ISSN 2189-1621

 

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DHM 047 【後編】

2011-08-27創刊                       ISSN 2189-1621

人文情報学月報
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄Digital Humanities Monthly

             2015-06-30発行 No.047 第47号【後編】 574部発行

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 ◇ 目次 ◇
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【前編】
◇《巻頭言》
「従来のデジタル・アーカイブのその先へ:舞踊・ダンスの定量的分析を通して」
 (鹿内菜穂:日本女子大学)

◇《連載》「西洋史DHの動向とレビュー
        DH研究者による人文学アドヴォカシープロジェクト4Humanities」
 (菊池信彦:国立国会図書館関西館)

◇《連載》「Digital Japanology Studies寸見」第3回
     「丸山眞男文庫草稿類デジタルアーカイブ公開」
 (岡田一祐:北海道大学大学院文学研究科専門研究員)

【後編】
◇人文情報学イベントカレンダー

◇イベントレポート(1)
「『ヴァチカン教皇庁図書館展II 書物がひらくルネサンス』展
               及びオープニング講演・シンポジウム参加報告」
 (柴田みゆき:大谷大学文学部人文情報学科)

◇イベントレポート(2)
「人文学とコンピュータ研究会 第106回研究発表会」参加報告
 (川島隆徳:国立国会図書館)

◇編集後記

◇奥付

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【人文情報学/Digital Humanitiesに関する様々な話題をお届けします。】
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◇人文情報学イベントカレンダー(□:新規掲載イベント)

【2015年06月】
■2015-06-29(Mon)~2015-07-03(Fri):
DH2015@Sydney
(於・豪州/University of Western Sydney)
http://dh2015.org/

【2015年07月】
■2015-07-20(Mon)~2015-07-24(Fri):
Digital Humanities at Oxford Summer School 2015
(於・英国/St Anne's College)
http://dhoxss.humanities.ox.ac.uk/2015/

□2015-07-25(Fri):
公開シンポジウム「日本語の歴史典籍データベースが切り拓く研究の未来」
(於・東京都/日本学術会議)
http://www.nijl.ac.jp/
【PDF】 http://www.nijl.ac.jp/pages/cijproject/images/20150725_gakujutsu_sympo.pdf

【2015年08月】
□2015-08-09(Sun):
情報処理学会 人文科学とコンピュータ研究会 第107回研究発表会
(於・奈良県/奈良大学)
http://www.jinmoncom.jp/

【2015年09月】
□2015-09-01(Tue)~2015-09-03(Thu):
JADH2015「Encoding Cultural Resources」
(於・京都府/京都大学)
http://conf2015.jadh.org/

□2015-09-05(Sat)~2015-09-06(Sun):
Code4Lib JAPAN Conference2015
(於・東京都/リクルート本社 グラントウキョウサウスタワー)
http://wiki.code4lib.jp/wiki/C4ljp2015

□2015-09-14(Mon)~2015-09-19(Sat):
FOSS4G Seoul2015
(於・韓国/Seoul The-K Seoul Hotel)
http://2015.foss4g.org/

□2015-09-16(Wed)~2015-09-19(Sat):
2015 EAJRS Conference in Leiden 日本資料専門家欧州協会
(於・オランダ/Leiden University)
http://eajrs.net/

□2015-09-18(Fri)~2015-09-19(Sat):
日本地理学会2015年秋季学術大会
(於・愛媛県/愛媛大学 城北キャンパス)
http://www.ajg.or.jp/ajg/2015/06/20142015-3.html

Digital Humanities Events カレンダー共同編集人
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小林雄一郎(日本学術振興会特別研究員PD)
瀬戸寿一(東京大学空間情報科学研究センター)
佐藤 翔(同志社大学教育文化学科 助教)
永崎研宣(一般財団法人人文情報学研究所)

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◇イベントレポート(1)
「『ヴァチカン教皇庁図書館展II 書物がひらくルネサンス』展
               及びオープニング講演・シンポジウム参加報告」
http://www.printing-museum.org/exhibition/lecture/
 (柴田みゆき:大谷大学文学部人文情報学科)

 『ヴァチカン教皇庁図書館展II 書物がひらくルネサンス』が、東京の印刷博物館
において開催中である[1]。2002年に開催された前回に比べ、日本のキリスト教徒
との繋がりを感じさせる数々の展示物や、本展示会のためだけに作成された同図書
館パンフレット日本語版の特別頒布、研究者以外は通常立ち入れない同図書館の一
部をプロジェクション・マッピングで提示するなど、新しい試みが随所に見られる。
図録も細部にまで凝ったつくりとなっている。

 本稿では、4月25日(土)、東京大学福武ホールにて開催された同展のオープニン
グ講演・シンポジウム『図書館再生-なぜ図書館は生まれ変わるのか』について報
告する。3年にわたる大改修を経て近代化がはかられたヴァチカン教皇庁図書館と、
2019年の完成をめざし改修中の東京大学附属図書館から、それぞれのリニューアル
の意図を中心に講演がなされた。教皇庁図書館の講演はイタリア語で行われ、聴講
者には同時通訳が提供された。

 冒頭、講演予定だったパオロ・ヴィアン写本部長が来日できず、同部長と同じプ
ロジェクトで協同するアンブロージオ・ピアッツァーニ副図書館長が代理講演され
るとのアナウンスがあった。引き続き、印刷博物館の樺山紘一館長が開会の挨拶を
述べられた。

 この後、当初のプログラムには記載の無い、ジャン・ルイ・ビュルゲス大司教か
ら挨拶が述べられた。ビュルゲス大司教は現在、ヴァチカン教皇庁図書館の尚書長
職にある[2]。

 第一部は、チェーザレ・パジーニ図書館長の基調講演から始まった[3]。ルネサ
ンスの人文主義精神に基づく研究機関としての開かれた図書館の理想像と、知の資
産の保存のバランスについて語られた。また、同図書館の歴史を3段階で説明された
が、19世紀末から現在にかけての研究者と図書館サービスの間の、ありとあらゆる
形の接触を認める普遍的なつながりを表す言葉として、日本語の「縁(えん)」が
使われた。

 続いて、3名の登壇者による事例発表が行われた。

 まず、アンブロージオ・ピアッツォーニ副図書館長が『貴重な手稿文献保存と普
及』と題して講演された。1598年のフランツ・エルレによる「手稿文献の保存と活
用の間には適切なバランスが取られなければならない」との指摘は、現在も、そし
て全世界の図書館に共通する問題であろう。その上で、多くの研究者に資するため
の8万2千冊の手稿の電子化プロジェクトは、現在迄の容量が45ペタバイトにのぼっ
ていることが紹介された[4]。また、凸版印刷が2015年に開発した、100度の開き
でスキャン可能なブックスキャナに期待しているとの発言もあった。講演では修復
工房やフォトラボの様子が多く提示されたが、図書館パンフレットにもごく一部で
はあるが写真入りで紹介されている。

 次に、図書館印刷本部のアダルベルト・ロト部長が『ヴァチカン教皇庁図書館の
初期刊本』と題して講演された。「智慧の住処(すみか)」と呼ばれた教皇庁の
「聖なる技術」としての印刷、特にインキュナブラに関する内容が中心であった。
同図書館は現在、世界で4番目のインキュナブラ収集館である。また、目録化の重要
性にも言及があり、同図書館のインキュナブラ目録は、2010年より段階的にOPACに
入りつつあるとのことであった。さらに、世界で3番目のインキュナブラ収集館であ
るオックスフォード大学ボドリアン図書館と共同で進める、ポロンスキー財団デジ
タル化プロジェクトの進捗についても報告があった[5]。

 第一部の最後に行われるはずだった、東京大学附属図書館の石田英敬・前副館長
による講演は、時間が押したために第二部のパネルディスカッション直前に移動さ
れた。「フンボルト型大学、ベルリン大学モデル」からの脱却を意図した新しい学
びの場の提供、特に「ハイブリッド・リーディング」について語られた。

 パネルディスカッションは、樺山紘一印刷博物館長をモデレータとして行われた。
「ハイブリッド・リーディングの哲学とは何か」をはじめ、鋭い質問がパネリスト
から提示された。また、パジーニ図書館長が言及した「縁」という言葉が、前夜の
関係者の打ち合わせの席で石田前副館長から紹介された言葉であることが披露され
た。他のヴァチカン側出席者による言葉の端々からも、今回のシンポジウムが単な
る展示会の広告企画ではなく、東洋に対する理解を深めるミッションが含められて
いたことは、興味深い。

 以上をもって、簡単ではあるが講演・シンポジウムの報告とさせて頂く。

[1]期間は2015年7月12日(日)まで。
“【企画展示】ヴァチカン教皇庁図書館展II 書物がひらくルネサンス”
http://www.printing-museum.org/exhibition/temporary/150425/index.html
[2]“Archivist and Librarian of the Holy Roman Church”
https://www.vatlib.it/home.php?pag=bibliotecario
[3]パジーニ館長は、改修が完了した図書館の祝福のために訪れた教皇を案内した
一人である。“The Pope’s Visit to the Vatican Library”
http://www.osservatoreromano.va/en/news/the-popes-visit-to-the-vatican-l...
[4]Webサイト“Vatican Library Digitization Project”の“コレクションリス
ト”ページからは、現在までに電子化が完了した手稿リストが閲覧できる。
http://digital.vatlib.it/ja/collection/
[5]“Polonsky Foundation Digitization Project”
http://bav.bodleian.ox.ac.uk/

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◇イベントレポート(2)
「人文学とコンピュータ研究会 第106回研究発表会」参加報告
http://www.jinmoncom.jp/
 (川島隆徳:国立国会図書館)
※本稿は私の主観によるものであり、所属組織の見解とは関係ありません

 先日、文部科学省が全国の国立大学に対して、人文社会科学や教員養成の学部・
大学院の規模縮小などを要請する通知素案を出したというニュースが話題になりま
した(前々からあった話ではありますが)。ネット上の反応は様々ですが、私の
(図書館関係でない)知人にも、「見直すべきではないか」といった意見を持った
人はそれなりにいました。「人文学」が何の役に立つのか、役に立つとはどういう
ことなのかも含めて、考えなければならない時代になっているのだろうと思います。

 図書館におりましても、そのような圧力を感じることはあります。というよりも、
図書館自体は存在そのものを問われているという感が少なからずあります。海外で
は、図書館の位置づけやステータスも違いますが、デジタルヒューマニティーズと
協業することで、図書館の新しい立ち位置を探るような試みも行われています。国
立国会図書館の実験事業、NDLラボも、(必ずしも最初からそういった方向性を目指
していたわけでは無かったようですが)DHの分野の先生方とお話しする機会が多く、
実験システムも永崎先生の翻デジなど、なんだか海外の取り組みと似たようなもの
が導入され、少しずつそういった方向を向きつつあります。そんな中、元々私の研
究領域がDH系であったこともあって、第106回の人文学とコンピュータ研究発表会を
国立国会図書館にお呼びして共催することになったのでした。

 午前中の一般セッションは、「分析」「取組報告」「課題提起」「データベース」
と、いつもの人文学とコンピュータ研究会らしいラインナップでした。個人的には、
3つ目のダークツーリズムの話が「人文学」が役に立つという一つの良い事例だとい
う感が強くありました。ダークツーリズムは、歴史の間違った部分を直視して同じ
間違いを起こさないようにするという面でとても重要です。これが、ヨーロッパと
の文化の違いか、日本では悪かったこと、良くなかったことは見ないようにする、
ということが多く、どのようにこれに対応するべきか、といったような論点であり
ました。発表には、「コンピュータ」部分がありませんでしたが、質疑で出てきた
国立国会図書館の東日本大震災アーカイブも、ダークな面を保存するという形では
役に立っているようです。発表中に出てきた、震災で名を売った人、という話につ
いて、インターネット上の情報を見てみると、東日本大震災アーカイブのコンテン
ツのユニークIDが貼られて議論されているような場所もあり、東日本大震災アーカ
イブとして対象を限定することなく集めた資料がインターネット上でダークな形に
まとめられて利用されている、と言えなくもないでしょう。

 ポスター発表は学生の発表が中心で、私は会場の手伝いであまり見られなかった
のですが、東京大学大学院北崎さんの「洒落本を対象とした東西対照コーパスの設
計と構築」というポスターがポスター賞を取られたようでした。

 午後の部は、国立国会図書館との共催部分ということで、最初に私がラボの紹介
をした後、3つほどNDLラボで協力をお願いしている先生方に発表して頂きました。
京都大学橋本さんの「モバイルで読む近代デジタルライブラリー」は、スマートフ
ォンやタブレットで近代デジタルライブラリーを読むためのツールです。ただ今機
能追加版開発中で、もうしばらくしたらNDLラボからも一般公開できるかと思います。
翻デジは、永崎先生の、翻刻プロジェクトを誰でも始められるプラットフォームの
試金石としたい、という思いで始められたプロジェクトで、着々と翻刻が進められ
ています。ちなみにNDLラボでは、今年の4月から日本点字図書館と共同で、障害者
のための資料のテキストDAISY化という実験も始めました。こちらは、また別のシス
テムを利用して、障害者向けに比較的新しい資料をテキスト化するという試みです。
筑波大学森嶋先生のクラウドソーシングに関するお話は、私が是非にと思いまして
お呼びしたものです。翻刻などでもそうですが、クラウドソーシングというのは大
きなトレンドになりつつあります。具体的なところは聞いておりませんが、翻デジ
とCrowd4Uのジョイントでの取り組みも今後あるようです。

 その後、パネルセッションでは、あまり話すことが無くて困りましたが、私が鮮
明に覚えているのは、NII北本先生からの、「何を解決したいのか分からない」とい
うご指摘でした。確かに、私が示したスライドには、「NDLラボの目的:新しい図書
館サービスを実現する→書誌の検索システム、全文の検索システム、電子化資料の
閲覧システム」と書いてあって、研究者に何を求めているのか、よく判らなかった
と思います。

 研究会の後、他の職員とも話す機会があって、私の中で改めて認識ができたのは、
「自分でも何を解決したいのか分からない」ということでした。より厳密に言うと、
「当面の技術的な課題で解決方法が分からないものは特にないので、それ以上と言
われるとそもそも何を課題としていいのか分からない」ということになります。図
書館内にいると、解決しなければならないのはほとんど制度上の問題であり、そこ
がどうにかなれば、Googleの後追いと言われようが、持っているデータを活かした
サービスは可能、という気がするのです。特に国立国会図書館の一般利用者サービ
スは、ユーザが決まっていない(=絞れない)という面もあって、余計に具体的な
課題に落としづらいという面があります。

 さらにその後、東京大学の美馬先生とお話しする機会があった時に、「それでも
10年後を考えなければならないでしょう」と言われ、それはその通りであるな、と
反省しました。制度上の問題が解決して、目下の技術的にマイナーな課題がクリア
されて、さらにその後どうするか、そこまで考えなければ、「新しい図書館サービ
ス」とは言えないのでしょう。お役所にいると、段々と目先の事をうまくこなすこ
とに慣れていって、こういった長期的なビジョンを持つ人は少なくなるような気が
します。なんというか、これは会計制度や人事制度上、抵抗するのが困難な枠組み
な気もしますので、DHの研究者の皆様には、是非「DHが解決するべき10年後の課題」
を一緒に考えていただければ幸いです。今後ともNDLラボをよろしくお願いいたしま
す。

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 配信の解除・送信先の変更は、
    http://www.mag2.com/m/0001316391.html
                        からどうぞ。

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◆編集後記(編集室:ふじたまさえ)
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 今月もさまざまな論点がお届けできたように思います。巻頭言はじめ、ご寄稿い
ただいた皆さま、ありがとうございました。

 今回のキーワードは連載「西洋史DHの動向とレビュー」でもとりあげられている、
「アドヴォカシー」なのではないかと思います。研究分野がいくら深化を遂げてい
てもその存在意義がその分野以外の世界から認められる必要がある程度必要です。

 特に今回は、その分野が「不要」であると位置づけられ、本当の意味での「アド
ヴォカシー」の重要性、必要性が高まった出来事があったおかげで、単純に翻訳し
た意味である「(政治的な意味においての)支持、擁護すること」ではくくれない
「アドヴォカシー」のカタチ(といっても「アドヴォカシー」を獲得するための振
興・PR策という位置づけになるかもしれません)が今後も注目されると思います。

 つまり、研究に従事していない人でもその意味が理解しやすくなる「デジタル・
アーカイブ」をつくりその分野に貢献したい、という巻頭言での柴田さんの取り組
みも、アドヴォカシーを獲得するための研究に位置づけられるのではないかと感じ
ました。

 自分たちの研究分野の入門的位置づけにある取り組みにどんなものがあるのか、
「アドヴォカシー」のための取り組みを内側から意識していくことも重要な「アド
ヴォカシー」の一つではないでしょうか。

 次号もお楽しみに。

◆人文情報学月報編集室では、国内外を問わず各分野からの情報提供をお待ちして
います。
情報提供は人文情報学編集グループまで...
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人文情報学月報 [DHM047]【後編】 2015年06月30日(月刊)
【発行者】"人文情報学月報"編集室
【編集者】人文情報学研究所&ACADEMIC RESOURCE GUIDE(ARG)
【 ISSN 】2189-1621
【E-mail】DigitalHumanitiesMonthly[&]googlegroups.com
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【サイト】 http://www.dhii.jp/

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