットフォームTEI Archiving,
Publishing, and Access Service(TAPAS)が正式リリースされた。TEIメンバーは
無料で利用できるとのこと。
http://textencodinginitiative.wordpress.com/2014/10/24/announcing-tapas-...
http://tapasproject.org/

19世紀のアメリカ西部における郵便システムの整備の様子をビジュアル化した“
Geography of the Post”が、10月30日公開された。スタンフォード大のSpatial
History Projectの一プロジェクトで、同大学の博士課程学生Cameron Blevinsと技
術スペシャリストのJason Hepplerの2名による。
http://www.cameronblevins.org/gotp/
http://jasonheppler.org/2014/10/30/research-design-in-geography-of-the-p...
http://www.cameronblevins.org/posts/postal-geography-and-the-golden-west/
https://web.stanford.edu/group/spatialhistory/cgi-bin/site/project.php?i...

11月3日、アメリカのNational History DayとRRCHNMが、世界史上のリーダーを投票
で選ぶプラットフォーム“100 Leaders in World History”を開設した。
http://chnm.gmu.edu/news/100-leaders-opens-for-voting/
http://100leaders.org/

インドの博物館資料ポータル“National Mission on Monuments and Antiquities”
が開設されている。
http://nmma.nic.in/nmma/antiquity_event.do?method=news

11月4日、ゼンリンは、福岡県北九州市にある「ゼンリン地図の資料館」の所蔵史料
約8,000点の中から選んだ地図史料220点をデジタルアーカイブ化したウェブサイト
「ゼンリンバーチャルミュージアム」を公開した。
http://www.zenrin.co.jp/news/141104.html
http://www.zenrin.co.jp/zvm/index.html
http://ict-enews.net/2014/11/06zenrin/

11月8日、XML文書編集ソフトoXygenで史料のTEIコーディングが簡単にできるフレー
ムワーク“HisTEI”が、Githubで公開された。
http://textencodinginitiative.wordpress.com/2014/11/08/histei-an-oxygen-...
https://github.com/odaata/HisTEI
http://www.histei.info/p/home.html
http://www.dhii.jp/nagasaki/blog/node/12

○論文・学術雑誌・研究書
Laboratorio dell'ISPFの第11号(2014年)に、Domenico Fiormonteによる“
Digital Humanities from a global perspective”が収録されている。これは、DH
の世界的な広がりについて、研究トレンドや主要研究機関などを論じたもの。
http://www.ispf-lab.cnr.it/article/2014_203_Abstract
ちなみに、これと同様のテーマを論じたものに、Isabel Galina Russell. “
Geographical and linguistic diversity in the Digital Humanities”.
Literary and Linguist Computing. 2014, 29(3), pp. 307-316があり、この論文を
含め同号は、今年12月まで無料公開されている。
http://llc.oxfordjournals.org/content/29/3/307

DH関連の雑誌として、Journal of Digital Humanitiesの2014年夏号(3巻2号)及び
Journal of the Text Encoding Initiativeの第7号が刊行されている。後者には、
TEI学習用のデジタルリソースの概況を論じた“Learning the TEI in a Digital
Environment”等4編が収録されている。
http://journalofdigitalhumanities.org/
http://jtei.revues.org/948
http://journal.tei-c.org/journal/announcement/view/22

○報告書等
10月31日、日本学術振興会のグローバル学術情報センターが、CGSIレポート第1号
「Scopus収録論文における科研費成果論文の分析」を公開した。
http://www.jsps.go.jp/j-cgsi/data/h26/report_141031.pdf

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 続きは【後編】をご覧ください。

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人文情報学月報 [DHM040]【前編】 2014年11月27日(月刊)
【発行者】"人文情報学月報"編集室
【編集者】人文情報学研究所&ACADEMIC RESOURCE GUIDE(ARG)
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【サイト】 http://www.dhii.jp/

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