ISSN 2189-1621

 

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DHM 082 【後編】

2011-08-27創刊                       ISSN 2189-1621

人文情報学月報
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄Digital Humanities Monthly

             2018-05-29発行 No.082 第82号【後編】 752部発行

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 ◇ 目次 ◇
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【前編】

◇《巻頭言》「点から面へ、そして歴史の研究へ」
 (渋谷綾子:国立歴史民俗博物館)

◇《連載》「Digital Japanese Studies寸見」第38回
 「島根大学附属図書館デジタル・アーカイブと近畿大学貴重資料デジタル・アーカイブ」
 (岡田一祐:国文学研究資料館古典籍共同研究事業センター)

◇《連載》「欧州・中東デジタル・ヒューマニティーズ動向」第2回
 「ドイツ、デジタル・ヒューマニティーズにおける雇用事情」
 (宮川創:ゲッティンゲン大学)

【後編】

◇《連載》「東アジア研究とDHを学ぶ」第2回
 「先行「研究」としてのCSACのこと」
 (菊池信彦:関西大学アジア・オープン・リサーチセンター特命准教授)

◇《連載》「Tokyo Digital History」第1回
 「デジタル・ヒストリーにおける再現性・可視化
  2018 Spring Tokyo Digital History Symposiumにおける2つの論点」
 (小風尚樹:東京大学大学院人文社会系研究科西洋史学専門分野博士課程3年/日本学術振興会特別研究員DC2/国立歴史民俗博物館研究協力者)

◇人文情報学イベントカレンダー

◇編集後記

◇奥付

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【人文情報学/Digital Humanitiesに関する様々な話題をお届けします。】
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◇《連載》「東アジア研究とDHを学ぶ」第2回
 「先行「研究」としてのCSACのこと」
 (菊池信彦:関西大学アジア・オープン・リサーチセンター特命准教授)

 関西大学アジア・オープン・リサーチセンター(KU-ORCAS)には、Center for the Study of Asian Cultures(アジア文化研究センター、略称CSAC(シーザック))という「前身」がある[1]。KU-ORCASのプロジェクトにとってはいわば先行「研究」にあたることから、今回は、このCSACが進めてきたデジタルアーカイブについて述べておきたい。
 CSACは、これまで2回誕生した。まず、2005年度に文部科学省私立大学学術研究高度化推進事業の一つである学術フロンティア推進事業に採択され、その際にプロジェクト遂行組織としてCSACが立ち上げられ、2010年度までの5年間稼働していた。その後、2011年度に文部科学省「私立大学戦略的研究基盤形成支援事業」の採択を承け、そのプロジェクトを推進する母体として改めてCSACが組織された。この2度目のCSACを、学内では区別のためにCSACIIと呼んでいた。CSACIIは2011年度から2015年度までの5年間継続していた。
 CSACIIで構築したデジタルアーカイブには次のものがある。なお、以下の資料点数は、CSACIIの最終報告書からの転載であり、当時のままである。また、下記のほかにも研究者限定公開のものがあったが、それらについてはここでは割愛している[2] 。

(1)文献データベース
関西大学図書館所蔵の典籍および教員等の個人蔵書。3500 冊あまりを公開した。

(2)寺廟データベース
中国大陸と台湾を中心とした地域の道観・寺院に関するデータ。現在 264 件。祀神については異名が多いので、別に「神名シソーラス」を作成し、異名でも検索できる。

(3)石碑データベース
ソグド人墓誌を中心とした石刻のデータベース。現在 133 点を入力済み。出土地・所蔵・拓本に加えて、全文の釈読を附す。

(4)美術・歴史資料データベース
本学の所蔵する大坂画壇を中心とした絵画・軸物のデータベース。絵画は807点、落款の拡大写真も附す。なお、古文書200件も、検索項目を付け替えた同じ構造のデータベースを構築している。このデータベースは、本学文学部古文書室および博物館所蔵の古文書(約6000件)も追加できるような汎用性の高いものとしている。

(5)中国写真データベース
中国語教育者・榎本英雄氏が1979~80 年に撮影した中国各地の写真 1519枚と、中国仏教史研究者・藤善眞澄氏が撮影した 1970 年代後半からの中国各地の写真1650枚。改革開放以前の中国の姿を伝える貴重な写真が多い。

(6)WEB 泊園
泊園書院は幕末から1948年まで大阪に開かれた漢学塾で、その蔵書は本学図書館の「泊園文庫」を形成している。同文庫については「WEB 泊園文庫」で全体を把握することが可能となった。このうち善本と自筆稿本は上述「文献データベース」で閲覧可能であり、その目録はPDFファイルとしてダウンロードも可能である。

(7)泊園印譜データベース
第2代泊園書院院主であった藤澤南岳氏の印章 270顆あまりをCSACIIにおいて『泊園文庫印譜集』として刊行したが、同時に WEB 上でもこれを公開した。

 現在のところ、上記のCSACのデジタルアーカイブは一部を除き稼働していない。これを早急に再公開することが、筆者に課せられた課題となっている。

 ところで先日、筆者は、第117回人文科学とコンピュータ研究会(CH研究会)で、KU-ORCASのデジタルアーカイブについて、その方針を話す機会があった。最後に、CH研究会で報告したその方針とCSACの残した課題とを比較し、先行「研究」におけるKU-ORCASの位置づけを確認しておきたい。
 前号でも述べたことだが、KU-ORCASの構築するデジタルアーカイブの特徴であり、また目標としては、「3つのオープン化」と「オープン・プラットフォーム」がある。CH研究会の報告では、それらに加えて、KU-ORCASの研究テーマとして重要な位置を占める東アジア文化交渉学を支援するための機能についても議論した。それが、資料の書誌情報および本文の翻訳支援と、研究テーマに関する複数分野の情報資源の提供、そして複数の研究者らによる多様な読みを可能とする機能である[3]。
 CSACの最終報告書では、課題として「文化研究の国際化における言語障壁」が挙げられており、この点がまさに前段の翻訳支援機能と重なる箇所である。ただし報告書では、その解決策として「検索のための『共通プラットフォーム』の構築」を提唱しており、「オープン・プラットフォーム」につながる機能となっている点が異なる。
 一方で、「書誌情報統合の困難」も課題と認識されていたが、CH研究会での議論ではこの点が論点から落ちてしまっていた。ただし、この課題の根本には、「デジタル化されたコンテンツの共有・相互利用」の困難さが指摘されていることから、IIIFを活用し、Webで画像をみながら協働でメタデータ構築をすることで、別な形での解決策となりうるかもしれない。
 だが、CSACでは挙げられず、KU-ORCASで重視した点が「読みの越境性」を可能にする機能、すなわち、研究テーマに関する複数分野の情報資源の提供、そして複数の研究者らによる多様な読みを可能とする機能である。この点がCSACとは異なるKU-ORCASならではの機能と位置づけられるのかもしれない。

 KU-ORCASではこれから本格的な開発フェーズに入る。CH研究会で掲げた目標が絵にかいた餅とならないためにも、引き続き邁進していきたい。

[1] 関西大学アジア文化研究センター. http://www.csac.kansai-u.ac.jp/(アクセス日:2018-05-18.)
[2] 詳しくは、CSACの最終報告書を参照のこと。http://www.kansai-u.ac.jp/Tozaiken/common/asset/csac2_finalreport.pdf (アクセス日:2018-05-18.)
[3] 菊池信彦、内田慶市、永崎研宣「「越境する」デジタルアーカイブの機能要件を考えるーKU-ORCAS が備えるべきものー」(情報処理学会研究報告、2018年5月)

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◇《連載》「Tokyo Digital History」第1回
 「デジタル・ヒストリーにおける再現性・可視化
  2018 Spring Tokyo Digital History Symposiumにおける2つの論点」
 (小風尚樹:東京大学大学院人文社会系研究科西洋史学専門分野博士課程3年/日本学術振興会特別研究員DC2/国立歴史民俗博物館研究協力者)

はじめに

 近年、歴史研究の様々な分野において、WEB上で研究に有用な情報を容易に入手することができるようになってきた[1]。このような状況に対し、少なくとも日本の歴史学界では、WEB上に情報が流通するようになったこと自体は歓迎されつつも、その活用にあたっては慎重な姿勢が要求されることが多い[2]。しかし、そもそもWEB上の研究資源を活用する際に「具体的に」どのような点に注意すれば良いのか、果たして歴史学に携わる研究者は共有できているのだろうか。
 このような歴史学の立場から発せられた問題意識を背景に、2018年4月15日、2018 Spring Tokyo Digital History Symposiumを開催した。Tokyo Digital History(以下、ToDH)は、歴史研究者・アーキビスト・エンジニアの学際的協働を促進し、歴史研究におけるデジタル技術の活用の是非について実践を伴って議論することを目指す、歴史学系大学院生を中心に運営されるコミュニティである。以下のように、これまですでに様々な媒体で同シンポジウムに関する成果を発信してきた。
 まず、シンポジウムの全体像がわかる開催報告については東京大学学術機関リポジトリで公開し[3]、ToDHというコミュニティの立ち上げコンセプトや、活動支援団体であるHistorians’ Workshopとの関係については文学通信のWEBレポートに掲載した[4]。シンポジウム当日のツイートまとめも公開している[5]。そして、第117回人文科学とコンピュータ研究会においては、ToDHの活動成果とその学術的意義を概観したポスター発表で、学生奨励賞を受賞した[6]。
 このような運営側からの成果発信のほかにも、2018年4月に配信された『人文情報学月報』第81号における岡田一祐氏による紹介記事[7]、そして2018年5月19日には日本経済新聞の文化面にて同シンポジウムの紹介記事が掲載された[8]。
 ToDHは今後もさまざまな形で活動を展開していくが、その一環として、今月から本誌『人文情報学月報』にて、ToDHメンバーによる記事の連載を開始させていただく運びとなった。連載初回となる本稿は、ToDH代表の小風尚樹が執筆を担当する。本稿では4月のシンポジウムについて、いま一度関連ツイートや当日の応答を参照しながらいくつかの論点を振り返ってみたい。ここで取り上げたい論点は、「再現性」の定義、歴史研究における可視化、の2つである。

(1)「再現性」の定義

 シンポジウムにおける発表では、「歴史研究における再現性の担保」というキーワードが何度か登場した。これに対し、「研究成果の再現性と分析手法の再現性は意識的に区別する必要がある」旨のツイートも一部見られた。確かに、一般に「再現性」と言えば、科学実験などにおいて、所定の条件や手続きの下で同じ現象が繰り返し観察できることのことを指す。
 もちろん、歴史研究においては、同じ史料を違う研究者が分析しても同じ結論は必ずしも導かれず、研究関心や分析視角によって異なる解釈がもたらされることが普通であるので、厳密な意味での「再現性」は担保できない。
 シンポジウムではむしろ、歴史研究の成果が生み出されるまでの過程で、例えばグラフや地図を作成するような場合に、史料からどのようなデータを抽出し、どのような手順でデータを加工し、最終的な図表ができあがったのか、という「分析手法の再現性」に焦点を絞ったつもりである。どのような問題設定を行い、どのような結論を導くのか、という研究の始点と終点の部分においては、デジタル・ヒストリーの実践も、既存の歴史学の作法と何ら変わることはない、とToDHは考える。
 重要なのは、それら始点と終点の間をつなぐプロセスの部分で、分析手法を検証可能なものにし、必要とあらばコミュニティで共有できるような形式で手順を公開することを目指すことである[9]。このような定義にしたがい、シンポジウムでは山崎翔平氏が、明治期における県境変更に伴う人口データの補正プログラムを事例に「分析手法の再現性」を扱った。
 ここで挙げた「再現性」の例に見られるように、DH系の学術集会では学際的に研究者が集まることとなるので、議論の前提を共有していないことはしばしばである。今後は、用語や立場の定義を意識的に明示する必要性を感じた次第である。

(2)歴史研究における可視化

 おそらくシンポジウムで最も重要な論点となったのは、歴史研究における可視化、つまり視覚的表現の可能性と是非についてである。この論点について最も大きな問題提起は、「言葉で叙述しなければ歴史にならないのか」という菊池信彦氏のパネルディスカッションでのコメントである。最終的にこの論点に立ち戻るために、歴史研究における視覚的表現、より具体的にはデータ可視化の是非について見解をまとめておきたい。
 データ可視化への批判的見解としては、次のようなものがある。すなわち、

・円グラフでは、データ量の差異を視覚的に判断することが難しい。
・複数のデータを同じ図に詰め込みすぎると、かえってわかりにくくなり、結果的に混乱を招く。
・データ可視化は気づきをもたらすだけでなく、読者を説得させ、論拠として十分なものになるのかどうか、現状でははっきりしていない。
・ヴィジュアル表現は多義的な解釈をもたらすので、論証では直接使いにくいのではないか。

などである。
 一方、データ可視化に肯定的な見解としては、次のようなものがある。すなわち、

・例えば地図は、分析対象となっている土地に詳しくない読者にもわかるような、視認性が高い表現だ。つまり、コミュニケーションの手段として有用である。
・複数のデータを組み合わせることで初めて見えてくる関係性もある。
・データの性質に応じた視覚的表現方法を選択すれば、内容を即座に・省スペースで・魅力的に伝えることができる[10]。例えば、歴史上で見られた「動き」を表現したければ、アニメーションなどの動的な表現を選択するのが自然である。
・多義的な解釈をもたらしてくれるデータ可視化は、さまざまな見解を検討しあう共同研究の材料になる。

などである。
 双方の見解は、建設的な議論へ発展させるための重要な示唆を与えてくれているので、議論をまとめてみよう。まず、シンポジウムにおける山王綾乃氏の発表でも触れられたように、データ可視化には、データの性質に関する気づきをもたらすこと・読者や聴衆にわかりやすくデータの本質を伝えること、という2つの目的があるということがわかる。さまざまなデータを盛り込んだ可視化表現は、多義的な解釈をもたらす傾向にあるのであれば、共同研究における検討材料として有用である。
 その上で、論証の論拠として用いるためには、データの性質を十分に理解し、データの本質を伝える適切な表現方法を選択する必要がある。これらの前提をクリアすれば、データ可視化は、専門外の読者や聴衆にもわかりやすいコミュニケーション・ツールになり得る可能性を有している。
 前出の菊池氏の問題提起に立ち戻るならば、現状では歴史研究の成果を伝える手段としては言葉や文字による叙述が最も有力で、これからも重要であり続けると思われる。しかし、コンピュータ・グラフィックスの進展に伴って、データ可視化の可能性もますます広がりを見せることを考えれば、コミュニケーション・ツールとして、言葉だけでなく視覚的表現も併せて検討することの価値があると考える。この可視化の論点については、連載の中でも山王綾乃氏や小林拓実氏を中心として議論がさらに進められることになるだろう。

(3)その他

 なお、シンポジウム当日には、個別の論点として「メンタルヘルスとしてのDH」という観点も言及された。これはToDHメンバーの纓田宗紀氏が言及したものである。DH研究に携わるようになったことで、学際的・分業的なグループワークに基づいて研究を進めることのメリットを実感したという。すなわち、ともすれば孤独で精神的に不健康になりがちな研究生活の中で[11]、日常的に新鮮なコミュニケーションを取ることのできる時間と空間が創り出されることが、精神的な支えになることを指摘したのである。
 この発言に会場は大いに沸き、ハイライトシーンの一つとなった。

おわりに

 本稿では、関連ツイートやシンポジウム当日の応答を手掛かりにしながら、今後のデジタル・ヒストリー実践について考える材料となる論点を紹介した。もちろん、これ以外にも多くの論点があったが、次号以降の連載でさまざま紹介されていくことになるだろう。本誌における連載をはじめ、今後ToDHはさまざまなセミナーや会合、シンポジウムなどのイベント開催、学会発表を行う予定である。大学院生を中心としたコミュニティであるため、流動的な活動になることもあるだろうが、引き続き積極的に議論を積み重ねていきたい。

[1] このような歴史学を取り巻く研究環境の変化とその歴史については、アメリカ史研究との関連で人文情報学を詳述した論考も参照のこと。山中美潮「アメリカ史研究とデジタル・ヒストリー」『立教アメリカン・スタディーズ』40号、2018年3月、7-31頁
[2] 吉澤誠一郎・岡本隆司・村上衛・村田雄二郎・西英昭・石川禎浩・斎藤希史「座談会:近代中国研究の現状と課題」岡本・吉澤編『近代中国研究入門』東京大学出版会、2012年、233-263頁;菊池信彦「西洋史DHの動向とレビュー:西洋史学はウェブ情報をどのように位置づけているのか:『研究入門』を題材に」『人文情報学月報』46号【前編】2015年5月、https://www.dhii.jp/DHM/dhm46-1(アクセス確認日時は2018年5月18日。以下同様)
[3] Tokyo Digital History編(筆者ほか17名著)「デジタル・ヒストリー入門:2018 Spring Tokyo Digital History Symposium開催報告」東京大学学術機関リポジトリ、2018年5月、http://hdl.handle.net/2261/00074493
[4] 小風尚樹「ここからはじめる日本のデジタル・ヒストリー:Tokyo Digital Historyの立ち上げによせて」図書出版文学通信ブログ、2018年5月、http://bungaku-report.com/blog/2018/05/tokyo-digital-historyd3.html
[5] 2018 Spring Tokyo Digital History Symposiumツイートまとめhttps://togetter.com/li/1218570
[6] 小風尚樹・中村覚・清原和之・山王綾乃・纓田宗紀・小林拓実「歴史研究者・アーキビスト・エンジニアの学際的協働に基づくコミュニティ構築:Tokyo Digital Historyを事例に」第117回人文科学とコンピュータ研究会発表会、於東京電機大学、2018年5月12日。以下は、人文科学とコンピュータ研究会奨励賞のページへのリンクである。 http://www.jinmoncom.jp/index.php?%E4%BA%BA%E6%96%87%E7%A7%91%E5%AD%A6%E...
[7] 岡田一祐「《連載》Digital Japanese Studies寸見第36回「『2018 Spring Tokyo Digital History Symposium ツイートまとめ』を読んで」『人文情報学月報』第81号【前編】、2018年4月
[8] 日本経済新聞「《文化往来》歴史研究、デジタル化が開く新たな地平」2018年5月19日、https://r.nikkei.com/article/DGKKZO30685550Y8A510C1BC8000?unlock=1&s=3
[9] この論点については、Japan Open Science Summit 2018の1セッションとして2018年6月18日に開催される「人文学研究のデジタル化とオープン化」の論点にもつながると思われる。人文学オープンデータ共同利用センターの北本朝展氏がコーディネータを務め、国文学研究資料館の山本和明氏、国立歴史民俗博物館の橋本雄太氏、および筆者が登壇する予定である。http://codh.rois.ac.jp/workshop/
[10] 例えば次の文献を参照。Edward Tufte, The Visual Display of Quantitative Graphics, Graphics Pr.: Cheshire, 2001.
[11] この論点については、科学誌Natureが、アカデミアに属する院生は、アカデミア外の一般人より6倍も多く精神的に不健康になっているとの指摘を行ったことが話題になった。 ‘Time to talk about why so many postgrads have poor mental health’, Nature, 29th March, 2018, https://www.nature.com/articles/d41586-018-04023-5

執筆者プロフィール
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 小風尚樹(こかぜ・なおき/東京大学大学院人文社会系研究科西洋史学専門分野博士課程3年・日本学術振興会特別研究員DC2)は、19世紀のイギリス海軍・外交史に分析の力点を置きながら東アジアの国際関係史を主たる専門として取り組んできた。
 主要論文として、「1860年代中国海域における海賊鎮圧の外交史的意義:イギリス海軍主導による「国際協力体制」の再検討を通じて」『軍事史学』53(4)、2018年3月や、「19世紀中庸イギリスの東アジア戦略における日本の位置づけ:イギリス海軍司令長官スターリングの北東アジア観と函館港」『クリオ』29、2015年がある。
 これら歴史学の業績に加えて、2014年からは副専攻として、東京大学大学院横断型教育プログラム「デジタル・ヒューマニティーズ」に積極的に取り組んできた。中でも、人文学史資料のテクスト構造化のための国際的な枠組みText Encoding Initiativeを専門とし、2016年9月からは国立歴史民俗博物館のプロジェクト「古代の百科全書『延喜式』の多分野協働研究」の技術協力者として、10世紀日本における行政マニュアルたる延喜式の本文テクストをTEI準拠のデータベースとして構築する事業に携わっている。
 本誌でも紹介されたTokyo Digital Historyでは代表を務め、歴史研究者・アーキビスト・エンジニアの学際的協働を促進する取り組みを精力的に行っている。
 これらの活動に基づく学際的な成果の一つとして、2018年9月には雑誌『歴史学研究』において、「歴史家とアーキビストの対話」という特集シリーズの一環として寄稿依頼を受けた論考が上梓される。
 業績一覧などについては、https://researchmap.jp/naoki_kokaze/ を参照のこと。

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◇人文情報学イベントカレンダー(■:新規掲載イベント)

【2018年6月】

□2018-06-16(Sat)~2018-06-17(Sun):
JADS 2018年度アート・ドキュメンテーション学会年次大会
(於・千葉県/国立歴史民俗博物館 講堂)
http://www.jads.org/news/2018/20180616-17.html

□2018-06-26(Tue)~2018-06-29(Fri):
DIGITAL HUMANITIES 2018(DH2018)
(於・墨国/SHERATON MARIA ISABEL)
https://dh2018.adho.org/en/

Digital Humanities Events カレンダー共同編集人
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小林雄一郎(日本大学生産工学部)
瀬戸寿一(東京大学空間情報科学研究センター)
佐藤 翔(同志社大学免許資格課程センター 助教)
永崎研宣(一般財団法人人文情報学研究所)
亀田尭宙(京都大学東南アジア地域研究研究所)
堤 智昭(東京電機大学情報環境学部)

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◆編集後記(編集室:永崎宣研)
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 今月号の巻頭言はデジタル技術の話ではない。しかし、人文学の情報の話であり、これをどのように適切にかつ効率的に共有するかということについてはデジタル技術を活用する場が様々に存在するはずである。一つの大きなシステムを用意するというより様々な形でアクセスできる階層化されたAPIなどが有益かもしれない。色々と想像をかき立てられてしまうところである。すでに大きなプロジェクトの一環として進められているようであり、人文情報学の課題の一つとして今後に注目していきたい。
 連載に関しては、さらに一つ、Tokyo Digital Historyの面々によるリレー連載が始まった。主に歴史学の大学院生によって運営される団体であり、歴史学にとってのデジタル技術の位置づけについて清新な見解をこれから様々に読ませていただけることを大いに期待したい。

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 配信の解除・送信先の変更は、
    http://www.mag2.com/m/0001316391.html
                        からどうぞ。

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人文情報学月報 [DHM082]【後編】 2018年05月29日(月刊)
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