ISSN 2189-1621

 

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DHM 062 【後編】

2011-08-27創刊                       ISSN 2189-1621

人文情報学月報
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄Digital Humanities Monthly

             2016-09-30発行 No.062 第62号【後編】 646部発行

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 ◇ 目次 ◇
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【前編】
◇《巻頭言》「日本語テキストの計量分析の現状と課題」
 (上阪彩香:同志社大学)

◇《連載》「Digital Japanese Studies寸見」第18回
「ビジュアライゼーションとデータ:「近代書物流通マップ」に寄せて」
 (岡田一祐:東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所)

【後編】
◇《特別寄稿》国際的な画像共有のための枠組みIIIFについて
 (永崎研宣:人文情報学研究所)

◇人文情報学イベントカレンダー

◇イベントレポート(1)
第一回 国際ワークショップ:日本語テクストのモデルとTEI開催報告

 (永崎研宣:人文情報学研究所)

◇イベントレポート(2)
日本デジタル・ヒューマニティーズ学会2016年次国際学術大会(JADH2016)
参加報告
 (永崎研宣:人文情報学研究所)

◇編集後記

◇奥付

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【人文情報学/Digital Humanitiesに関する様々な話題をお届けします。】
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◇《特別寄稿》国際的な画像共有のための枠組みIIIFについて
 (永崎研宣:人文情報学研究所)

 Webには様々な文化資料の高精細画像が公開されている。ほとんどはjpegやpng等
の画像であり、どこかのサーバに設置されているものを手元のWebブラウザで見る、
というのはどこでも大体同じである。場合によっては、タグがついていたり、ちょ
っとしたアノテーションや、あるいは、大がかりな翻刻テクストがつけられたりし
ていることもある。高精細画像であれば、画像や付加情報への利用者のニーズには
それほど大きな差はないのではないだろうか。あるいは、それはさすがに暴論だと
しても、主な利用方法には共通化できる部分も少なくないのではないだろうか。画
像を自由に拡大・縮小し、付与されたメタデータを対象にして文字列検索で画像を
探せたり、各画像や、画像のまとまりとしての本の画像に対してIDがつけられて外
部から一意に参照できるようになっていたり、画像に付けられたアノテーションを
見たり、それを自分でつけてみたり、さらには、画像の一部を切り出して共有した
りする。こうした機能は、画像をみたいと思う人の多くにとって喜ばしいものであ
り、筆者としては、これくらいできれば結構高機能な画像提供サービスと呼んでも
良いのではないか、と思っている。

 しかし、現実を見てみると、大抵の場合、サーバが異なっていれば使い方も異な
るので、こうした機能を使いこなそうと思えば、一つ一つ使い方を覚えていかなけ
ればならない。あるいは、どれくらいの機能が提供されているかということについ
ても一つ一つ確認していかなければならない。さらに、ユーザ側からみて不便だと
いうだけでなく、提供者側からしても、高機能にしようとすればするほど、システ
ム開発費がかさむ上に発注する際の仕様書を書くだけでも一苦労だ。仕様書の書き
方も、油断していると、数年前に開発が終了してしまってセキュリティ問題への対
応がどうなっているかさえわからないようなフリーソフトのWebビューワを納品して
くる大手業者もいて、驚かされることがある。せっかくデジタル技術を利用してい
るというのに、どうも効率的でないように思える。

 こうした問題の解決につながる規格が、近年、欧米の研究図書館を中心に広がり
つつある。International Image Interoperability Framework(IIIF、トリプルア
イエフ、と読む)、である。同規格のWebサイト( http://iiif.io/ )をご覧いた
だければ概要はつかめると思うが、敢えてかいつまんで説明させていただくと、個
々の画像を様々に操作(サイズ変更、一部切り出し、回転等々)するためのImage
APIと、画像をたばねて一つの資料、あるいはさらにそれらを集めて一つのコレクシ
ョンとするためのPresentation APIが現在のところは中心となっており、それに加
えて、検索のためのSearch API、認証のためのAuthentication APIも用意されつつ
ある。Image APIは、URLによって画像の操作ができるようになっており、
Presentation APIは、JSON-LDを用いて実装されている。さらに、Presentation API
では、Open Annotationとして開発が進められ、近年はWorld Wide Web Consortium
にて標準化が進められているWeb Annotationに準拠する形でアノテーションを付与
できるようになっている。つまり、広く使われている標準的な規格を組み合わせる
ことによって構成されている規格であると言える。このことは、特に導入のしやす
さにおいて大きく貢献している。

 さて、このような規格によって何が実現可能であるかと言えば、上述の問題点が
技術的にはほぼ解決可能である。決められているのは「Webサーバから画像を自由に
効率的に取得するためのルール」であり、それを機械的に実行することができるよ
うになっている。すなわち、たとえば、自分でWebビューワを用意すれば、他のWeb
サーバに置かれている画像を表示したり操作したりすることが可能となり、どこか
に用意されているWebビューワに各地のWebサーバ上の画像を表示したり操作したり
することもできるようになるのである。実際のところ、現在、2大Webビューワと言
えるものとして、スタンフォード大学とハーバード大学が中心になって開発してい
るオープンソースソフトウェアのMiradorと、英国のIT企業Digiratiが英国図書館や
ウェルカム図書館、スウェーデン国立文書館等と共に開発しているオープンソース
ソフトウェアのUniversal Viewerがある。

 Miradorは、アノテーション機能を標準で備えており、見ている画像を操作できる
機能や、複数のIIIF対応画像を並べて表示できる機能等に特徴がある。Universal
Viewerは、ユーザのビューをそのまま他人とURLで共有できる機能や画像をダウンロ
ードできる機能、そして、音声や映像、3D等の表示にも対応しているといった特徴
がある。それぞれにデモサイトが用意されている( http://projectmirador.org/
http://universalviewer.io/examples/ )ので詳細はそちらで試してみていただ
きたい。なお、Miradorについては、現在は画像しか表示できないが、今後対応でき
るメディアの種類を増やすことを目指しているとのことである。

 IIIFの元々の開発の経緯は、世界各地に分散している中世写本資料をWeb上で統合
的なコレクションとして提示するための方法として始まったということであり、当
初は、英国図書館、オックスフォード大学ボドリアン図書館、スタンフォード大学
図書館、といった研究図書館のシステム開発系のスタッフを中心に規格策定が始ま
ったのだそうである。したがって、当初より、各地のWebサーバで公開されている画
像をいかにして効率的効果的に活用するか、ということを目指して規格策定が進め
られてきたようである。IIIFを説明する文脈でよく用いられる「サイロを越える」
は、これまで技術的権利的な「サイロ」に閉じ込められてきた文化資料の画像資料
をWebに解き放とう、という関係者の方々の想いをよく伝えている。結果として、現
在は、上述の組織に加えて、フランス国立図書館、バイエルン州立図書館、ノルウ
ェー国立図書館、カタール国立図書館、ハーバード大学、イェール大学、香港大学
をはじめ、世界中の様々な機関がこの規格策定に参加し、規格を採用するようにな
ってきている。すでにフランス国立図書館のgallicaでは、筆者が確認した限りでは
すべての画像がIIIFに対応しており、また、DPLAは500万件のIIIF対応資料を提供し
ているとのことである。それ以外にも多くの機関がすでにIIIF対応での画像公開を
開始しつつある。日本でも、大正新脩大藏經図像DBがアノテーションを含めた本格
的な対応サイトを公開したところであり、国文学研究資料館の国文研オープンデー
タセットや国立国会図書館次世代ラボの国デコ Image Wall等がIIIF対応の画像提供
を行っている。また、NTTデータが取り組んでいるヴァティカン図書館でも、IIIF対
応で画像公開されており、これは見た限りではNTTデータによるオリジナルのIIIF対
応ビューワも開発されつつあるように思える。

 IIIFを採用した場合、オープンソースソフトウェアとして公開されている複数の
ビューワを利用者側が選択して閲覧することができるようになるため、画像公開側
にとっては、ビューワのインターフェイスの開発や調整の手間が大幅に低減できる
ことになる。ビューワのバージョンアップなども、ユーザ側に委ねることができる
ようになる。そして、「各地の画像をとりまとめたコレクションを公開するサイト」
がこれまでとはまったく異なるレベルの利便性を伴って実現可能となるため、画像
公開の告知等についても手間を大幅に低減した上で効果的に行うことができるよう
になるだろう。教材作成用サイトをはじめ、様々な応用も期待されるところである。

http://www.dhii.jp/DHM/imgs/iiif/mg1.JPG
画像1:Mirador上に国デコImage WallのIIIF対応画像を並べて表示

http://www.dhii.jp/DHM/imgs/iiif/mg2.JPG
画像2:ヴァティカン図書館のIIIF対応ビューワ上に、フランス国立図書館の北斎
画像と大正蔵図像DBの曼荼羅画像を並べて表示

http://www.dhii.jp/DHM/imgs/iiif/mg2.JPG
画像2:大正蔵図像DBにおけるMiradorを用いた画像検索結果の並列表示とアノテー
ション表示

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◇人文情報学イベントカレンダー(□:新規掲載イベント)

【2016年10月】

□2016-10-03(Mon):
ジャパンリンクセンター(JaLC)「研究データ利活用協議会」第1回研究会
報告会「研究データ共有によるイノベーションの創出
~第8回RDA総会等の国際議論を踏まえて~」
(於・京都府/同志社大学 室町キャンパス)
http://www.ndl.go.jp/jp/event/events/201610rda.html

■2016-10-29(Sat):
情報処理学会 人文科学とコンピュータ研究会第112回発表会
(於・京都府/同志社大学 室町キャンパス)
http://www.jinmoncom.jp/

【2016年11月】

■2016-11-03(Thu):
JADS アート・ドキュメンテーション学会 季研究集会
(於・東京都/恵比寿ガーデンプレイス 東京都写真美術館)
http://www.jads.org/news/2016/20161103.html

□2016-11-08(Tue)~2016-11-10(Thu):
第18回図書館総合展
(於・神奈川県/パシフィコ横浜)
http://www.libraryfair.jp/

□2016-11-11(Fri)~2016-11-12(Sat):
Digital Humanities Workshop: The Impact of the Digital on Japanese Studies
(於・米国/The University of Chicago)
https://ceas.uchicago.edu/page/digital-humanities-workshop

Digital Humanities Events カレンダー共同編集人
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小林雄一郎(東洋大学社会学部)
瀬戸寿一(東京大学空間情報科学研究センター)
佐藤 翔(同志社大学教育文化学科 助教)
永崎研宣(一般財団法人人文情報学研究所)

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◇イベントレポート(1)
第一回 国際ワークショップ:日本語テクストのモデルとTEI開催報告
(The 1st International Workshop on Models of Japanese Texts and TEI)
http://21dzk.l.u-tokyo.ac.jp/DHI/TEIJPWS/
 (永崎研宣:人文情報学研究所)

 TEI協会(Text Encoding Initiative Consortium)は、人文学のためのデジタル
テクスト資料の構造化に関する国際的なデファクトスタンダードであるTEI
Guidelinesを策定している組織であり、現在のところ、欧米先進諸国の人文系研究
機関が中心となって運営されている。東アジア/日本語分科会(East Asian /
Japanese SIG)は、このTEI Guidelinesと日本語資料との適切な関係を追究し、日
本語テクスト資料を国際的なデファクトスタンダードの下で共有できるようにする
ことを目指し、2016年6月にTEI協会内に結成された組織である。

 東アジア/日本語分科会は、東京大学大学院人文社会系研究科次世代人文学開発
センター人文情報学拠点との共催により、8月31日(水)午後、東京大学本郷キャン
パス経済学研究科交流棟において、日本語デジタルテクストの在り方とTEIの関係に
ついて検討を重ねていくための第一回の会合を実施した。40名程の参加者は、日本
文学・日本語学・東洋史・仏教学・図書館情報学等の研究者に加えて、NDL、京大図
書館等の図書館関係者、印刷会社、出版社等、様々な立場からの関心の高さを示し
ていた。下記のプログラムのように、すでにTEIに取り組んでいるいくつかの研究者・
グループからの発表が行われた。主に、現時点での日本語デジタルテクスト資料に
おける課題と可能性の共有を行い、今後の計画が検討された。

 TEI Guidelinesの日本語資料への適用は、これまではそれほど十分に行われてき
たわけではなく、実際にどのようにしてテクストの各要素をマークアップするかと
いうことについての十分なコンセンサスはなかったと言ってよいだろう。この東ア
ジア/日本語分科会は、そのような現状を改善すべく、日本語テクスト資料向けの
日本語のガイドラインと、それを実現するための必要に応じたTEI Guidelines本体
の改訂を目指している。順調に進めば、日本語テクスト資料を効率的効果的にデジ
タル化し共有するための環境が、ようやく他の先進諸国並に整うことになる。筆者
はこの分科会の共同議長の一人だが、この問題は一人が頑張っただけでどうにかな
るものではなく、多様者研究分野から集まった人々の協働によってなされるもので
ある。そのような観点から、今後の展開には大いに期待したいところである。

プログラム
13:00-13:30 概要説明(SIG Co-convener:永崎研宣、チャールズ・ミュラー)
13:30-14:00 講演 後藤真(国立歴史民俗博物館)
14:00-14:30 講演 小木曽智信(国立国語研究所)
14:45-15:15 講演 山田太造(東京大学史料編纂所)
15:15-15:45 講演 橋本雄太(京都大学文学研究科博士課程)
15:45-16:15 講演 高橋晃一(東京大学人文社会系研究科)
16:30-18:00 総合討論

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◇イベントレポート(2)
日本デジタル・ヒューマニティーズ学会2016年次国際学術大会(JADH2016)
参加報告
http://conf2016.jadh.org/
 (永崎研宣:人文情報学研究所)

 日本デジタル・ヒューマニティーズ学会(JADH)は、デジタル・ヒューマニティ
ーズ(DH)の国際的な学会連合Alliance of Digital Humanities Organizationsの日
本のカウンターパートとして活動を行っており、JADH2016は2016年9月12-14日に開
催されたJADHの国際年次学術大会である。

 JADH2016[1]は、東京大学史料編纂所・国立歴史民俗博物館・東京大学大学院人
文社会系研究科次世代人文学開発センターの共催で、東京大学福武ホールにて実施
された。9月12日は、くずし字とIIIF(International Image Interoperability
Framework)に関する無料参加のワークショップが同時開催で提供され、その後、こ
れも無料参加のプレ・シンポジウムとして、ハーバード大学のVice Provostでもあ
る東洋史DHのPeter Bol教授による基調講演と、久留島典子東京大学附属図書館長、
小島道裕国立歴史民俗博物館教授による講演により、歴史学を中心としつつ、MOOCs
も含めた大学教育におけるDHとデジタルアーカイブの在り方についての議論が同時
通訳付きで行われた。続くパネルディスカッションでは、後藤真氏の司会により活
発な議論が展開された。

 9月13日、14日は、基調講演やパネルセッションに加えて、国内外に広く呼びかけ
た研究発表募集に対し計10カ国の研究者からの応募があり、査読を経た31件の研究
発表が行われた。HathiTrust等の超大型プロジェクトから、萌芽的な小さなTEIのプ
ロジェクトまで、多岐にわたる発表が行われていた。大学院生やポスドクによる発
表も多く含まれており、今後の展開が期待されるところであった。

 基調講演は、2015年6月にアメリカ歴史協会が公開した「歴史学におけるデジタル
研究を評価するためのガイドライン[2]」の作成を主導したSeth Denbo博士によっ
て、歴史学や歴史教育においてデジタルアーカイブを用いることについての現状と
課題が提示された。パネルセッションは日本史に関するものと、東アジア圏DHの将
来について検討するものがあった。とりわけ、後者については、台湾DH学会設立に
あわせ、学会長のJieh Hsiang台湾国立大学教授が招へいされ、グローバルDHに造詣
の深いヴィクトリア大学のRaymond Siemens教授、日本DH学会会長の下田正弘教授と
ともに、東アジア文化圏におけDHの連携を中心とした可能性と課題についての議論
が行われた。

 この国際学術大会は、今のところは関西圏と関東圏を交互に実施してきており、
来年は京都で開催の予定となっている。DH分野では国際的にも一定の知名度があり、
最先端の研究成果の提示と議論だけでなく、この場を通じて国際共同研究や留学協
定が始まるなど、国際的な交流の場としても機能している。DHのみならず、文化資
料デジタルアーカイブの国際連携に関心がある方はぜひご参加されたい。

[1] http://conf2016.jadh.org/
[2] https://www.jadh.org/guidelines-for-the-evaluation-of-digital-scholarshi...

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 配信の解除・送信先の変更は、
    http://www.mag2.com/m/0001316391.html
                        からどうぞ。

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◆編集後記(編集室:ふじたまさえ)
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今月号はいかがでしたか?巻頭言を書いてくださった同志社大学の上阪さんは、こ
れまでもイベントレポートにたくさん寄稿してくださっています。連載、また、特
別寄稿もいただき、皆さまに感謝いたします。ご寄稿ありがとうございました!

今回の巻頭言「日本語テキストの計量分析の現状と課題」は、古典文学という分野
を軸に、人文情報学全体を見渡したうえで研究の視点をふやすことの重要性は、研
究者ではない私でも納得のいくものでした。

また、後編に掲載した特別寄稿、イベントレポートを合わせた3本は、いずれもこの
メルマガの主催である人文情報学研究所の永崎先生の執筆です。大変お忙しい中、
一人でも多くの方にこの分野を知ってもらいたいという熱意が伝わってきます。

次号もお楽しみに。

◆人文情報学月報編集室では、国内外を問わず各分野からの情報提供をお待ちして
います。
情報提供は人文情報学編集グループまで...
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人文情報学月報 [DHM062]【後編】 2016年09月30日(月刊)
【発行者】"人文情報学月報"編集室
【編集者】人文情報学研究所&ACADEMIC RESOURCE GUIDE(ARG)
【 ISSN 】2189-1621
【E-mail】DigitalHumanitiesMonthly[&]googlegroups.com
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【サイト】 http://www.dhii.jp/

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