ISSN 2189-1621

 

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DHM 021 【前編】

2011-08-27創刊

人文情報学月報
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄Digital Humanities Monthly

             2013-04-30発行 No.021 第21号【前編】 339部発行

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 ◇ 目次 ◇
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【前編】
◇《巻頭言》「日本語歴史コーパスとコーパス利用リテラシー」
 (近藤泰弘:青山学院大学文学部/国立国語研究所言語資源研究系)

◇《連載》「Digital Humanities/Digital Historyの動向
      ~2013年3月中旬から4月中旬まで~」
 (菊池信彦:国立国会図書館関西館)

【後編】
◇人文情報学イベントカレンダー

◇イベントレポート(1)
「Code4Lib Conference 2013」
 (大向一輝:国立情報学研究所)

◇イベントレポート(2)
日本デジタルゲーム学会 2012年次大会(DiGRA JAPAN 2012)
「デジタルゲーム研究の発展-アジアを背景としたコンテンツ創成・地域の魅力の
発信」
 (尾鼻 崇:中部大学人文学部)

◇イベントレポート(3)
「CAA 2013:考古学におけるコンピュータの利用と数量的方法に関する第41回国際
会議」
 (近藤康久:東京工業大学大学院情報理工学研究科)

◇イベントレポート(4)
文化情報資源政策シンポジウム「文化情報資源政策の確立を求めて:利活用に関わ
る課題を中心に」
 (眞籠 聖:国立国会図書館)

◇編集後記

◇奥付

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【人文情報学/Digital Humanitiesに関する様々な話題をお届けします。】
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◇《巻頭言》「日本語歴史コーパスとコーパス利用リテラシー」
 (近藤泰弘:青山学院大学文学部/国立国語研究所言語資源研究系)

 今回この巻頭のスペースをいただいたので、私の関係しているひとつのコーパス
をご紹介しながら、言語学的コーパスの利用に関わる話題をひとつ述べてみたい。

 国立国語研究所のコーパス開発センター(*1)と、同じく私どもが行っている国
語研究所の基幹型共同研究プロジェクト「通時コーパスの設計」(*2)との共同作
業によって開発中の「日本語歴史コーパス」が先頃一部公開された。「日本語歴史
コーパス平安時代篇(先行公開版)」( http://maro.ninjal.ac.jp )という名称
だが、ご関心のある方はぜひ一度御覧いただければ幸いである。

 このコーパスでは、平安時代の著名な文学作品の一部(『源氏物語』『古今和歌
集』『枕草子』『竹取物語』『土佐日記』等、10作品)を、形態素解析し、国語研
の短単位(いわゆる単語相当)に分割した上で、XMLで、語彙素(活用がある時の終
止形)、読み、品詞、活用形の種類などの言語研究に必要なアノテーションを付加
してある。世界的には、このような古典語を対象とした言語学的なコーパスは数多
く作成、公開されているが、日本では、これが最初の試みということになる。一般
ユーザからのコーパスの利用は「中納言」と名付けられた国語研究所のコンコーダ
ンス生成ソフトウェア(Webアプリケーション)のサイトにアクセスすることで行う。
研究者の方は誰でも利用登録が可能なので、上記、歴史コーパスのサイトをご参照
いただき、利用登録を行っていただきたい。

 本コーパスは、プロジェクトに参加している、この方面に関心のある日本語史研
究者からの要求仕様を満たすように作られており、従来からある現代語コーパス
(現代日本語書き言葉均衡コーパス(*3))や、田中牧郎氏が中心となって行って
きた近代語コーパス(*4)の作成で培われた国語研のコーパス技術を駆使したもの
で、その信頼性は高い。特に、日本語の古典語コーパス作成にとって最大の難関で
ある斉一な形態素解析を実現するために、小木曽智信氏の開発された中古和文
UniDic、近世和文UniDic(*5)を用いて形態素解析を行っており、従来の個別作品
の市販データに見られた、解析のばらつきを最小限に止めていることに大きな特徴
がある。また、その本文は、古典文学の代表的底本とみなされている『小学館新日
本古典文学全集』(*6)で、文学研究者にとっても使いやすいものとなっている。
新編全集を底本にしているため、そのページ数などを頼りに、元の本文を参照する
ことも容易である。

 では、次に、このコーパスによってしかできない研究方法をいくつかご紹介して
みたい。まずは、やはり、品詞名をキーとした検索が面白い。平安時代の「副詞一
覧」「形容詞一覧」などが前後の文脈付きでただちに作成可能だ。これは、一昔前
なら、卒論レベルの作業であるが、秒単位でできてしまう。

 また、先に述べたように、品詞情報(句読点含む)や活用形が詳細にアノテーシ
ョンとして付加してあり、それをキーにして、複数組み合わせた検索が可能である
ため、たとえば、「動詞連体形の次に句点(。)が並ぶ」というような検索が可能
だ。通常「終止形の次に句点」が来るように解釈されて古典の校訂本文が作成され
ているはずであり、「連体形」の次に句点が来るのは異例だ。つまり、これによっ
て検索されるのは、いわゆる係り結びのうち、「ぞ」「なむ」などを承ける結びの
連体形や、感動を表すいわゆる「連体止め」などであり、「終止形」ではなく「連
体形」で文が終わるものの全例を一瞬にして検索できるのである。

 昔から、平安時代の連体形終止のあり方についてはいろいろな説があるのであり、
このような調査を行うことは日本語文法史研究者にとっては至便である。現在のバ
ージョンでは、作品名による限定出力ができないが、近いうちのバージョンアップ
で、『源氏物語』のみの用例を出力する、などの機能を付ける予定である。

 もちろん、現代語のコーパスでも、同様の文法情報による検索は可能であるが、
古典語の場合は、もともと言語資料が限られているため、例えば『源氏物語』につ
いての悉皆調査ができることは、現代語のコーパスよりもその効果が高いのである。

 ただ、この種の文法情報を持ったコーパス全般に言えることだが、文法情報のア
ノテーションはあくまでもコーパス作成者の解釈によるものであり、「語の出現ペ
ージ数」とか、「作品名」とか、「作者名」のように明確に定まっているアノテー
ションとはその性格が違うということを覚えておかなくてはならない。

 例えば、助動詞「む」は、連体形と終止形とは同形であるが、このコーパスを使
えば、「終止形」の「む」の全例と、「連体形」の「む」の全例を簡単に検索、出
力できる。しかし、これを用いて、学術論文を書くときには慎重でなくてはならな
いのは言うまでもない。多くの場合は、自分で、その「連体形」と「終止形」の分
布状況について、再調査して、コーパスの記述の妥当性について検討する必要があ
るだろう。しかし、と言って、すべての場合に再調査をしていては、研究の能率が
あがらない。極端な話、コーパスの本文テキストが印刷本の通りであるかどうかも
厳密にはわからないのであり、利用者がその確認を行ってからでないと研究として
発表できないということでは、コーパスの存在意義がなくなる。

 ここでは、両極端の場合を出したが、多くの場合は、この中間であり、研究目的
に応じて、自分がどのレベルでコーパスの本文やアノテーションを利用していくか
が決まってくる。一般的に、コーパス利用のリテラシーといったものが存在すると
考えていいと思うが、それは、現代語コーパスよりも、古典語コーパスの場合にお
いて、よりシビアに考えていかなくてはならない問題である。単に、コーパスは素
晴らしい、コーパスはダメだという話ではなく、正しいコーパス利用リテラシーを
考案し、それを広めていくことも、コーパス作成者の務めではないかと思うのであ
る。

(*1) http://www.ninjal.ac.jp/corpus_center/chj/
(*2) http://historicalcorpus.jp
(*3) http://www.ninjal.ac.jp/corpus_center/bccwj/
(*4) http://www.ninjal.ac.jp/corpus_center/cmj/
(*5) http://www2.ninjal.ac.jp/lrc/
(*6) http://www.japanknowledge.com/contents/intro/cont_koten.html

執筆者プロフィール
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
近藤泰弘(こんどう・やすひろ) 青山学院大学文学部教授。国立国語研究所客員教
授。博士(文学)。主に、日本語の統語論、日本語文法史を研究している。コンピ
ュータを利用した日本語研究も1980年代から行っている。

Copyright(C)KONDO, Yasuhiro 2013- All Rights Reserved.
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◇《連載》「Digital Humanities/Digital Historyの動向
      ~2013年3月中旬から4月中旬まで~」
 (菊池信彦:国立国会図書館関西館)

 前号に引き続き、2013年3月中旬から4月中旬までのDigital Humanities/Digital
Historyに関する動向をまとめた。

○新聞・ブログ記事
 3月18日、アメリカ歴史学会のブログに“History- There's an App for That?!”
という記事が掲載された。内容は歴史研究者向けのアプリの紹介で、2010年8月9日
と2011年2月14日の記事に続き今回で3回目である。記事では、「歴史もの」や「仕
事用」等4つのシーンに分けて、それぞれ4つから8つ程度のアプリを紹介している。
ちなみにアプリといえば、近江八幡市が、iPhone/iPadを通して安土城が存在した
時代の風景を楽しむことができる「VR安土城タイムスコープ」という無料のアプリ
を、4月8日にリリースしていることにも触れておきたい。
http://blog.historians.org/news/1993/history-theres-an-app-for-that
https://itunes.apple.com/us/app/vr-an-tu-cheng/id626839608
http://ihistory.blogspot.jp/2013/04/vrapple-store.html

 3月19日に、アメリカのNational Council on Public History(NCPH)のブログ“
History@Work”に“Teaching Digital History and New Media case statements
2013”という記事が掲載された。これは、NCPHの同名のワーキンググループ“
Teaching Digital History and New Media”が、4月17日から20日にかけてカナダの
オタワで開催されたNCPHの年次大会でのセッションに備えて公開した記事である。
その内容は、Public History教育におけるDigital Historyの役割について、ワーキ
ンググループメンバーそれぞれの実践を紹介したものとなっている。
http://publichistorycommons.org/library/03-19-2013/
http://ncph.org/cms/conferences/2013-annual-meeting/

 4月9日に、ジョージメイソン大学准教授のT. Mills Kelly氏のブログ“edwired”
に、“Is Digitizing Historical Texts a Bad Idea?”という記事が掲載されてい
る。歴史教育・歴史研究上にとっての史料デジタル化(特にテキスト化)の長所と
短所をテーマとした内容となっている。
http://edwired.org/2013/04/09/is-digitizing-historical-texts-a-bad-idea/

 4月12日に、米国議会図書館のブログに、Digital Humanitiesプロジェクトの成果
の長期保存をテーマとした、“Digital Humanities and Digital Preservation”と
いう記事が掲載された。
http://blogs.loc.gov/digitalpreservation/2013/04/digital-humanities-and-...

○イベント・出来事
 3月中旬から4月中旬までにいくつかのDigital Humanities関連のイベントが開催
された。そのうちいくつかをピックアップして紹介する。

・3月22日、23日に、アメリカのブリンマーカレッジにおいて、“Women's History
  in the Digital World”というカンファレンスが開催された。女性教育史研究に
 おけるDigital Humanities/Digital Historyの活用がテーマとなっている。
http://repository.brynmawr.edu/greenfield_conference/
http://openobjects.blogspot.jp/2013/03/new-challenges-in-digital-history...
http://ardenkirkland.wordpress.com/2013/04/15/womens-history-and-metadata/

・4月5日、6日に、古典研究におけるDigital Humanitiesを推進するDigital
 Classics Associationの初のカンファレンスが、ニューヨーク州立大学バッファ
 ロー校において開催された。報告資料等がカンファレンスのプログラムからリン
 クされている。
http://dca.drupalgardens.com/content/dca-2013-wrap
http://classics.buffalo.edu/events/dcaconference/program.shtml

・4月8日と9日にCase Western Reserve UniversityのKelvin Smith図書館で、
 “Exploring Collaboration in Digital Scholarship”というイベントが開催さ
 れた。Digital Humanitiesにおける共同研究・連携をテーマとしたもので、NITLE
 のLisa Spiroのブログでは氏の報告資料が公開されている。
http://library.case.edu/ksl/colloquium/
http://digitalscholarship.wordpress.com/2013/04/10/group-and-method-coll...
http://digitalscholarship.files.wordpress.com/2013/04/casewesterncollabo...

・3月25日に、英国図書館が、“British Library Labs”(BLラボ)の立ち上げイベ
 ントを開催した。BLラボは、英国図書館の巨大なデジタル化資料群を活用した研
 究への支援が目的とされている。
http://labs.bl.uk/home
http://britishlibrary.typepad.co.uk/digital-scholarship/2013/03/bl-labs-...

・4月1日に、Digital Humanities国際学会“Digital Humanities 2013”の参加登録
 の受付が開始された。今年はネブラスカ大学リンカーン校で7月16日から19日まで の4日間開催される。
http://dh2013.unl.edu/registration-for-digital-humanities-is-now-open/

・4月8日、全米人文学基金のデジタル人文学事務局(NEH-ODH)が、2013年3月期の
 Digital Humanitiesスタートアップグラント採択23プロジェクトを発表した。
http://www.neh.gov/divisions/odh/grant-news/announcing-23-digital-humani...

・前号で紹介したように、4月8日は2013年のデジタル人文学の日“Day of DH 2013”
 だった。当日は、Twitter利用者は“#DayofDH”のハッシュタグをつけてのツイー
 トが呼びかけられ、公式サイトには参加者の活動の記録を記したブログ記事がま
 とめられている。
http://dayofdh2013.matrix.msu.edu/activity/
https://twitter.com/search/realtime?q=%23DayofDH&src=typd

○プロジェクト・ツール・リソース
 3月20日、バージニア大、ミシガン州立大、ニューヨーク市立大学、ユニバーシテ
ィ・カレッジ・ロンドン、デューク大学の大学院生、およびホープ大とブロック大
学の学部生を対象にした横断プログラム“Praxis Network”が発表された。“
Praxis Network”は、学生のキャリアパスを視野に入れた、大学院におけるDigital
Humanities教育プログラムの開発を行うプロジェクトである。
http://praxis-network.org/
http://www.scholarslab.org/announcements/announcing-the-praxis-network/
http://www.insidehighered.com/news/2013/03/21/institutions-launch-inform...

 3月27日、ウェールズ大学ウェールズ・ケルト先進研究センター(CAWCS)、オッ
クスフォード大学、ウェールズ国立図書館、バンガー大学、キングス・カレッジ・
ロンドンが共同で、ケルト起源に関するDigital Humanities研究プロジェクトを開
始した。このプロジェクトは、特に言語面からケルト起源を研究するというものだ
が、GISを用いて歴史学的・言語的・考古学的データも利用するという。
http://www.kcl.ac.uk/artshums/depts/ddh/newsrecords/metalages.aspx

 ハーバード大学の教員と学生向けに、Digital Humanitiesに関するニュースやケ
ーススタディ、オンラインチュートリアル等の情報を提供するポータルサイト“
Digital Arts and Humanities at Harvard University(DARTH)”が公開された。
http://www.darthcrimson.org/

 3月31日、GISに関する研究書やソフト・ツール、イベント等の各種情報の提供と
ともに、GIS初心者と熟達者との間の意見交換や相談のためのデジタル空間として、
GIS教育リソースポータルサイト“Teach GIS”が公開された。
http://www.teachgis.org/

 4月2日、Gale社が、人文学の電子コンテンツプラットフォーム として“Artemis
”の作成計画を発表した。“Artemis”は、一次史料も二次資料も含め、様々なジャ
ンルの資料群を横断的に検索利用できるプラットフォームを目指しているという。
http://news.cengage.com/library-research/gale-to-unify-the-humanities-th...

 4月2日、フランス国立科学研究センターのInstitut de recherche et d'histoire
des textesが、中世からルネサンス初期までの写本・初期刊本を集めた電子図書館
“Bibliothe`que virtuelle des manuscrits me'die'vaux”を公開した。フランス
国内の公共図書館等の資料を、都市別や地図上、あるいはキーワードで検索・閲覧
できるようになっている。
http://bvmm.irht.cnrs.fr/

 4月4日、Perseus Digital Libraryのブログで “The Open Philology Project”
が発表されている。プロジェクトには、古代ギリシア・ローマの文献をデジタル化
して公開する“Open Greek and Latin Project”、古代ギリシア語やラテン語のよ
うな歴史的言語を学ぶ機会をeラーニングで提供する“Historical Language
e-Learning Project”、ギリシア・ローマだけでなく人類のあらゆる文化遺産や考
古学的資料を提供する電子図書館“Scaife Digital Library”の3つのプログラムが
ある。
http://sites.tufts.edu/perseusupdates/2013/04/04/the-open-philology-proj...

 4月4日、イギリスInstitute of Historical Research、ハル大学そしてシェフィ
ールド大学が、歴史学のデータ管理に関するベストプラクティスやスキルなどを集
め、大学院教育等への還元を目指すプロジェクトを開始した。
http://ihrprojects.wordpress.com/2013/04/04/managing-your-data-for-histo...

 4月11日、Zotero ver.4.0がリリースされた。雑誌タイトルを自動で短縮形にした
り、タグの色分けしたりする機能等が追加された。
http://www.zotero.org/blog/zotero-4-0-launches/

 4月11日、Internet Archiveが、JSTORの“Early Journal Content”コレクション
の提供を開始した。これは、1923年以前の350タイトル以上、約45万点の雑誌論文を
提供するもの。
https://archive.org/details/jstor_ejc

 4月14日、人文学研究者向けのPython入門サイト“Python Programming for the
Humanities”が公開された。全部で6つの章からなる。ちなみに人文学研究者への
Pythonを教えるウェブサイトには“Programming Historian”がある(現在は第2版)

http://fbkarsdorp.github.io/python-course/
http://fbkarsdorp.github.io/blog/2013/04/14/python-course-for-the-humani...
http://programminghistorian.org/

 4月14日、“DHMakerBus”というプロジェクトが発表された。これはカナダの大学
院生3名が立ちあげたもので、バスを改装して移動式のデジタルメーカースペースを
作ろうというものである。7月のDigital Humanities 2013への参加を目指すとして
いる。
http://dhmakerbus.com/

 4月18日、米国デジタル公共図書館(Digital Public Library of America)のベ
ータ版が公開された。アメリカの文書館・図書館・博物館・文化遺産機関の所蔵資
料(ベータ版公開時点では240万点)を、研究者はもとより広く一般へ提供するため
のポータルサイトとして開発されたものである。APIの公開等を行っており、開発も
奨励している。(なお、4月4日にニューヨーク公共図書館もAPIをリリースしている。

http://dp.la/
http://api.repo.nypl.org/

 以上の他、この1か月の間に紹介されたデータベースやデジタル化の成果公開につ
いて、ごく簡単にまとめておく。

・アメリカの改宗者データベース“American Converts Database”
http://lincolnmullen.com/blog/introducing-the-american-converts-database/

・アメリカのアフリカ系奴隷の埋葬地の情報を集約するデータベース“Burial
 Database Project of Enslaved African Americans”
http://www.vanishinghistory.org/index.asp

・“Darwin Correspondence Project”がダーウィンの書簡史料5,000点以上をデジ
 タル化公開。
http://www.darwinproject.ac.uk/editors-blog/2013/03/27/382/

・セントルイスの地図上に、史料のほか、人種やアフリカ系アメリカ人の割合、収
 入・貧困の程度等をマッピングした“Mapping Decline”。
http://worldmap.harvard.edu/mappingdecline/

・アリゾナ大学図書館による、メキシコおよびメキシコ系アメリカ人コミュニティ
 の新聞デジタル化サイト“Historic Mexican & Mexican American Press”。
http://www.library.arizona.edu/contentdm/mmap/
http://uanews.org/story/150-years-of-mexican-mexican-american-history-no...

・18世紀のグランド・ツアーをマッピングした“Grand Tour Travelers”。スタン
 フォード大学のDHプロジェクト“Mapping the Republic of Letters”の一つのプ
 ロジェクトである。
http://www.stanford.edu/dept/classics/cgi-bin/web/projects/mapping-grand...
http://news.stanford.edu/news/2013/april/ceserani-grand-tour-041113.html

○論文・学術雑誌・研究書
 “Literary and Linguistic Computing”2013,28(1)が刊行された。特集テー
マは“Dialectometry++”で、13本の論考が掲載されている。
http://llc.oxfordjournals.org/content/28/1?etoc

 4月12日には、Journal of Digital Humanities.2013,2(1)が刊行された。この
号では「トピックモデル」をテーマとしているが、このテーマに関するコメントを、
Twitter(ハッシュタグ“#JDHTopics”)またはコメント欄で募集するという新たな
試みが行われている。なおコメント受付は5月11日まで。またこれとは別に、読者の
アンケート調査も実施されている。
http://journalofdigitalhumanities.org/
http://journalofdigitalhumanities.org/2-1/respond-to-jdh-2-1/
http://journalofdigitalhumanities.org/reader-survey/

 4月10日、アメリカの大学・研究図書館協会(ACRL)が、大学・研究図書館員向け
の情報誌“Keeping Up With…”を創刊した。この初号でDigital Humanitiesをテー
マとしている。
http://www.ala.org/acrl/publications/keeping_up_with/

特殊文字については次のとおり表記しました。
アクサン・テギュ:e'
アクサン・グラーヴ:e`

Copyright(C)KIKUCHI, Nobuhiko 2013- All Rights Reserved.
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 続きは【後編】をご覧ください。

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人文情報学月報 [DHM021]【前編】 2013年04月30日(月刊)
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