ISSN 2189-1621

 

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分類

《巻頭言》「分類と階層化」

◇《巻頭言》「分類と階層化」
 (松森智彦:同志社大学 高等研究教育機構・文化情報学部 特別任用助教)

 分類とは、対象を理解するために行う最も基礎的な操作の一つである。しかし、
いざ分類を行ったあとに途方に暮れることがある。「分けたけど、どうすれば良い
のか」。最初から分類そのものをゴールにしておけば、何の問題も起きない。しか
し私達は欲張りなので、分類だけでは満足しない。対象の理解をゴールに設定し、
しばしば分類をその一過程とする。そうすると、分けたあとの処理が必要になる。
どうしたら、対象をより理解できるのか。この部分は分類とは別の操作であって、
「総合」や「関係」など、色々な名前で呼ばれている。正直、とても難しい処理で
ある。分類と対象の(本当の)理解との間には、深いギャップがあるのだ。

《巻頭言》「人文学を『分かる』」

◇《巻頭言》
「人文学を『分かる』」
 (美馬秀樹:東京大学工学系研究科/知の構造化センター)

 「分かる」とはどういうことか?語源としては「分ける」と同じとのことである。
つまり、「分ける」(分類する)ことが、「分かる」ことにつながる。通常、分類
するためには、特徴の抽出と比較(類を見つける)、加えて、抽象化(同類のグルー
プに対する命名)の過程が必須となる。

 古典的な動物分類は、その形態を特徴としたもので、例えば、ほ乳類は毛が生え
ている、鳥類は翼を持つなど、生物の表現系の比較により分類が行われてきた。言
わば、アナログな情報から、生物を「分かろう」としたわけである。曖昧さを含む
がゆえに、コウモリのような毛の生えた翼のある動物の分類を決めようとすると破
綻を来す。

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