ISSN 2189-1621

 

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イベントレポート(1) 「国立国会図書館のウェブページを使い尽くそうアイデアソン ~NDLオープンデータ・ワークショップ」

◇イベントレポート(1)
「国立国会図書館のウェブページを使い尽くそうアイデアソン
 ~NDLオープンデータ・ワークショップ」
http://lab.kn.ndl.go.jp/cms/?q=opendata2015
 (橋本雄太:京都大学大学院文学研究科 博士課程後期)

 2015年2月21日、国立国会図書館東京本館にて「国立国会図書館のウェブページを
使い尽くそうアイデアソン~NDLオープンデータ・ワークショップ」が開催された。
同イベントは2015年の「インターナショナル・オープンデータデイ」に合わせて開
催されたもので、国立国会図書館が公開している各種のオープンデータの新しい活
用方法を、一般参加者のアイデアソンによって考え出そうという趣旨の企画である。
当初の募集人数は20名とのことであったが、当日は30名ほどの参加者が集まる盛況
であった。

 「アイデアソン(ideathon)」という用語に馴染みのない方も多いと思われるが、
これはideaとmarathonを組み合わせた用語で、特定のテーマに沿ってチーム単位で
アイデアを提出し、それを一定の時間内でまとめ上げ発表する作業である。同様の
イベントとしては、昨年の「じんもんこん2014」の併設イベントとして開かれたア
イデアソン「じんもんそん」が記憶に新しい。

 今回のイベントでは、事前アンケートの結果に基づいて、次の3つのディスカッシ
ョンテーマが設定された。

(1)書誌・典拠データを使い尽くす
(2)デジタルコレクションを使い尽くす
(3)レファレンスデータを使い尽くす

 上記のテーマ別に、5~6名から成る計7つのグループが作られた。ちなみに筆者が
参加したのは(2)のグループである。グループ分けが完了した後、各グループ内で
国立国会図書館がWeb上で公開しているデータを用いた新サービスを考案し、最後に
2分間のプレゼンテーションを行う。自由な発想が求められるため、アイデア出しの
最中の批判は厳禁である。

 筆者がアイデアソンイベントに参加するのは今回が初めてであったが、2時間程の
ごく短い時間内でグループのアイデアをまとめ上げ、発表できる形まで持っていく
のは、なかなかに骨の折れる作業であった。当日のイベントの模様については、参
加者のツイートをまとめたものを公開しているので、こちらも参照されたい(
http://togetter.com/li/786838 )。

 グループ作業の結果、筆者のグループでは、国立国会図書館デジタルコレクショ
ンと位置情報データを結びつける「陣取りゲーム」を提案した。他グループでは、
「Twitter上のツイート情報をもとに近代デジタルライブラリー上の資料をレコメン
ドするbotサービス」や、書誌・典拠データを活用した「藩主の人生を追体験できる
江戸時代人生ゲーム」、「時空間情報と概念情報の2軸で資料間のつながりを可視化
するサービス」などなど、非常に面白いアイデアが提出されていた。全体としては、
ソーシャルデータとの連携や、資料メタデータの可視化についてのアイデアが多か
ったことが印象的であった。全グループのアイデア発表後、同志社大学の原田隆史
教授から全体の講評があり、イベント終了となった。

 今回のイベント開催に限らず、ここ最近の国立国会図書館の動向からは、同館が
オープンデータへの取り組みを強力に推し進めていることが伺い知れる。2015年1月
には、同館のデジタルコレクションの全書誌データが一括ダウンロード可能になっ
た( http://www.ndl.go.jp/jp/aboutus/standards/opendataset.html )。筆者は
同館が運営する「近代デジタルライブラリー」向けのモバイルリーダー(
https://itunes.apple.com/jp/app/jindejirida/id959002223 )を開発しているが、
こうした国立国会図書館の提供サービスに依拠したアプリケーション開発に携わる
人間にとって、同館の取り組みは非常に頼もしいものである。今回のアイデアソン
イベントも、同館が推し進めるオープンデータへの取り組みの延長線上にあり、オ
ープンデータの具体的な活用法を探るための企画であると言える。今後とも、同館
が継続的にこうしたイベントを開催し、その過程で様々なアイデアや意見の交換が
行われることを期待したい。

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