ISSN 2189-1621

 

現在地

DHM 003

2011-08-27創刊

人文情報学月報
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄Digital Humanities Monthly

                 2011-10-31発行 No.003   第3号    

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 ◇ 目次 ◇
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
◇「デジタルが変えるテクストと「読み」」
 (田畑智司:大阪大学大学院)

◇人文情報学イベントカレンダー

◇イベントレポート「OSDH2011を振り返って」
 (永崎研宣:人文情報学研究所)

◇編集後記

◇奥付

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
【人文情報学/Digital Humanitiesに関する様々な話題をお届けします。】

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◇「デジタルが変えるテクストと「読み」」
 (田畑智司:大阪大学大学院)
 
1.Digital humanities
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東京大学,大阪大学において2009年,2010年に行われた Digital Humanities
Workshop,そして去る 9月に開催された Osaka Symposium on Digital Humanities
2011,さらには立命館大学の GCOE「日本文化デジタルヒューマニティーズ拠点」
などの企画・プログラムを通して,少しずつではありますが,日本でも“digital
humanities”という用語が学界に浸透しつつあるようです。

Wikipediaには digital humanitiesについて次のような記述がなされています。

The digital humanities, also known as humanities computing, is a ?eld of
study, research, teaching, and invention concerned with the intersection
of computing and the disciplines of the humanities. It is methodological
by nature and interdisciplinary in scope.(Digital humanities,別名人文学
コンピューティング,とはコンピューティングと人文学諸領域との交錯に関する研
究,調査,教育,開発を行う学術分野である。それは本質的に方法論的であり,学
際的な領域である。和訳:筆者)

Digital humanitiesは広範な学術領域をカバーしているのに加え,各領域には異な
る学問の文化や伝統があるため,統一的な定義を与えるのは容易ではありません。
とはいえ,たいへん大雑把な定義をするならば,「コンピュータを有機的に組み合
わせたデジタル時代の人文学」だと言えるのではないでしょうか。Wikipediaの記
述にも見られるように,従来,この分野は humanities computingと称されていま
した。2000年代に入り,米国・カナダ・欧州に本拠を置くコンピュータを活用した
人文科学研究・教育の普及・推進に取り組む 3つの学協会が,ADHO(Alliance of
Digital Humanities Organizations)という傘組織を形成するのに歩調を合わせて,
当該学術コミュニティでは戦略的に‘digital humanities’という用語が使用され
るようになりました。

Humanities computingから digital humanitiesへの呼称の転換,文法的な言い方
をすれば‘head’(主要部)がcomputingからhumanitiesへ移ることで,「人文学」
にあらためてフォーカスが置かれたと言えます。これによって,デジタル時代の人
文学という認識が新たにされたのだとと筆者は解釈しています。

2.デジタルが変えるテクストと「読み」
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では「デジタル」によって何が変わるのでしょうか。あるいは何が変わったので
しょうか?ここでは私が取り組んでいるテクスト分析の観点からその変化について
述べます。

先ず第一に挙げられることは,デジタル技術がもたらす「テクスト」と「読み」の
変革とでもいうべきものです。人文学と「テクスト」の「読み」とは不可分の関係
にあると言ってよいでしょう。デジタル時代以前のテクストの読みは,一般的には,
テクストの構成順序に沿って,テクストの起点から終点へ向けて順を追って進んで
いくものでした。典型的な例は小説など物語の読解です。たとえば,未読の小説を
読む際,読者は物語というテクストの冒頭から読み始めて,岩清水が渓谷を下り,
平野部を流れる河川となって海へ注ぐように,結末へ向かって読み進める。つまり,
テクストの進行に沿って読者の視線は語から語へ,句から句へ,ある文から次の文
へと移っていくリニア(linear)な読みを行います。

既読の小説をパラパラと断片的に再読する場合や,辞書を引く行為,研究論文や研
究書などの情報散文を読む場合などは,一見リニアな読みの例に当てはまらないよ
うに思えるかもしれません。確かに,情報散文の読者は,見出しや巻末のインデッ
クス,索引を頼りに,必要とする情報が含まれる特定の箇所のみを読み,他の箇所
には一瞥もしないことも少なくありません。しかし,局所的な読みを行う場合であっ
ても,読み手は,章,節,条,項,段落,文,節など規模は異なれど,一単位(ひ
とまとまり)のテクストの起点から終点へ向けて読み進みます。読みの単位はサイ
ズに関係なくテクストを構成する語・句・文のシークエンスであり,その読みは
「リニアな読み」なのです。

これに対し,デジタルテクノロジーは全く異質な読みをもたらしました。「ノンリ
ニア(non-linear)な読み」です。典型的な例はKWIC(KeyWord In Context)コン
コーダンスです。KWICコンコーダンスとは,検索対象の語(句)を行の中心に,数
十文字程度の前後の文脈を対象語の左右に配置して,検索対象の文書における対象
語の全用例を一覧表示するプログラムによる出力のことです。KWICコンコーダンサー
には,Mac OS X用のCasualConc,Windows用のAntConC,WordSmith Toolsなど特定の
OSプラットフォームでのみ動作するものから,ウェブブラウザ上で実行するウェブ
アプリケーションとして利用できるものまで様々なものがあります。

例えば,19世紀英国の文豪 Charles Dickensの作品全部を KWICコンコーダンサーに
読み込み,gentlemanという語を検索したとします。ほんの数秒で,4千数百行にの
ぼる用例が,出現する作品名と共に一挙に表示されます。さらに,多くのコンコー
ダンサーでは検索対象語に先行する語や後続の語を基準にソートすることが可能で
あり,これにより,例えば,Dickensが描くgentleman像がどのようなものであるか,
そしてgentlemanの語法・文体上の特徴的パターンなどを把握することが容易になり
ます。大規模なテクストデータから特定の条件に合致する箇所のみを抽出し,一覧
表示することで,テクストはコンコーダンス行に還元されます。分析者は行を横断
的に視線を走査させ,パターンを視覚的に捉えることができます。文字や語,句,
関連概念などをキーに(往々にして複数の)テクストを縦横無尽に移動する読みが
可能になります。分析者はテクストを (従来の意味での)テクストとして読むのでは
なく,テクストを文字・音節・語句などの形態素や,意味素,時には数字に還元し
てノンリニアに「読む」ことが可能になったのです。

3.デジタル時代のテクスト分析へ
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このように,デジタル化されたテクストと印刷媒体のテクストの最大の違いは,
‘transformability’(形態可変性)に見い出せます。デジタルツールによってテ
クストの形態は自由自在に変更され,ノンリニアな読みを可能にします。それはま
た,極めて多数の項目を同時に処理すること(multivariate processing)にも繋が
ります。元の文字列が時には数値行列に還元され,統計学的視覚化技術を援用する
ことで,ページの上の文字列からだけでは到底読み取れない情報が姿を表すことも
あるのです。デジタル化されたテクストのもう一つの利点は,分析者の思惑に関係
なく現実を写し出す点でしょう。人間の目は往々にして,思い込みや偏見によって,
事実の一面しかとらえていません。都合の悪いデータというのは,(場合によって
は無意識のうちに見過ごされ)自分の目に入らないこともあるかもしれません。し
かし,デジタルテクスト(の解析結果)は,都合の悪い現実をも否応なく提示しま
す。時には自分の唱える仮説や理論の反例が容赦なく提示されるかもしれません。
結果として,ユーザーは仮説や理論の修正や棄却を余儀なくされれこともあるだろ
うと思います。

もっとも,デジタルツールは万能の道具ではありません。また,決して人間の分析
にとって代わるものでもありません。デジタルツールは,結局のところ,分析者の
コマンド(命令)通りの仕事しかしないわけです。換言すれば,分析の視点や手順
が誤っていれば,誤った結果しかもたらさないものです。ユーザーのコマンドに対
しては,非常に忠実ですが,不適切な分析命令に対しても,そのまま不適切な出力
を忠実に返します。デジタルツールを活用するしないにかかわらず,正しい分析を
行うには,基本的に対象とするテクストに対する十分な知識とsensitiveな読みに裏
打ちされた理解が不可欠です。さらに言えば,データ分析結果の解釈は常に分析者
の洞察力に依拠します。解析結果を適切に解釈するには,言語的知識はもちろん,
より広い社会文化的知識,そしてテクストの読みの経験を有機的に組み合わせるこ
と,いわば人文知の連係プレーが不可欠であることを繰り返し強調しておかねばな
りません。デジタル技術がどれほど進もうとも,分析者の洞察を伴わなければ,解
析結果から得られるものは何もないわけですから。

こうした点をふまえた上で,デジタルであることの長所,つまり新次元の「読み」
を最大に生かせるかどうかが,デジタル時代のテクスト分析研究の成否の分岐点に
なるのではないでしょうか。

執筆者プロフィール
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田畑智司(たばた・ともじ)大阪大学大学院言語文化研究科准教授。IAUPE
(International Associtation of University Professors of English)、PALA
(Poetics and Linguistics Association、国際文体論学会)、英語コーパス学会、
近代英語協会、情報処理学会(人文科学とコンピュータ研究運営委員会)所属。
近代英語散文の文体研究を始め、Dickensの言語の文体統計論的研究等、デジタル
ヒューマニティーズに関する研究を進めている。

Copyright (C) TABATA, Tomoji 2011- All Rights Reserved.
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◆次号は……

 東京大学のA.チャールズ・ミュラーさんにご寄稿いただく予定です。
 
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◇人文情報学イベントカレンダー

2011-11-09(Wed)~2011-11-11(Fri):
INFuture 2011 "Information Sciences and e-Society"
(於・クロアチア/Zagreb)
http://infoz.ffzg.hr/INFuture/

2011-11-09(Wed)~2011-11-11(Fri):
第13回 図書館総合展
(於・神奈川県/パシフィコ横浜)
http://2011.libraryfair.jp/

2011-11-12(Sat)~2011-11-13(Sun):
第59回 日本図書館情報学会研究大会
(於・東京都/日本大学文理学部)
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jslis/

2011-11-17(Thu)~2011-11-18(Fri):
SDH 2011 Supporting the Digital Humanities: Answering the unaskable
(於・デンマーク/Copenhagen)
http://cst.ku.dk/sdh2011

2011-11-17(Thu)~2011-11-20(Sun):
36th Annual Meeting of SSHA
(於・米国/Boston)
http://www.ssha.org/

2011-11-18(Fri)
Research Foundations for Understanding Books and Reading
in the Digital Age: Text and Beyond
(於・京都府/立命館大学 衣笠キャンパス)
http://etcl.uvic.ca/whats-new/inke-bo/

2011-11-19(Fri)~2011-11-20(Sat):
第2回日本文化デジタル・ヒューマニティーズ国際シンポジウム
(於・京都府/立命館大学 衣笠キャンパス)
http://www.arc.ritsumei.ac.jp/lib/GCOE/info/2011/11/2dh-jac2011.html

2011-11-21(Mon)~2011-11-22(Tue):
情報処理学会 自然言語処理研究会
(於・沖縄県/石垣市商工会館)
http://www.nl-ipsj.or.jp/

2011-11-26(Sat):
東京大学大学院情報学環附属社会情報研究資料センター高度アーカイブ化事業
共同研究会+記念シンポジウム「研究者資料のアーカイブズ‐知の遺産 その継承に
向けて」
(於・東京都/東京大学情報学環)
http://www.iii.u-tokyo.ac.jp/event_detail.php?id=1367

2011-12-01(Thu)~2011-12-02(Fri):
3rd International Conference of Digital Archives and Digital Humanities
(於・台北/台湾大学)
http://www.dadh.digital.ntu.edu.tw/index.php?LangType=en&His=MMXXI

2011-12-06(Tue)~2011-12-08(Thu):
DigitarlStrategies for Heritage 2011
(於・オランダ/Rotterdam)
http://www.dish2011.nl/

2011-12-10(Sat)~2011-12-11(Sun):
人文科学とコンピュータシンポジウム「じんもんこん2011」
「デジタル・アーカイブ」再考?いま改めて問う記録・保存・活用の技術
(於・京都府/龍谷大学 大宮キャンパス)
http://jinmoncom.jp/sympo2011/

2011-12-10(Sat)~2011-12-11(Sun):
Sustainable data from digital research:
Humanities perspectives on digital scholarship
(於・オーストラリア/University of Melbourne)
http://paradisec.org.au/2011Conf.html

2012-01-20(Fri)~2012-01-21(Sat):
情報処理学会 自然言語処理研究会
(於・福岡県/福岡大学)
http://www.nl-ipsj.or.jp/

2012-02-15(Wed)~2012-02-19(Sun):
Asia Pacific Corpus Linguistics Conference
(於・ニュージーランド/University of Auckland)
http://www.nl-ipsj.or.jp/

2012-03-28(Wed)~2012-03-30(Fri):
Digital Humanities Australasia 2012: Building, Mapping, Connecting
(於・オーストラリア/Australian National University)
http://aa-dh.org/conference/

2012-04-11(Wed)~2012-04-14(Sat):
European Social Science History Conference 2012
(於・英国/Glasgow University)
http://www.iisg.nl/esshc/

2012-07-16(Mon)~2012-07-22(Sun):
Digital Humanities 2011
(於・ドイツ/Hamburg)
http://www.dh2012.uni-hamburg.de/

Digital Humanities Events カレンダー共同編集人
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小林雄一郎(大阪大学大学院言語文化研究科/日本学術振興会特別研究員)
瀬戸寿一(立命館大学文学研究科・GCOE日本文化デジタルヒューマニティーズ拠点RA)
佐藤 翔(筑波大学図書館情報メディア研究科)
永崎研宣(一般財団法人人文情報学研究所)

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◇イベントレポート

OSDH2011を振り返って: http://www.lang.osaka-u.ac.jp/~osdh2011/
(永崎研宣:人文情報学研究所)

2011年9月12-14日、大阪大学豊中キャンパスにて、Osaka Symposium on Digital
Humanities 2011が開催された。これは、その名の通り、Digital Humanitiesをテー
マとする国際シンポジウムであり、Japanese Association for Digital Humanities
(JADH)、日本語では人文情報学推進協議会と名付けられた学術団体の設立総会であ
った。JADHは、日本のDigital Humanities分野同士の連携と、海外の関連分野との
連携を支援するための組織として発足した。開会式では、Digital Humanitiesの国
際連合組織ADHOの代表であるRaymond Siemens教授の基調講演があり、ヨーロッパの
代表的Digital Humanities関連学会ALLCの代表であるLisa Lena Opas-hanninen教授
をはじめ、Digital Humanitiesを国際的に牽引する研究者達が参加し、国内からも
様々な研究者が参加する中でJADHは産声をあげることとなった。

また、本メールマガジンでも予告を掲載したが、このシンポジウムに際して開催さ
れたワークショップはいずれも大変盛況であった。ドイツ・ハンブルク大学で開発
されている文献マークアップ・解析統合ツール、CATMAの構想から実践までを扱う
ワークショップ、米国・メリーランド大学及びアイルランド・トリニティカレッジ
ダブリンを中心に開発されている文献比較表示のためのWebアプリケーション、
Versioning Machineの使い方とそこに文献を読み込ませるためのデジタル化手法を
実際に経験するワークショップ、言語学に関する様々なマルチメディアツールを扱
うワークショップが開催され、日本に居ながらにして、Digital Humanitiesの国際
的な最先端の動向の一端を肌で感じる良い機会となった。

このシンポジウムには、日本からは30の研究機関から62人の発表者が、ヨーロッパ
からは7人、北米から2人、オーストラリアから1人が参加し、様々な議論が展開され
た。発表内容に関しては、ここでは詳細は割愛するが(詳細はWebページの大会プロ
グラムを参照されたい)、文化遺産、史学、文学、言語学、情報学、写本研究、AR
等、人文学における情報科学の応用に関わる多様なテーマが採り上げられていた。
発表言語は英語のみとなっていたが、比較的若手の研究者の発表が多く見られ、そ
の奮闘ぶりにはこの分野の将来を期待させるものがあった。

閉会式の最後に登壇されたHarold Short教授の総括の言によれば、この研究発表の
分野的な広がりは、先の6月にスタンフォード大学にて開催されたDigital
Humanities 2011と似通っているとのことであり、日本が国際的に展開していくため
の素地は十分に整っていると期待されるところである。
日本においても、人文学におけるデジタル技術の応用に関する研究はすでに数十年
の歴史がある。その積み重ねが国際的な連携を広げつつ深めていき、それによって
さらに自らをも深めていくための確かな一歩は、関係者の多大な努力により、この
ようにして、ようやく、しかし、着実に、踏み出された。このシンポジウムは、201
2年は東京大学にて開催予定となっている。関心がおありの方は、ぜひ、ご参加・ご
発表など、ご検討されたい。

Copyright (C) NAGASAKI, Kiyonori 2011- All Rights Reserved.
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 配信の解除・送信先の変更は、
    http://www.mag2.com/m/0001316391.html
                        からどうぞ。

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◆編集後記(編集室:ふじたまさえ)
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今年度も折り返し地点を過ぎました。イベントカレンダーには来年度の学会のスケ
ジュールも徐々に入ってきています。本メルマガでは、人文情報学研究所のGoogle
カレンダーから、なるべく先の情報も掲載していますが、皆さまのアンテナを拡げ
る一助となれば幸いです。

◆人文情報学月報編集室では、国内外を問わず各分野からの情報提供をお待ちして
います。
情報提供は人文情報学編集グループまで...
       DigitalHumanitiesMonthly[&]googlegroups.com
                  [&]を@に置き換えてください。

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人文情報学月報 [DHM003] 2011年10月31日(月刊)
【発行者】"人文情報学月報"編集室
【編集者】人文情報学研究所&ACADEMIC RESOURCE GUIDE(ARG)
【E-mail】info[&]arg-corp.jp [&]を@に置き換えてください。
【サイト】 http://www.dhii.jp/

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