ISSN 2189-1621

 

現在地

DHM 028 【前編】

2011-08-27創刊

人文情報学月報
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄Digital Humanities Monthly

             2013-11-25発行 No.028 第28号【前編】 402部発行

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 ◇ 目次 ◇
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
【前編】
◇《巻頭言》
「文化資源情報の真のハブとなりうるか-生まれ変わる京都府立総合資料館」
 (福島幸宏:京都府立総合資料館新館担当)

◇《連載》「Digital Humanities/Digital Historyの動向
      ~2013年10月中旬から11月中旬まで~」
 (菊池信彦:国立国会図書館関西館)

◇人文情報学イベントカレンダー

【後編】
◇イベントレポート(1)
国際会議:ソーシャル・デジタル・学術編集[第二日目]
 (Geoffrey Rockwell:アルバータ大学)
 (日本語訳:滝浪佑紀・東京大学大学院情報学環、永崎研宣・人文情報学研究所)

◇イベントレポート(2)
JADH2013(第3回 年次国際会議):Transcending Borders
「宙空の経験:JADH2013、その成果と展望」
 (鈴木崇史:東洋大学社会学部)

◇イベントレポート(3)
Society for Social Studies of Science (4S) 2013 San Diego(科学社会論学会)
「人文情報学のSTS的側面」
 (村上祐子:東北大学大学院文学研究科)

◇イベントレポート(4)
第100回 人文科学とコンピュータ研究会発表会
 (山田太造:東京大学史料編纂所)

◇イベントレポート(5)
日本オリエント学会 第55回大会企画セッション
「閉じた人文学から開いた人文学へ-資料のデジタル化がもたらすもの-」参加報告
 (永井正勝:筑波大学/企画代表)

◇編集後記

◇奥付

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
【人文情報学/Digital Humanitiesに関する様々な話題をお届けします。】
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◇《巻頭言》
「文化資源情報の真のハブとなりうるか-生まれ変わる京都府立総合資料館」
 (福島幸宏:京都府立総合資料館新館担当)

 わたしが勤務する京都府立総合資料館は1963年11月に開館し、今年は50周年にあ
たる。特徴的なのは博物館(Museum)・図書館(Library)・文書館(Archives)の
機能をあわせ持つことで、この規模でのMLA複合館は全国的にみても例が少ない。ま
たアーカイブ資料の代表的な存在であり、ユネスコの世界記憶遺産への推薦が決定
した、国宝「東寺百合文書」や重要文化財「京都府行政文書」、そのほか貴重な古
典籍や京都に関する郷土資料を多数所蔵している。なお2016年の開設を目指して床
面積24,000平方メートルにおよぶ新館の建設にとりかかっている。なお、この新館
は京都府立大学附属図書館と同大学文学部棟との合築となる。

 この多様な貌をもつ総合資料館の開館50周年を記念して、11月16日には、シンポ
ジウム「総合資料館の50年と未来」を開催する[1]。そこには、文化資源に関する
議論をリードしている吉見俊哉 東京大学副学長、マンガ研究の第一人者である吉村
和真 京都精華大学マンガ学部長、新館の基本構想策定にたずさわった井口和起 京
都府特別参与、そして電子図書館政策を推進してきた長尾真 前国立国会図書館館長
ほかの報告者をお呼びして、今後、急速に変化する文化資源の保存・活用の状況の
なかで、新館に何が期待されうるかを議論する。

 それと関連して、7月14日にトークセッション「新資料館に期待する」を開催した。
このトークセッションは、関西で活躍する若手の博物館員、図書館員、文書館員や
大学関係者に新資料館に期待する機能や役割について自由に話し合ってもらう、と
いうコンセプトで行った[2]。そこでは、人とモノのハブとなりうる知的生産イン
フラとなること、団体資料や写真などの危機にある同時代資料への目配りの重要性、
MLAの本質的機能への社会的認知が低いなかで何がなされるべきか、などのテーマが
参加者を巻き込んで議論された。

 そして、トークセッション全体を通じて、従来の枠組みにとどまらず、「広く資
料や情報を集めて使いやすく発信し、人と人との出会いの場を作る役割を期待する」
という方向性が確認された。この方向性こそが11月16日のシンポジウムで議論され
るべきであろうし、今後の当館の本質的使命はここに据えられるであろう。

 上記の「広く資料や情報を集めて」と「使いやすく発信」の部分にはデジタル・
ヒューマニティーズの知見と技術的サポートが不可欠のものとなる。府域全体の文
化資源の現物を一箇所に集めるというのは望むべくもない。所在・内容とどうすれ
ば現物にアクセスできるか、という情報を、現段階の技術水準と「空気のような文
化を対象化し、文化の棚卸しをすることが必要。膨大なデータを蓄積できるデジタ
ル化を中核にし、有形・無形問わず文化財をデジタル化する必要がある」という青
柳正規 文化庁長官がかつて述べたような発想[3]をふまえて実現出来るかどうか
が、「広く資料や情報を集めて」を達成する鍵となる。また、「使いやすく発信」
する、の部分には、クリエイティブ・コモンズの仕組みを取り入れ[4]、またデー
タ的にも再利用できる形で配信することが求められている。

 当館は、2016年には奈良時代から平成までの博物・図書・アーカイブ資料を保存
し自由に活用できる、他のどこにもあり得ない機関となるべく変化しつつある。社
会の縮小段階に入り、財政・人材の制限の中で苦闘している日本のMLA機関の新しい
モデルとなりたい。本メルマガの読者各位には大きな関心とご支援をお願いしたい。

 なお、本稿は、カレントアウェアネス-E No.242 2013.08.08に掲載された、拙稿
「京都府立総合資料館トークセッション『新資料館に期待する』」[5]を下敷きと
している。

[1] http://www.pref.kyoto.jp/shiryokan/50shunen.html#symposium
[2] http://www.pref.kyoto.jp/shiryokan/50shunen_talk.html
[3] http://www.digital-heritage.or.jp/activity/activity02/index01.html
[4] http://creativecommons.org/
[5] http://current.ndl.go.jp/e1461

執筆者プロフィール
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
福島幸宏(ふくしま・ゆきひろ) 2005年より京都府立総合資料館に勤務。歴史資料
課行政文書担当を経て、現在は庶務課新館担当。専門は歴史学・アーカイブズ。
「地域拠点の形成と意義-デジタル文化資源の「資源」はどう調達されるのか?」
『デジタル文化資源の活用-地域の記憶とアーカイブ』(2011年)、「「専門職」
とはなにか」『歴史資料の保存と地方史研究』(2009年)など。
http://researchmap.jp/fukusima-y/

Copyright(C)FUKUSHIMA, Yukihiro 2013- All Rights Reserved.
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◇《連載》「Digital Humanities/Digital Historyの動向
      ~2013年10月中旬から11月中旬まで~」
 (菊池信彦:国立国会図書館関西館)

 前号に引き続き、2013年10月中旬から11月中旬までのDigital Humanities/Digital
Historyに関する動向をまとめた。

○新聞・ブログ記事
 11月1日、NordicHistoryBlogに“History in a digital world”という記事が掲
載された。記事は、スウェーデンのUniversity of GothenburgのKenneth Nybergと
University of HelsinkiのJessica Parland-von Essenの2人によるもの。記事では、
フィンランドやスウェーデンにおいてDHはまだ一般的ではないことが触れられ、執
筆者の2人がDH(特にデジタルヒストリー)を広く扱う“Historia i en digital
va:rld”(History in a digital world)という書籍刊行プロジェクトを進めてい
ることが紹介されている。
http://nordichistoryblog.hypotheses.org/1807
http://digihist.se/

 11月8日、アメリカのPublic Historyサイト“History@Work”に“Digital history
for undergraduates....without the coding”という記事が掲載された。著者は
Slippery Rock UniversityのAaron Cowan助教。学部生向けのPublic Historyの授業
でDigital Historyを扱うことが増えてきたが、プログラミングの知識のない学生も
多いことから、写真をGoogleマップにマッピングできるHistory Pinを授業で活用し
ている様子が紹介されている。
http://publichistorycommons.org/doing-digital-history-at-slippery-rock-u...

 11月12日、ペンシルバニア大学のMitch Fraasのブログ“Mapping Books”に、
“The Dispersal of the Medieval Libraries of Great Britain”という記事が掲
載された。スクリーンスクレイピングのワークショップで紹介するべく、オクスフ
ォード大のプロジェクト“Medieval Libraries of Great Britain”(MLGB3)のデー
タベースを利用して中世イギリスにおける書物の移動についてビジュアル化を行っ
た様子が紹介されている。ちなみに、93%の本がブリテン島の外には出ていないと
のこと。
http://mappingbooks.blogspot.jp/2013/11/the-dispersal-of-medieval-librar...
http://mlgb3.bodleian.ox.ac.uk/

○イベント・出来事
 10月6日から9日にかけてアメリカで開催された“IEEE International Conference
on Big Data 2013”(IEEE BigData 2013)でのワークショップ“Big Data and the
Humanities”のスライドが公開されている。
http://cci.drexel.edu/bigdata/bigdata2013/
http://bighumanities.net/events/ieee-bigdata-2013/workshop-program/

 10月24日、25日、Digital Public Library of America(DPLA)が“DPLAFest2013
”を開催した。これは、今年4月のボストンマラソンでの爆破テロの影響を受けて延
期されていたDPLA公開記念として行われたものである。このイベント開催と併せて、
新しい表示機能“DPLA Bookshelf”がリリースされている。
http://dp.la/info/2013/11/01/dplafest-2013-in-review/
http://dp.la/info/2013/11/05/dplafest-2013-technology/
http://dp.la/info/2013/10/24/bookshelf-announcement/
http://current.ndl.go.jp/node/24692

 10月25日、ポルトガル語圏のDH協会“AHDig-Associac,a~o das Humanidades
Digitais”が結成された。
http://ahdig.org/

 関連して、11月8日に、メキシコのDHネットワーク“Red-HD”が世界各国における
DH協会の成立年等をまとめたブログ記事“Las Humanidades Digitales globales”
を公開している。
http://humanidadesdigitales.net/blog/2013/11/08/las-humanidades-digitale...

 10月31日、日本アーカイブズ学会と日本物理学会が、共同声明「福島第一原発事
故に関わる放射線測定データの保全と後世へのアーカイブズ化を」を発表した。
http://www.jsas.info/modules/news/article.php?storyid=147
http://www.jps.or.jp/information/2013/11/post-11.html

 また、その2学会に加えて、日本学術会議総合工学委員会 原子力事故対応分科会
原発事故による環境汚染調査に関する検討小委員会は、共同で放射線測定データの
メタデータの収集を行うサイトを開設している。
https://sites.google.com/a/radarc311.jp/www/

 11月6日、DHニュースサイト“Digital Humanities Now”が、4周年を記念してサ
イトデザインを一新した。またDigital Humanities Nowのプラットフォームである
PressForwardも1周年を迎えている。
http://digitalhumanitiesnow.org/2013/11/digital-humanities-now-gets-a-ma...
http://pressforward.org/2013/11/happy-anniversary-pressforward/

○プロジェクト・ツール・リソース
 10月17日、GoogleがGoogle's Ngram Viewerの機能強化を発表した。ワイルドカー
ドを使った検索や語形変化も併せての検索、大文字小文字を区別した検索も可能に
なった。
http://www.theatlantic.com/technology/archive/2013/10/googles-ngram-view...
http://googleresearch.blogspot.jp/2013/10/enhancing-linguistic-search-wi...

 Northeastern Universityが、今年4月15日にアメリカで起こったボストンマラソ
ン爆破テロ事件に関するデジタルアーカイブを開設した。クラウドソーシングで事
件に関する資料を収集、提供するというものである。
http://marathon.neu.edu/
http://bostinno.streetwise.co/2013/10/15/boston-events-boston-marathon-2...

 また、クラウドソーシングに関連する話題として、10月22日に、英国のRoyal
Commission on the Ancient and Historical Monuments of Walesやウェールズ国立
図書館等の4機関が、共同プロジェクトサイト“CYMRU1900WALES”を公開している。
これは、英国陸地測量部が1899年から1908年までに発行した地図(Ordnance Survey
)に記載される地名等を、クラウドソーシングで入力していくためのものである。
http://www.cymru1900wales.org/
http://www.llgc.org.uk/index.php?id=1514&no_cache=1&tx_ttnews%5Btt_news%...

 10月18日、東京大学附属図書館が新図書館計画のウェブサイトを公開した。新図
書館計画に関するニュース、イベント案内などの情報を掲載するとしているほか、
新図書館の取り組みには「デジタル人文学を基礎とした学内MLA連携」が掲げられて
いる。
http://new.lib.u-tokyo.ac.jp/
http://www.lib.u-tokyo.ac.jp/koho/news/news/fuzokuto_13_10_18.html

 10月21日、ドイツの歴史学関係ブログのアグリゲーションサイト“Planet
History”が公開された。歴史学専攻の学生の作成。
http://planethistory.de/

 10月25日、Internet ArchiveがWayback Machineのリニューアルを発表している。
Wayback MachineはInternet Archiveが保存しているウェブサイトを閲覧できるサー
ビスで、1996年の開始以来アーカイブされたサイトURLは約3,600億件に達している
とのこと。
https://blog.archive.org/2013/10/25/fixing-broken-links/
http://current.ndl.go.jp/node/24694
http://japanese.engadget.com/2013/10/28/internet-archive/

 10月25日、ラトビア国立図書館が歴史的録音資料300点を公開した。ユネスコの定
める「世界視聴覚遺産の日」(World Day for Audiovisual Heritage)を記念した
もの。
http://audio.lndb.lv/en/
http://www.lnb.lv/en/latvias-historical-sound-recordings-new-digital-col...

 また、「音」に関連するDH関連の成果として“The Roaring 'Twenties”が公開さ
れている。19世紀末から20世紀初頭のニューヨークの喧騒を伝えるというものであ
る。
http://vectorsdev.usc.edu/NYCsound/777b.html
http://vectorsjournal.org/journal/blog/the-roaring-twenties-receives-muc...

 10月28日、英国のWellcome Libraryは、Medical Officers of Healthが作成した
レポートのデータベースを公開した。レポートは、ロンドンにおける出生率・死亡
率、幼児死亡率、伝染病の流行等を知ることができるというもので、公開されたデー
タベースには1848年から1972年までの125年間の記録が収録されている。
http://www.wellcome.ac.uk/News/Media-office/Press-releases/2013/Press-re...
http://wellcomelibrary.org/londons-pulse

 “Emily Dickinson Archive”が公開された。これは、1998年刊行の“The Poems
of Emily Dickinson: Variorum Edition”に収録されているDickinsonの詩のマニュ
スクリプトを収録したものという。Amherst CollegeやBoston Public Library等、
複数機関に分散しているDickinsonの史料を一元的に提供するのが特徴。
http://www.edickinson.org/
http://www.theguardian.com/books/2013/oct/25/emily-dickinson-legacy-arch...

 10月31日にニューヨーク公共図書館が“The Shelley-Godwin Archive”を公開し
た。英国の“first family of writers”と呼ばれるMary Wollstonecraft、William
Godwin、Percy Bysshe Shelley、Mary Wollstonecraft Shelley4名のデジタル化マ
ニュスクリプトを提供している。
http://shelleygodwinarchive.org/
http://www.neh.gov/news/bringing-frankenstein-life
http://current.ndl.go.jp/node/24722

 11月1日には、宮内庁が図書寮文庫所蔵資料目録・画像公開システムを公開した。
http://toshoryo.kunaicho.go.jp/
http://current.ndl.go.jp/node/24721

 11月1日、チューリヒ大学歴史学部が開発した“FILMSPUR”のリリースについて、
スイスの歴史学ポータルサイトinfoclio.chが紹介している。FILMSPURは、スイスに
ある視聴覚アーカイブ史料へのナビゲーションを目的としたポータルのようである。
http://www.filmspur.ch/
http://www.infoclio.ch/en/node/53822

 11月11日が第一次世界大戦休戦記念日であることから、第一次世界大戦に関する
プロジェクトの開始あるいは成果公開が相次いだ。

 11月1日、英国のImperial War Museum(IWM)が第一次世界大戦100周年記念パー
トナーシッププログラムを発表した。この中でIWMは、2014年2月に、イギリス帝国
内の図書館や文書館、そして各家庭に眠る第一次世界大戦史料のポータルサイト構
築のプロジェクトを開始すると発表している。
http://www.iwm.org.uk/sites/default/files/press-release/First_World_War_...
http://www.livesofthefirstworldwar.org/

 Step Shortが1914年から1919年の間に西部戦線に送られた兵士や看護師等の
42,000人分の名前を収録したオンラインコレクションを公開した。
http://www.centenarynews.com/article?id=1208

 少し前になるが、10月8日にProQuestが第一次世界大戦時に軍隊内部で(非)公式
に刊行された雑誌のデジタル化資料データベースをリリースしている。
http://www.proquest.asia/ja-JP/aboutus/pressroom/13/20131008.shtml

 11月11日に、英国国立公文書館が同館所蔵の第一次世界大戦関連史料のポータル
サイトを開設した。
http://www.nationalarchives.gov.uk/first-world-war/
http://current.ndl.go.jp/node/24804

 また、オーストラリアでは、State Library of New South Walesが第一次世界大
戦100周年記念サイトを開設し、日記のデジタル化プロジェクト等を開始している。
http://ccc.sl.nsw.gov.au/
http://blogs.abc.net.au/nsw/2013/11/state-library-could-hold-your-ancest...

 11月16日付けのLe Mondeが、フランス国立図書館やフランス国立公文書館等によ
る第一次世界大戦期の日記デジタル化の成果公開について報じている。
http://www.lemonde.fr/societe/article/2013/11/16/la-grande-collecte-nume...

 11月7日に、HathiTrustが新しいメタデータ管理システム“Zephir”をリリースし
た。California Digital Libraryが開発したものとのこと。
http://www.hathitrust.org/zephir_announcement

 11月13日、スミソニアン博物館が3Dデータの提供サイトを公開した。
http://3d.si.edu/
http://current.ndl.go.jp/node/24854
http://japanese.engadget.com/2013/11/15/3d/

○論文・学術雑誌・研究書
 DH雑誌の新刊が重なった。DHの主要ジャーナルである、“LLC: The Journal of
Digital Scholarship in the Humanities”の第28巻4号、“Digital Humanities
Quarterly”の第7巻1号、“Journal of Digital Humanities”の第2巻2号が刊行さ
れている。特にLLCは“Digital Humanities 2012”と題した特集のもと21本の論文
を掲載しており、それらを2014年1月29日まで無料公開している。
http://llc.oxfordjournals.org/content/28/4?etoc
http://www.allc.org/news-events/llc-special-issue-284
http://www.digitalhumanities.org/dhq/vol/7/1/index.html
http://pressforward.org/2013/10/journal-of-digital-humanities-2-2-expand...

 その他のDH雑誌として、“International Journal of Humanities and Arts
Computing”の第7巻1-2号(2013年10月号)では、“European Research
Infrastructures”という特集でヨーロッパにおける電子研究インフラに関する論文
9本を、加えて“Spatial Narratives and Deep Maps: A Special Report”と題した
特集で4本の論文を掲載している。
http://www.euppublishing.com/toc/ijhac/7/1-2

 また、人文学におけるデジタル技術を活用した表現・発信をテーマとしたオープ
ンアクセス誌“Journal of Interactive Humanities”が創刊されている。
http://scholarworks.rit.edu/jih/

 DH以外の雑誌でのDH特集もあった。“Journal for Early Modern Cultural
Studies”の第13巻4号では、“The Digital Turn”と題した特集でDH関連の論文
19本を掲載している。
http://muse.jhu.edu/journals/journal_for_early_modern_cultural_studies/t...

 また、“College English”第76巻2号では“The Digital Humanities and
Historiography in Rhetoric and Composition”の特集で、5本の論文を掲載してい
る。
http://www.ncte.org/journals/ce/issues/v76-2

 その他に、アメリカ歴史学協会の月刊誌“Perspectives on History”(2013年11
月号)には、歴史研究者にとってのデジタル化史料をテーマとした誌上フォーラム
“Material Culture in the Digital Frame: A Forum”が掲載されているほか、
“The Digitization and Democratization of Oral History”等の記事もある。な
お、同誌最新号は会員のみ提供されるが、多くの場合、刊行後しばらくするとオー
プンアクセスで閲覧できる。
http://www.historians.org/publications-and-directories/perspectives-on-h...
http://blog.historians.org/2013/11/digitization-undergraduate-teaching-e...

○レポート・報告書等
 10月24日、アメリカのNational Digital Stewardship Allianceが、“Issues in
the Appraisal and Selection of Geospatial Data”と題したレポートを刊行した。
レポートは、地理空間情報の管理・保存をテーマとしたもので、問題の背景やデー
タの評価・選別のための基準設定等を提示しているとのことである。
http://blogs.loc.gov/digitalpreservation/2013/10/new-ndsa-report-issues-...

 Jim RichardsonとJasper Visserの2人が、“Digital engagement in culture,
heritage and the arts”と題した本を刊行している。文化芸術に携わる機関がデジ
タル戦略にどのように取り組めばよいのかについて、ケーススタディやフレームワー
ク等を示している。なお、オンラインではメールアドレスを記入する必要があるが、
フリーでダウンロード可。
http://www.digitalengagementframework.com/
http://themuseumofthefuture.com/2013/11/14/quick-note-3-new-developments...

特殊文字については次のとおり表記しました。
アクサン・テギュ:e'
セディーユ:c,
チルド:a~

Copyright(C)KIKUCHI, Nobuhiko 2013- All Rights Reserved.
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◇人文情報学イベントカレンダー(■:新規掲載イベント)

【2013年11月】
■2012-11-28(Thu):
慶應義塾大学 デジタルメディア・コンテンツ統合研究センター シンポジウム
「コンテンツとコンテクストの統合的アーカイヴィングに向けて
-第3回 デジタル知の文化的普及と深化に向けて」
(於・東京都/慶應義塾大学 日吉キャンパス 西別館1)
http://www.dmc.keio.ac.jp/topics/events/cq6g7o000002z39z.html

■2012-11-29(Fri):
立命館大学文学研究科・文化情報学専修 連続講演会(第六回)「画像の効用」
(今西祐一郎)
(於・京都府/立命館大学 衣笠キャンパス アート・リサーチセンター)
http://www.arc.ritsumei.ac.jp/lib/GCOE/info/2013/11/post-100.html

□2013-11-30(Sat):
人文系データベース協議会 第19回 公開シンポジウム
「人文科学とデータベース」
(於・京都府/立命館大学 衣笠キャンパス)
http://www.osakac.ac.jp/jinbun-db/5.html

【2013年12月】
□2013-12-06(Fri)~2013-12-08(Sun):
8th Annual Chicago Colloquium on Digital Humanities and Computer Science
(於・米国/DePaul University)
http://lucian.uchicago.edu/blogs/dhcs/
http://culturelab.asc.upenn.edu/2013/09/11/chicago-colloquium-on-digital...

□2013-12-09(Mon)~2013-12-11(Wed):
International Conference on Asia-Pacific Digital Libraries(ICADL 2013)
(於・インド/Bangalore)
http://www.icadl2013.org.in/

□2013-12-09(Mon)~2013-12-14(Sat):
人文科学とコンピュータシンポジウム「じんもんこん2013」
IPSJ SIG-CH/PNC/ECAI/CIAS Joint Symposium
-人文科学とコンピュータの新たなパラダイム
(於・京都府/京都大学 百周年時計台記念館)
http://jinmoncom.jp/sympo2013/

【2014年1月】
■2014-01-09(Thu)~2014-01-12(Mon):
129th MLA Annual Convention
(於・米国/Chicago)
http://www.mla.org/convention

■2014-01-25(Sat):
情報処理学会 第101回 人文科学とコンピュータ研究会発表会
(於・京都府/同志社大学 今出川キャンパス)
http://www.ipsj.or.jp/kenkyukai/event/ch101.html

【2014年2月】
■2014-02-08(Sat):
第3回 知識・芸術・文化情報学研究会
(於・大阪府/立命館大学 大阪梅田キャンパス 大阪富国生命ビル)
http://d.hatena.ne.jp/JADS/20130928/1380319085

【2014年3月】
■2014-03-18(Tue)~2014-03-21(Fri):
Australasian Association for Digital Humanities(aaDH)2014
(於・豪洲/University of Western Australia)
http://dha2014.org/

Digital Humanities Events カレンダー共同編集人
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小林雄一郎(日本学術振興会特別研究員PD)
瀬戸寿一(立命館大学衣笠総合研究機構専門研究員)
佐藤 翔(同志社大学教育文化学科 助教)
永崎研宣(一般財団法人人文情報学研究所)

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 続きは【後編】をご覧ください。

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人文情報学月報 [DHM028]【前編】 2013年11月25日(月刊)
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