ISSN 2189-1621

 

現在地

DHM 015

[DHM015]人文情報学月報

2011-08-27創刊

人文情報学月報
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄Digital Humanities Monthly

                 2012-10-26発行 No.015   第15号

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 ◇ 目次 ◇
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◇「時空間情報と人文情報学」
 (関野樹:総合地球環境学研究所)

◇人文情報学イベントカレンダー

◇イベントレポート(1)
「第96回 人文科学とコンピュータ研究会発表会 第7回 人間文化研究情報資源共有
化研究会 合同研究会」
 (山田太造:人間文化研究機構本部)

◇特集にあたって:JADH2012国際会議

◇特集:JADH2012国際会議(1)
「JADH2012:成果と展望」
 (鈴木崇史:東洋大学)

◇特集:JADH2012国際会議(2)
「JADH 2012報告」
 (Espen S. Ore:University of Oslo)
 (日本語訳:滝浪佑紀・東京大学大学院情報学環、永崎研宣・人文情報学研究所)

◇編集後記

◇奥付

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【人文情報学/Digital Humanitiesに関する様々な話題をお届けします。】
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◇「時空間情報と人文情報学」
(関野樹:総合地球環境学研究所)

○時空間情報とソフトウェア
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 「時空間」というと、GIS(地理情報システム)を連想される方が多いのではない
か。時空間情報を扱うにあたってまず必要になるのが可視化のための道具であり、
GISが空間情報について中心的な役割を担っていることは周知のとおりである。もと
もと地図上にデータを表現する作業は、どちらかといえば研究の中盤から終盤で結
論を表現したり検証したりする使い方が多かったように思う。ところがGISの発達と
普及により、データを「とりあえず」地図上に可視化してみるということが容易に
行えるようになった。これにより、収集してきたデータの有用性を吟味したり、様
々な仮説を試しながら結論の行く末に悩んだりすることが地図上でできる。結果と
して、GISは単なる可視化だけでなく、研究の初期段階でさまざまな試行錯誤をする
ための道具としても使われるようになってきている。

 ではもう一方の時間情報についてはどうだろうか?残念ながら、時間情報につい
てはGISのような可視化や試行錯誤のための道具はなく、依然として表計算ソフトな
どの利用が主流である。そういった状況を打破すべく有志の研究組織であるH-GIS研
究会( http://www.h-gis.org/ )が中心となって開発されたのが時間情報の解析ツ
ールであるHuTimeである。「時間情報にもGISのような解析環境を」を目標として作
られたこのソフトウェアにより、数値(折れ線グラフなど)、文字(年表)などの
多様なデータを手軽に時間軸上に並べてさまざまな試行錯誤が行えるようになって
きた。時間情報の解析環境が充実することにより、時間と空間の両面から検討を進
める真の意味での「時空間」の解析が実現しようとしている。なお、HuTimeの詳細
は、Webサイト( http://www.hutime.jp/ )をご覧いただきたい。

○「人文情報学」における時空間情報
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 時間や空間に関する情報は様々なデータに付随しており、メタデータだけでなく
本文テキストなどに含まれる時空間情報を抽出し活用することも模索されている。
これらを使って、「同じ場所」もしくは「同じ時」という点で異なるデータをつな
ぎ合わせ、その関連性を検証するいわば糊としての役割が時空間情報にはある。

 「人文情報学」のように広範囲で比較的緩やかに研究課題が繋がった研究領域を
考えると、そこにはそれぞれの研究目的に合わせた多様な種類のデータが存在して
いることが予想される。原因や結果といった直接的な関連だけでなく、研究対象の
背景やデータ生成の参考資料などとして、さまざまなデータを時間と空間に基づい
てつなぎ合わせる機会は多いであろう。また、「人文情報学」とはいったものの、
そこで扱われるデータは人文科学の中で閉じているわけではない。時空間という接
点を持つことで、自然科学のデータを関連付けて研究を進めることも当然考えられ
るわけである。さらに、学問という枠を超えて、実社会でも研究データが価値を持っ
てくる。たとえば、過去の地震や火山活動の記録を現代の防災に活かせる可能性は
盛んに報じられているとおりである。そういったさまざまな可能性を考えると、時
空間情報を他人も含めて利用できるよう心掛けることにより、自らのデータの可能
性を拡げるチャンスに繋げることができるかもしれない。

○時空間情報における「人文情報学」の役割
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 では、時空間という点で「人文情報学」には何が求められるだろうか?
 まず不足しているのが時空間情報を扱う上で基盤となる情報である。たとえば、
地名を緯度経度に置き換える地名辞書の機能は、文字で書かれたデータを地図上に
表現するために必須である。ところが、現代の地名については多くの情報が揃って
いるものの、歴史的な地名については情報が不足している。こいうった類の情報の
充実は、「人文情報学」を担う研究者の得意とするところではないだろうか?首尾
よく構築できれば、自身の研究だけでなく、将来にわたってさまざまな分野での活
用が期待される貴重な研究資源ともなろう。基盤情報という点では、時間情報では
さらに深刻である。時間においても、地名辞書のように歴史的な出来事の名称と時
間軸上の値(ユリウス通日など)を関連付けたり、異なる暦法に基づく時間情報を
相互に変換したりする仕組みなどが必要である。これらも人文分野の研究者の協力
なしには進まないところであるし、「人文情報学」がその橋渡しにもなると思われ
る。

 もう一つ、人文分野の時空間情報を扱っていてよく問題になるのが、あいまいな
時間や空間の表現である。時間であれば「○○頃」、場所であれば「○○付近」と
いった表現がしばしば用いられる。これについて正確な時間や場所を特定するとい
うのも一つのやり方ではあるが、研究対象の性質上不可能な場合も少なくないし、
かといってそこで立ち止まっては前に進めない。むしろあいまいな時間や空間情報
をどのように表現し、どのように解析を行うのか。そして、あいまいな時空間情報
を使ってどこまでの結論を導き出すことが可能なのかといった成果を積み上げるこ
とも時空間情報について「人文情報学」に期待される課題の一つだと考える。

執筆者プロフィール
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関野 樹(せきの・たつき) 総合地球環境学研究所 研究推進戦略センター 准教授。
情報処理学会 人文科学とコンピュータ研究会 主査。時間情報解析ツールHuTimeを
中心に、時間を使った情報解析や基盤情報の構築などに取り組んでいる。

Copyright(C)SEKINO, Tatsuki 2012- All Rights Reserved.
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◇人文情報学イベントカレンダー(■:新規イベント)

【2012年11月】
□2012-11-01(Thu)~2012-11-04(Sun):
37th Annual Meeting of the Social Science History Association
(於・カナダ/Vancouer)
http://www.ssha.org/annual-conference

□2012-11-02(Fri)~2012-11-04(Sun):
MediaAsia 2012/Third Annual Asian Conference on Media and
Mass Communication 2012
(於・大阪府/ラマダホテル大阪)
http://mediasia.iafor.org/

□2012-11-05(Mon)~2012-11-10(Sat):
2012 Annual Conference and Members’Meeting of the TEI Consortium
(於・米国/Texus)
http://idhmc.tamu.edu/teiconference/

■2012-11-16(Fri):
Digital Methodologies in the Sociology of Religion
(於・英国/University of Derby)
http://www.derby.ac.uk/digital-methodologies-in-the-sociology-of-religion

□2012-11-17(Sat)~2012-11-18(Sun):
情報処理学会 人文科学とコンピュータシンポジウム「じんもんこん2012」
(於・北海道/北海道大学)
http://jinmoncom.jp/sympo2012/

□2012-11-17(Sat)~2012-11-18(Sun):
第60回 日本図書館情報学会研究大会
(於・福岡県/九州大学箱崎キャンパス)
http://www.jslis.jp/

□2012-11-17(Sat)~2012-11-19(Mon):
2012 Chicago Colloquium on Digital Humanities and Computer Science
(於・米国/Chicago)
http://chicagocolloquium.org/

□2012-11-20(Tue)~2012-11-22(Thu):
第14回 図書館総合展
(於・神奈川県/パシフィコ横浜)
http://2012.libraryfair.jp/

■2012-11-24(Sat):
情報メディア学会 第14回 研究会
(於・東京都/東邦大学大森キャンパス)
http://www.jsims.jp/kenkyu-kai/yokoku/14.html

【2012年12月】
■2012-12-01(Sat)~2012-12-02(Sun):
第1回 アジア歴史地理情報学会 国際会議
(於・東京都/東京大学本郷キャンパス)
http://www.l.u-tokyo.ac.jp/~angisj/

■2012-12-22(Sat):
人文系データベース協議会 第18回 公開シンポジウム
(於・大阪府/大阪電気通信大学寝屋川キャンパス)
http://www.osakac.ac.jp/jinbun-db/5.html

【2013年1月】
■2012-01-25(Fri):
第97回 人文科学とコンピュータ研究会発表会
(於・東京都/東京大学 史料編纂所)
http://jinmoncom.jp/

Digital Humanities Events カレンダー共同編集人
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小林雄一郎(大阪大学大学院言語文化研究科/日本学術振興会特別研究員)
瀬戸寿一(立命館大学文学研究科・GCOE日本文化デジタルヒューマニティーズ拠点RA)
佐藤 翔(筑波大学図書館情報メディア研究科)
永崎研宣(一般財団法人人文情報学研究所)

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◇イベントレポート(1)
「第96回 人文科学とコンピュータ研究会発表会 第7回 人間文化研究情報資源共有
化研究会 合同研究会」
http://goo.gl/qDPYe
(山田太造:人間文化研究機構本部)

 2012年10月12日国文学研究資料館大会議室において、人文科学とコンピュータ研
究会(以下、CH研)による第96回 人文科学とコンピュータ研究会発表会(CH96)と
人間文化研究機構研究資源共有化事業委員会(以下、共有化委員会)による第7回 人
間文化研究情報資源共有化研究会の合同研究会が開催された。CH研にとっては、今
年度3回目の研究会であり、共有化委員会にとっては、2011年12月16日に行われた第
6回 人間文化研究情報資源共有化研究会以来、約1年ぶりの研究会であった。互いに
共催の関係で開催された研究会であるが、ここでは便宜上、合同研究会と呼ぶこと
にする。

 この合同研究会の開催経緯について述べる。CH研では、人文科学に関する情報資
源の記録・蓄積・提供およびそれらの人文科学分野への活用を中心に関する報告が
なされてきた。

 これは人間文化研究機構研究資源共有化推進事業の目的と非常によく似ている。
2005年より開始した人間文化研究機構研究資源共有化推進事業は、人間文化に関す
るさまざまな研究データベースを一元的、網羅的、かつ迅速に活用できる環境を創
出することを目的としており、事業の推進は共有化委員会によって行われてきた。
事業成果の一例として、2008年4月より人間文化研究機構統合検索システム
(nihuINT)を公開し、現在に至っている。双方の活動の近さから、私は今回の合同
による研究会開催は遠からず行われるべきだと考えていた。またCH研の主査・幹事5
名のうち3名までが共有化委員会委員であることから、この合同研究会開催は一部の
CH研および共有化委員会関係者もそう考えていたと思われる。2012年5月に共有化委
員会担当理事である石上英一氏に合同研究会の打診を行い、了承を得、早々に共有
化委員会との合同研究会開催が決定した。

 本発表会は、前述のとおり、東京都立川市にある国文学研究資料館にて開催され
た。また、場所的にも時期的にも研究会へ参加しにくい状況であったにもかかわら
ず40名もの参加があった。

 プログラムは次のとおりである。

○CH96 一般セッション
(1)近世口語テキストの構造化とその課題
 市村太郎(国立国語研究所)、河瀬彰宏(国立国語研究所)、
 小木曽智信(国立国語研究所)
(2)千字文の冒険―和漢比較文学研究における文字オントロジーの応用研究―
 相田満(国文学研究資料館)
(3)感情に応じた顔文字データベースの構築
 伊藤永悟(東洋大学)、藤本貴之(東洋大学)
(4)英訳語を見出し語としたデジタル仏教語彙集作成の可能性と問題点について
 辻村優英(総合地球環境学研究所、高野山大学)
(5)情報まちづくり論から見た図書館の役割
 井出明(追手門学院大学)
(6)石造遺物デジタルアーカイブ構築のための画像解析法の開発
 上椙英之(神戸学院大学)、上椙真之(宇宙航空研究開発機構)、
 多仁照廣(敦賀短期大学)

○第7回 人間文化研究情報資源共有化研究会・CH96 企画セッション
・開会挨拶
・第一部 地域の歴史文化遺産情報の保全
(7)地域歴史資料と「移動する歴史資料たち」の問題を考える
 西村慎太郎(国文学研究資料館)
(8)震災資料の保存と研究の必要性-なぜ、震災情報の集積が必要か-
 水本浩典(神戸学院大学)
・討論
 ディスカッサント:
  西村慎太郎(国文学研究資料館)、水本浩典(神戸学院大学)、
  長谷川伸(新潟市文化観光スポーツ部歴史文化課)、奥村弘(神戸大学)
・第二部 新統合検索システムと研究情報資源共有化
(9)nihuINTにおける人文科学研究資源の探索支援
 山田太造(人間文化研究機構)、古瀬蔵(国文学研究資料館)、
 安達文夫(国立歴史民俗博物館)
(10)網羅性を重視した古事類苑データベース
 古瀬蔵(国文学研究資料館)・相田満(国文学研究資料館)、
 山田太造(人間文化研究機構)
・討論
・閉会挨拶

 研究報告について述べる。合同企画セッションに先立ち、一般セッションでは6件
の報告があった。このセッションは当初9時15分開始を予定していたが、残念なこと
に立川での開催ということもあり、数名程度しか参加者がいなかった。そのため開
始時間を15分遅らせ、9時30分から開始した。6件の報告内容は、それぞれ、言語研
究者による利用を想定した近世口語テキストのデジタル化・コーパス化、『千字文
』漢字を利用した和漢テキストの比較、顔文字のデータベース化とその利用、英訳
語を用いた仏教語彙のデータベース化、まちづくりの観点からの公共図書館のサー
ビス・経営のあり方、石造遺物の記述を把握するための撮影法、と多岐に渡った。
一部、関連研究、利用方法、研究意義を見直すべき報告もあったが、大変興味深く、
次回の報告が待ち遠しい研究が多々あった。

 次に、合同企画セッションについて述べる。このセッションは2部構成であり、前
半は昨年3月の東日本大震災を受けて地域の歴史文化遺産情報をいかに保全するかに
ついて、後半は共有化委員会の事業に関係する研究情報資源共有化についての報告
がそれぞれ2件ずつあった。

 まず前半の報告について述べる。西村氏の報告は、これまでの地域歴史資料の保
存活動、阪神淡路大震災以降に発足した歴史資料ネットワーク(史料ネット)の活
動、東日本大震災後における史料ネットの活動についてであった。東日本大震災に
より保全が危うくなった歴史資料に対する史料ネットによる実際の活動もあわせて
報告があった。さらに、救出した資料の行方、とくに管理場所や所在の変化のよう
な移動する文書のような東日本大震災後に浮き彫りになりつつある資料保全の問題
の重要さも触れていた。

 水本氏の報告は、阪神淡路大震災時に作成された避難所に関する資料や復旧に関す
る公文書などの震災関係資料の保全だった。阪神淡路大震災後の避難所での実態を把
握する上で必要不可欠であろう資料から、東日本大震災後での避難所では何が必要と
なるかを判断することができるはずだったが十分に生かされていないことを示された。
さらに震災関係資料の廃却についても触れられており、その保全の重要さを説明いた
だいた。また会場では、避難所関係資料を回覧し、その資料がどのようなものであっ
たかを手にとって見ることができ、大変貴重な体験をすることができた。

 2件の報告の後、パネルディスカッションがあった。パネラーは報告者である西村
氏・水本氏に加え、長谷川氏および奥村氏の4名であった。阪神淡路大震災や新潟県
中越地震での経験をもとに東日本大震災への対応をどう考えるか、とくに保全の対
象と方針について討論があった。

 次に後半の報告について述べる。
 私(山田)の報告は、2012年5月にシステム更新を行った人間文化研究機構統合検
索システムであるnihuINTのシステム概要、データベース概要、および検索支援機能
の説明についてだった。CH研究会およびじんもんこんシンポジウムではnihuINTに関
する報告は、残念ながらこれまで行われていなかった。そのため、CH研関係者に向
けて広報の意味も込めて報告できたと考えている。できる限り、人文科学研究者を
中心に幅広く利用していただければ幸いである。

 古瀬氏の報告は、『古事類苑』のデジタル化であった。これまで国文学研究資料
館における『古事類苑』テキスト版データベースとは異なり、いかに『古事類苑』
全部を網羅するかを主眼とした抜粋版データベースにおける、デジタル化の方法、
検索方法、利用方法について述べられた。さらに『古事類苑』抜粋版データベース
の知識ベースとしての役割についても触れていた。

 その後、あまり時間がなかったのだが、人文科学研究資源の共有化と知識ベース
について討論が行われた。

 以上、CH研と共有化研究会の合同研究会の報告を記した。今回のような合同での
研究会開催を続けていくことは重要だろう。CH研と人間文化研究機構との関わりを
持ちつづけ、情報技術の人文科学への適用や人文科学情報学推進を行なっていくべ
きであり、各種研究プロジェクトを推進していく上で、相互に関わっていくことが
重要だと考えている。

 次回CH97は2013年1月25日(金)に東京大学史料編纂所大会議室にて開催する予定
である。CH97では文字情報のデータベース化と連携の可能性をテーマとした企画セッ
ションを東京大学史料編纂所との共催で行う予定である。一人でも多くの方に奮っ
てご参加いただきたい。

Copyright(C)YAMADA, Taizou 2012- All Rights Reserved.
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◇特集にあたって:JADH2012国際会議

 9月15日から17日に東京大学にて開催されたDigital Humanitiesの国際会議、
JADH2012は、世界中から多くの参加者を集め、大変盛況なシンポジウムとなりまし
た。今回は、テキスト分析を研究手法とする日本人の参加者として鈴木崇史さんに、
デジタル・アーカイブの研究開発を行っている海外からの参加者としてEspen S. Ore
さんに、それぞれの観点からのイベントレポートをご寄稿していただきました。な
お、すでに他にも http://21dzk.l.u-tokyo.ac.jp/CEH/index.php?JADH2012%20report
などのレポートが公開されています。(編集室)

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◇特集:JADH2012国際会議(1)
「JADH2012:成果と展望」
http://www.jadh.org/jadh2012
 (鈴木崇史:東洋大学)

 2012年9月15日から2012年9月17日にかけて、JADH(Japanese Association for
Digital Humanities)が主催する第2回年次国際会議JADH2012: Inheriting
Humanitiesが開催された。9月15日のワークショップに始まり、16日、17日には、本
会議で多くの発表が行われ、また、JADHの年次総会も同時に開催された。参加者数、
発表数、発表の質、海外からの参加者数など、いずれの点からみても、昨年度の第
1回会議と同等あるいはそれ以上の充実した内容であった。

 著者は、16日のポスターセッションでStylistic analysis of tweets that are
likely to be shared(*1)と題する発表を行うとともに、17日午後のDatabase
Constructionセッションで座長を務めた。本稿では、著者が参加し観察した限りで
の本会議の成果と今後の課題をごく簡単にスケッチしたい。

 今回の会議で、第一に印象に残ったのがセッションの多様性である。Literary
AnalysisやDatabase Construction、Database Usageといった、Digital Humanities
(DH)成立以前からさかんに行われてきた研究領域から、Scholarly Collaboration
やEducationなど、DHの確立、今後の展開を意識した領域まで、今回の会議では多様
なセッションが設けられた。このようなセッションの多様性は、今回のJADHの特徴
であるとともに、近年の本家DH国際会議の特徴でもあり、世界的な潮流に対応した
ものであるといえよう。

 第二に印象に残ったのが、日本独自の題材を対象とした研究発表の充実ぶりであ
る。日本舞踊のモーションキャプチャーをベースとしたInaba(*2)のデモンストレ
ーションや日本の漫画へのメタデータ挿入をテーマとしたHara and Naito(*3)の
発表は、新旧の日本(由来の)文化をDHの新たな切り口でとらえるものであり、題
材のおもしろさ、DHにおける発表水準、ともに高く評価できるものである。この点
は、JADHならではの特徴であるといえよう。

 以上に加えて、発表に対する参加者の質問、コメントの特徴にも印象に残るもの
がある。著者らの発表(*1)はTwitterを題材として、ユーザーアカウントの種別、
リツイートのされやすさに注目し、ツイートの分類、特徴分析を行うものであるが、
以前、前段階の研究内容を情報処理学 会全国大会で発表した際(*4)には、データ
サンプルの量、選び方、比較実験など、技術的なポイントに質問が集中した。一方、
JADHでは、これら技術的なポイントに加えて、日本でのTwitterの役割やツイートの
具体的な内容など、研究対象に関する質問を多く受けた。

 これは以前、著者が論文をLiterary and Linguistic Computing(LLC)誌に投稿
した経験とも一致する。その後、採択された論文(*5)は、LLCに投稿する前に、よ
り情報学よりの論文誌に投稿して いたが、そこでの査読者のコメントは上述の情報
処理学会でのものと同様に、主に技術的なポイントに関するものであった。
 LLCの査読でも、技術的な指摘はあったものの、それに加えて、コーパスや得られ
た知見をより丁寧に、わかりやすく記述せよ、といった人文系の読者を念頭におい
た査読コメントが多数見受けられた。この点で、LLCやDigital Humanities Quarterly
(DHQ)といったDH分野の論文誌に投稿しようとする研究者にとって、本会議の参加
は有用なものとなろう。将来的には、JADH独自の論文誌の刊行も予定されており、
こちらにも期待される。

 このような成果の一方で、この分野をさらに進めていくために、いくつか課題も
見受けられる。第一に、発表申込数の更なる増加をはかる必要がある。情報学系の
国際会議では、国際会議のプロシーディングスは、ジャーナルと同等の価値をもち、
査読もフルペーパーをもとに、厳密な基準で行われることがしばしばある。また、
発表採択率=発表採択数/発表申込数が会議の難易度、重要度を計測する指標とし
て利用され、発表採択率が低いほど、難関、重要な会議とみなされる傾向がある。
一方、人文学系の会議では、多様な発表、意見交換を重視し、査読もアブストラク
トをもとに、会議への妥当性のみを判断基準として行われることが一般的である。
著者の申込、査読経験からすると、本家DHは、Extended Abstractを対象とした査読
ではあるものの、比較的厳密な査読基準があり、採択率も情報学系トップ会議ほど
ではないものの、それなりの水準には達していると予想される。ひとまず、JADHが
本家DHと同程度の位置づけを目指すとするならば、発表数の増加をはかり、会議の
認知度をさらに高めていく必要があるであろう。それによって、査読水準を高め、
発表水準もさらに高めていくことができるであろう。

 第二に、これと関連して、工学系、理学系のバックグラウンドをもつ研究者への
アピールをより一層促進する必要がある。今回のJADHは人文学系のバックグラウン
ドをもつ研究者の発表がやや多い印象を受けた。DHが人文学にどの程度重点をおき、
情報学にどの程度重点をおくのかという議論はひとまずおくとして、DHが人文学と
情報学の学際領域、境界領域に位置づけられることに大きな異論はないと思われる。
そのような観点からは、さらに一層、工学系、理学系のバックグラウンドをもつ研
究者へのアピールがあってもよいように思われる。それが発表数の増加にもつなが
るであろう。

 上述のような課題はあるとしても、JADHは、この分野を日本で、あるいは世界で
進めていくにあたって、重要な役割を果たすものとなりつつあることは間違いない。
次年度の第3回会議は立命館大学で行われる予定である。より一層の発展を期待した
い。

(*1)Arakawa, Yui, Kameda, Akihiro, Aizawa, Akiko, Suzuki, Takafumi(2012)
Stylistic analysis of tweets that are likely to be shared, JADH2012
Conference Abstract: 2nd Symposium of Japanese Association forDigital
Humanities, 48.
(*2)Inaba, Mitsuyuki(2012)Constructing 3D Metaverse for Inheriting and
Sharing Japanese Traditional Culture, JADH2012(Demonstration).
(*3)Hara, Shoichiro and Naito, Motomu(2012)Design of Organizing MANGA
Multimedia, JADH2012 Conference Abstract: 2nd Symposium of Japanese
Association for Digital Humanities, 37-38.
(*4)荒川唯・亀田尭宙・相澤彰子・鈴木崇史(2012)Retweetに着目した広がりや
すいTweetの特徴分析,情報処理学会第74回全国大会発表論文集,1.617-1.618.
(*5)Suzuki, Takafumi, Kawamura, Shuntaro, Yoshikane, Fuyuki, Kageura, Kyo,
Aizawa, Akiko(2012)Co-occurrence-based indicators for authorship analysis,
Literary & Linguistic Computing, 27(2), 197-214.

Copyright(C)SUZUKI, Takafumi 2012- All Rights Reserved.
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◇特集:JADH2012国際会議(2)
「JADH2012報告」
http://www.jadh.org/jadh2012
 (Espen S. Ore:University of Oslo)
 (日本語訳:滝浪佑紀・東京大学大学院情報学環、永崎研宣・人文情報学研究所)

 第二回JADHシンポジウムは、9月15日のプレカンファレンス・ワークショップと共
に、9月16日と17日に、東京大学において開催された。会議に関しては、同時進行的
にTwitterでコメント・報告され、収集されたつぶやきは以下のTopsyにおいて見る
ことができる。

http://topsy.com/s?order=date&q=%23jadh2012&window=a

 また、少なくとも一人の参加者(Ryan Hunt)によって、報告書が公開されている。

http://ivrytwr.com/2012/09/19/links-of-the-week-jadh-2012-edition/

 大阪大学における昨年の会議は、新しく設立されたJADH主催の最初の会議であっ
た。JADHとは、新しく国際組織ADHO(Alliance of Digital Humanities
Organizations- http://www.adho.org/ )の傘下に入った、日本デジタル・ヒュー
マニティーズ学会(Japanese Association for Digital Humanities)のことである。

 3年前、東京大学と大阪大学は、欧州デジタル・ヒューマニティーズ学会ALLC
(The European Association for Digital Humanities)と共同で、テキスト分析と
テキストエンコーディングをはじめとする、デジタル・ヒューマニティーズのさま
ざまな側面に関するワークショップを開催した。同年および翌年のワークショップ
では、基本的なテキストエンコーディングとTEIに関する講義があった。これはさら
に、大阪でのJADH(OSDH)2011におけるプレカンファレンス・ワークショップで発
展させられた。

 今年の東京では、キングス・カレッジ・ロンドン(TEI役員会の議長でもある)の
Elena Pierazzoが終日にわたって、「TEIにおける文書に基づく生成的編集入門」
――とはいえ、初心者のためのコースでは全くなく、テキストエンコーディングと
TEIに関して確固たる基礎知識が必要だったが――と題されたプレカンファレンス・
ワークショップを開いた。Pierazzoはグラフィック情報をエンコードするために、
どのようにページにゾーンを設け、テキストをこれらのゾーンにリンクさせ、SVG
(Scalable Vector Graphics-XMLでベクタグラフィックスを保存するフォーマット
)を使用するのかを示した。手書き原稿(あるいはテキスト一般)をこのようにエ
ンコードするにあたって必要とされるものの一つは、ユーザーがページ上の画像を
クリックすると自動的に、位置座標と当該のテキストをリンクしてくれるGUIであり、
できることならoXygenのようなツールに組み込まれていることが望ましいものであ
る。

 土曜日のワークショップの後、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校のJ.
Stephen Downieが「HathiTrustリサーチセンター――大規模テキスト分析の最前線
」と題して、プレカンファレンス・プレナリーレクチャーを行った。この講演でと
りわけ興味深かった点は、このような方法で組織されたアーカイブは、いかにして
著作権問題を切り抜けつつ、研究者が大規模なテキスト・コレクションで研究する
ことを可能にするのかということにあった。議論は主として、英語で書かれた文書
と英国および米国の著作権法に向けられていたが、この問題は原理的に、他の言語
や地域に対しても応用可能である。

 公式のシンポジウムは9月16日、日曜日の午前、開会式でのいくつかの講演ととも
に幕を開け、その後、文学研究と学術的共同作業に関する並行セッション、さらに
それに続くセッションへとわかれていった。極めて充実した投稿を集めたカンファ
レンスではしばしば起こるように、どのような関心でどういったセッションを辿っ
ていくかを決めることは難しかった。こうした状況において、アブストラクト集は
カンファレンスの重要な成果のひとつだと言える。アブストラクト集はPDFファイル
の形式で、オンライン上から入手可能である。

http://www.jadh.org/JADH2012-Abstracts-Online.pdf

 様々な発表を通して、繰り返し現れてきたように思われる論点の一つは、テキス
トがある版やテキストアーカイブに収められるにあたって、それは単なるエンコー
ドされたテキストを超える必要があるというものである。すなわち、コレクション
あるいは版が、単純で小さなコレクション以上のものであるためには、何かしらの
データベース・システムが必要だということである。

○基調講演
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 カンファレンスにおける基調講演は、個々のフィールドや学術的トピックから、
デジタル・ヒューマニティーズの全体的な議論へと、私たちの関心を広げてくれる
ものであった。HathiTrust研究センターに関するプレカンファレンス・レクチャー
の後、公式となるシンポジウムの初日は、Susan Schreibmanの講演で締め括られた。
それは、『デジタル・ヒューマニティーズ入門』と現在計画中の新しい版の構成を
ベースとした、デジタル・ヒューマニティーズの様々な側面についてのものだった。

 2日目午前のElena Pierazzoによる基調講演「DH――馬鹿げているか、必要か?」
は、様々なDHコースやカリキュラムの盛衰の例を示し、DHの学生のための前提条件
について議論をしたという点において示唆に富んでいた。彼女は指摘したことの一
つは、伝統的にDHコースは、人文科学における伝統的な分野での学術的なバックグ
ラウンドを持っており、そこにデジタルツールを追加した人たちによって発展させ
られてきたということだった。しかし、学生――とりわけ学部生――には、それは
期待できないのであり、これが、例えばキングス・カレッジ・ロンドンでもはや学
部レベルでDHのコースがないことの理由だろう。

 バージニア大学のBethany Nowviskieは、「失敗するには小さすぎる――バージニ
ア大学図書館におけるスカラーズ・ラボ」と題し、スカラーズ・ラボの機能と組織
について発表した。彼女の説明するところのラボは、多くの仕方で、フラットで非
階層的な構造を持っており、開かれた共同作業に基づいている。聴衆の多くは、
Bethany Nowviskieを上司として、そこで働きたいと思っただろう。実際、そこは幸
せな職場であるばかりでなく、多くのものが集められているという意味で、生産的
な場でもあるのだ。
 キングズ・カレッジのHarold Shortは、閉会式で基調講演を行い、関連する様々
な状況のなかでのDH関連組織の国際的な構造についてのスナップショットを示した。

○並行セッション
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 シンポジウムの大部分で2つのセッションが同時並行していたことを考えると、私
が多くの興味深い発表を聞きのがしたことは明らかである。以下は、いくつかのセッ
ションの簡単なレポートであり、言及されていないからといって、それが重要でな
い、あるいは興味深くないというわけではない。

○学術的共同作業
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 学術的共同作業に関する日曜日午前のセッションは、ウィキブックス
http://en.wikibooks.org/wiki/The_Devonshire_Manuscript で公開されている
『Devonshire写本』(BL Add 17,492)を例として使用した、ビクトリア大学のRay
Siemensの発表から始まった。Siemensは、これは〔この事例にとって〕非常に適し
た写本であると説明した。というのも、この写本自体が男性と女性による共同作業
の成果だからである。採り上げられたプラクティカルな問題の一つとしては、若い
研究者がいかにして共同作業から必要な学術的メリットを得るかという問いがあっ
た。人文学では、医学や科学一般の場合に比べて、この伝統が弱いというのである。
 Devonshire写本の版は、ウィキブック版に収められる前に、研究者が個々にふさ
わしい出版物で自らの成果を発表するという考えに基づいて進められている。一部
の雑誌は執筆者に対して自らの論文をオープンアクセスのウェブ・サイトに載せて
公開することを許可していないという問題があるかもしれないが、しかし、いずれ
解決されるだろう。

 英語ルネッサンスの作品から敦煌チベット語のテキストに移り、東京外国語大学
の松田訓典と星泉は、ウィキのシステム(PukiWiki)から始まった仕事を発表した。
しかし、より高度に整形されたデータの必要性が感じられたため、現在では、デー
タはPostgreSQLリレーショナル・データベースに保存されているとのことである。
テキストは http://otdo.aa.tufs.ac.jp/ で利用可能であり、KWICツールを用いる
のと同様に、テキストのリストおよび書誌データの両方を通してエントリーできる。
ウェブベースの出版物に加えて、テキストはモノグラフ・シリーズとしても出版さ
れている。Devonshire写本の版と同様に、モノグラフ・シリーズとして出版される
一つの理由は、版を出版した学者が必要な学術的メリットを得られることを確実に
することにある。

 花園大学の後藤真は、正倉院文書のウェブ版について発表した。このコレクショ
ンでは、物理的な順序(巻物や巻物の字面)は、必ずしもテキストの内容を直線的
に表してはいない。以前に出版された、これらのテキストの紙ベースの選集版は、
それぞれが独自の連続性を確立させていた。テキストはXMLでエンコードされたテキ
ストデータとして、データベース(SOMODA-正倉院文書データベース)に保存されて
いる。これによって、〔ある特定の仕方での〕選集、前の版に倣ったテキスト、見
るにあたっての物理的順序(巻物)など様々な仕方で、テキストを抽出することが
できる。

 セッションは、デジタル版とは保存された――望むらくはエンコードされた――
テキストとそれらを様々な視野のもとでフィルタリングするツールの組み合わせで
あると主張した、京都大学のChristian Witternの発表によって締め括られた。これ
はすでに、ArtSpace Tokyo guide( http://read.artspacetokyo.com/ )などの商
業的製品に使われている。そして、私たちはオスロでイプセンの電子版で同じよう
なことをしており、このことに驚いた。私たちは以下のページでXML文書、PDF版お
よび電子ブック版を公開している。(
http://www.ibsen.uio.no/DRVIT_Du%7CDuht.xhtml

○時間と空間
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 午後のセッションの最初の二つの論文は、歴史・考古学的分析における統計ツー
ルとGISの利用についてのものだった。両プロジェクトとも、フリーで使えるソフト
ウェアを使用している。同志社大学の松森智彦は、遺跡の地理的クラスター分析の
ためのドロネー分割の使用法について発表した。ドロネー分割を使用する理由につ
いては異論があり、発表者はドロネー分割によって、すべての点はそれにもっとも
近い点と結ばれると主張したが、さらなる議論の余地があるだろう。同ソフトはGN
Uのライセンス下で、 http://tmats.net/pine3/ において利用可能である。京都大
学の清野陽一は、GISシステムのオープンソースGRASS( http://grass.fbk.eu/
とティーセン多角形を使用した。このシステムは、いわゆる「律令国家」の行政の
中心地を分析するために使用され、「郡」という行政単位内でもっとも移動に便利
であるという論理的だと思われる場所に対して、実際に中心地はどこに位置してい
たかを見ることを可能にする。清野は続いて、実際の中心地の場所は必ずしもティ
ーセン多角形に合っていないことを示し、中心地の場所を説明するためには、純粋
に地理要因以外のファクターも考慮に入れなければならないと主張した。

 椙山女学園大学の杉藤重信と共に、セッションは地理的考察から、時間と家族関
係に関する議論へと移行した。アライアンス・プロジェクトは、関係性や家系図デ
ータを蓄積し、表示するためのデータベースおよびモデルを開発している。杉戸の
研究はオーストラリアのノーザンテリトリー州アーネムランドにおける調査に基づ
いているが、アライアンス・プロジェクトとそのデータベース・モデルはより一般
的に適用可能だろう。というのも、このモデルは家族関係を構成するものに対し、
いかなる予め想定された形式も押し付けないからである。ソフトウェアは、カンファ
レンスのブログ http://study.hs.sugiyama-u.ac.jp/e/ で利用可能である。

○データベースの使用法
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 月曜午前のElena Pierazzoによる基調講演(上記参照)の後、私が出席した最初
のセッションは、ニュージーランドの災害の考証、ネパールの写本コレクションか
ら、オーストラリア先住民の言語の目録化までを扱った。

 ニュージーランド・カンタベリー大学のJames Smithiesは、2010年と2011年に同
国南島の最大の都市であるクライストチャーチを襲った地震を記録するために開設
されたデジタル・アーカイブについて発表した。このアーカイブは、単一の大きな
データベースというよりも、複数のアーカイブとデータベースを組み合わせたもの
である。この多層的な構造により、ブログをはじめとする私的な情報源からも記録
を集めやすいようになっている。そして、システムの中心部で、個々に独立して保
存された情報の断片をリンクすることができる。Smithiesによれば、オープンソー
スのソフトウェアを使用したこのモデルは、他の似たようなアーカイブの構築にとっ
ても、利用可能なパッケージとして考えることができるということである。

 ニュージーランドからネパール・ドイツに移り、ドイツ・ハンブルグ大学のKengo
Harimotoは、ネパールとドイツの写本目録プロジェクトにおける写本カタログにつ
いて発表した。このプロジェクトは、長い歴史を持ち、1970年から2002年にかけて
遂行されたネパール・ドイツの写本保存プロジェクトを引き継いでいる。この長い
歴史とマイクロフィルムやワープロのテキスト文書に基づくカタログの初期の版と
ともに、現在の仕事の重点は、カタログにとって有意義なウェブ・インターフェイ
スを提示できるメタ構造を構築することに置かれている。もしデータがリレーショ
ナル・データベースに保存されたとしたら、多対多の関係とは実際上どのようなも
のか、という問題をはじめとする、克服されるべき問題のいくつかは解決されるだ
ろう。とはいえ、現在のところ、主な作業は、既存のデジタルソースをウェブ上で
利用可能とすることに集中しているとのことである。

 オーストラリア・アボリジニ・トレス海峡諸島研究所(AITSIS)のKazuko Obata
は、オーストラリアの先住民族の言語データベース(AUSTLANG)について発表した。
ある意味において、ここには、系統図データベースに関する前日の杉藤重信の発表
と類似点があるだろう。オーストラリアの言語にとって、言語とは何であるのか、
それが何と呼ばれているかについては必ずしも明確ではない。政治的な理由のため
に、あるグループの人たちの言語はその隣のグループ(隣の島など)の言語と異なっ
ていると主張したほうが便利であるだろう。そして、植民地時代と現代のオースト
ラリアの入植を通じて、入植者が出会った先住民族の言語は、多くの異なった名を
与えられている。AUSTLANGデータベースは、さまざまな言語とそれらを記述するた
めに使用された名前に関するユニークな識別子を保持していると思われる。データ
ベースは、Googleマップとリンクし、地図上にクエリの結果を表示することができ
るようになっている。

○データベース構築
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 9月17日の月曜日、私が最後に出席した並行セッションは、1675年あたりにおける
英国の学校ドラマのコレクションを含んだ、手稿のオンライン版に関する発表から
始まった。作業はフィンランドのオウル大学で行われ、Lisa Lena Opas-Ha"nninen
を中心とする学者のグループによって発表された。この版は一方において、学術校
訂版である。他方、そのコンテンツである戯曲は、おそらく舞台制作者にとっても
読むことが可能な形式でダウンロードできなければならない。いくつかの点で、こ
れは前日のChristian Witternによる発表に私たちを連れ戻してくれる(上記参照)。
私が重要であると信じている一つの瞬間は、Ilkka Juuso(オウル大)が「ツールの
再利用は話題になっているが、皆が各々独自に発明している」と言った時である。
ヘンリック・イプセン作品のオンライン版が最終段階にあり、多くの人と意見交換
をしていると、私はこの言明に多くの真実があることを認めざるをえない。

 京都大学の原正一郎と株式会社ナレッジ・シナジーの内藤求は、我々を、王政復
古期の英国学校ドラマから漫画という現代日本(およびインターナショナル)文学
へと連れて行った。漫画に関するマルチメディア・データベースをめぐっては、多
くのアプローチを同時にしなければならないというのは理に適っているだろう。シ
ステムは、書誌メタデータ(ダブリン・コアを使用して)、フレーム、絵、テキス
ト間の物語上のつながりを定義する構造に関するメタデータ、映画やテレビの場合
と同じように定義されるシーンに関するメタデータを持っている。このシステムは
トピックマップを使って組織され、tologをクエリ言語として、トピックマップの検
索が可能となっている。またこのシステムでは、異なる言語で同じシーン――ある
いはフレーム――を保存することが可能となっている。しかし、トピックマップの
構築、あるいはシーンやフレームなどのユニットのエンコーディングは手作業で行
われているようなので、大量のものを記録することはどれほど実現可能だろうかと
いう疑問も感じた。とはいえ、骨格の登録は自動的に行うことができるだろうし、
おそらくその後、部分的に選択された箇所を深く分析することもできるだろう。

 鶴見大学の大矢一志はこのセッションを、記述言語学を共有するためのコーパス
に関する計画の発表で締め括った。大矢は配布資料としてフルペーパー版を配布し、
シンポジウムのセッションでは、この中のいくつかの項目を議論した。いくつかの
問題は、同日の早い時間にKazuko Obataによって導入された議論に関連していたが
(上記参照)、ここでの問題は、AUSTLANGの場合とは異なり、メタデータであると
いうよりも、言語データそのものであった。大矢は、テキストデータの異なったシ
ステム、モデル、表現(エンコーディング)に由来するコーパス共有に関する問題
を列挙した。理想を言えば、記述言語学者は共通システムの利用に一本化すべきだ
ろう。

○他の発表セッション
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 上記のように、他の並行セッションに出たため、出席することのできなかった発
表が少なからずあった。しかし、私は発表者の何人かとは話をしたし、アブストラ
クトも読んだので、聴き逃したものについてもいくらかは知っている。「文学の分
析」と題された1日目の最初のセッションでは、文学作品の分析についての発表ばか
りでなく、著者とその関係性のネットワーク解析についての発表もなされた。この
アプローチは、日本語以外の言語地域においても興味深い結果を提示してくれるだ
ろう。例えば、比較的最近のノルウェー人作家Ragnhild Joelsenの伝記に関して言え
ば、彼女は通常主張されているよりもずっと、当時のノルウェーの文学コミュニティ
ーに深く関わっていたと示すことができるというように。JADH2012のこの発表では、
そのようなネットワークを記述し、分析するためのツールに関しても議論された。
このセッションでは、DHツールの聖書への適用を論じた発表がさらに二つあり、最
後の発表はより最近の文学に戻って、テキストマイニングを論じた。

 昼食後、OCRに必要な、ドキュメント・ページの解析についての発表があった。こ
れは同じ研究者たちによるポスターセッションでの発表にも関係していた。セッショ
ンは、日本の歴史的なテキストのn-gram解析の発表、さらには日本の歴史的なテキ
ストのための写本システムの発表と続いた。

 2日目に行われたセッションの一つは、人間のインタラクションを扱った。DHに度
々現れる問題の一つは、グループのメンバーが異なったタイムゾーンに広がり、異
なった文化的背景を持っているという国際的な仕事に関わっている。また、別の発
表は、ある文化的背景に基づきながら、TED(Technology Entertainment and Design)
をDH内で使い得るプレゼンの例として使用したものだった。また、ストーリーや文
化を紹介する別の方法は、稲葉光行によって発表された(彼はポスター発表で、ヴ
ァーチャル世界のデモも行った)。彼は日本の伝統文化の例を例に、セカンドライ
フの世界を構築した。しかし、現代日本文化のいくつかの側面は、この枠組みでは
ちょっと問題があった。というのは、アニメ映画に登場するトトロ(スタジオジブ
リ)のような外見を持つアバターは、神社でのお浄めのような行為をするのには、
ちょっと体型がふさわしくなかったからである。

 昼食後、ハミルトン大学の学者のグループによる教育に関するパネルがあった。
ある意味において、これは、同日午前のElena Pierazzoによる基調講演と並んで、
DHと学部学生に関するもう一つの見解だと見なすことができるだろう。ハミルトン
大学では、学部生も巻き込んだ学際的プロジェクトができるようになっている。

○ポスター
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 ポスターセッションは、文学的・言語学的分析から、古代エジプトのヒエログリ
フ文字への古文書学的アプローチやグーテンベルク聖書(慶應グーテンベルク聖書
)のインタラクティブディスプレイまで、幅広いテーマにまたがっていた。文体分
析の事例は、村上春樹の小説における言語の通時的研究(とりわけ)から、多くの
フォロアーを持つ投稿者のツイートが投稿され、リツイートされる度合いを基とし
た、つぶやきの文体分析(Twitterのメッセージ)まで多岐に渡っていた。発表され
たプロジェクトの中には、コーパス構築に関するものもあった。テキストコーパス
は重要であり、しばしば長期にわたって永続的な価値を持っている。今回は、テキ
スト選択や日本語の通時的コーパスのためのプロトタイプが示された。

○企画者への謝辞
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 最後に、この重要かつ興味深いシンポジウムにお招きいただき、企画者の皆様に
感謝をしたいと思います!それから、月曜日の昼休みに素晴らしい琴の演奏を聞か
せてくれたミュージシャンにも感謝します。

Copyright(C)Espen S. Ore 2012- All Rights Reserved.
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*特殊文字については次のように表記しました。
ノルウェー語:oe
ウムラウト:a"

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 配信の解除・送信先の変更は、
    http://www.mag2.com/m/0001316391.html
                        からどうぞ。

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◆編集後記(編集室:ふじたまさえ)
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 人文情報学月報第15号、いかかでしたか?今号は、先月予告したとおり、後半に
JADH2012の特集としてイベントレポート2本を掲載しました。2本ともタイプの違う
イベントレポートで、編集しながらとても興味深く拝読しました。

 巻頭言にご寄稿いただいた時空間情報についての論考の中では、特に「あいまい
な概念」についての問題点が指摘されていたことが印象に残っています。というの
もこの問題は実は時空間だけではなくて、図書を探す際の検索でも同じ問題がある
からです。人文情報学が進化してこの問題についての糸口がみつかり、その他の分
野でも活用できることを勝手に期待し、また、ご寄稿いただいた皆さまに感謝して、
今号のしめくくりとさせていただきます。ありがとうございました。

 人文情報学月報では今後も、さまざまな立場からのご寄稿を掲載していきたいと
思います。

◆人文情報学月報編集室では、国内外を問わず各分野からの情報提供をお待ちして
います。
情報提供は人文情報学編集グループまで...
       DigitalHumanitiesMonthly[&]googlegroups.com
                  [&]を@に置き換えてください。

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人文情報学月報 [DHM015] 2012年10月30日(月刊)
【発行者】"人文情報学月報"編集室
【編集者】人文情報学研究所&ACADEMIC RESOURCE GUIDE(ARG)
【E-mail】DigitalHumanitiesMonthly[&]googlegroups.com
                 [&]を@に置き換えてください。
【サイト】 http://www.dhii.jp/

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