2011-08-27創刊 ISSN 2189-1621
人文情報学月報
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄Digital Humanities Monthly
2017-01-31発行 No.066 第66号【後編】 654部発行
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◇ 目次 ◇
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【前編】
◇《巻頭言》「大学図書館はデジタル人文学に貢献できるのか」
(石田栄美:九州大学附属図書館研究開発室)
◇《連載》「Digital Japanese Studies寸見」第22回
「ボランティアによるコラボレーションのありかた 『みんなで翻刻』リリースに
寄せて」
(岡田一祐:東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所)
【後編】
◇人文情報学イベントカレンダー
◇イベントレポート
「デジタルアーカイブの再設計~資料の利用のために何をすべきか/何ができるか~」
(永崎研宣:人文情報学研究所)
◇編集後記
◇奥付
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【人文情報学/Digital Humanitiesに関する様々な話題をお届けします。】
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◇人文情報学イベントカレンダー(□:新規掲載イベント)
【2017年2月】
□2017-02-03(Fri):
JALプロジェクト2016 アンサー・シンポジウム
「JAL2016WS『日本美術の資料に関わる情報発信力の向上のための提言III』への応答
- “またもや”感 を越えて」
(於・東京都/東京国立近代美術館)
http://www.momat.go.jp/am/visit/library/jal2016/
□2017-02-03(Fri):
人間文化研究機構 第12回人間文化研究資源共有化研究会
「人文科学におけるオープンサイエンスの課題」
(於・愛知県/愛知工業大学 本山キャンパス)
http://www.nihu.jp/ja/publication/source_rd/no12_170203
■2017-02-04(Sat):
第113回人文科学とコンピュータ研究会発表会
(於・愛知県/愛知工業大学 本山キャンパス)
http://www.jinmoncom.jp/
□2017-02-10(Fri):
情報・システム研究機構 データサイエンス共同利用基盤施設
人文学オープンデータ共同利用センター(CODH)第2回CODHセミナー
「くずし字チャレンジ-機械の認識と人間の翻刻の未来」
(於・東京都/国立情報学研究所)
http://codh.rois.ac.jp/seminar/japanese-character-challenge-20170210/
■2017-02-18(Sat):
第22回公開シンポジウム「人文科学とデータベース」
(於・奈良県/奈良女子大学)
http://www.jinbun-db.com/news/4
【2017年3月】
■2017-03-10(Fri):
「東洋学へのコンピュータ利用」研究セミナー
(於・東京都/京都大学 人文科学研究所本館)
http://www.kanji.zinbun.kyoto-u.ac.jp/seminars/oricom/
□2017-03-13(Mon)~2017-03-14(Tue):
Doing Digital Scholarship in Japanese Studies: Innovations and Challenges
(於・カナダ/University of Toronto)
http://guides.nccjapan.org/torontodigital
Digital Humanities Events カレンダー共同編集人
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小林雄一郎(東洋大学社会学部)
瀬戸寿一(東京大学空間情報科学研究センター)
佐藤 翔(同志社大学教育文化学科 助教)
永崎研宣(一般財団法人人文情報学研究所)
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◇イベントレポート
「デジタルアーカイブの再設計~資料の利用のために何をすべきか/何ができるか~」
: http://research.kyoto-u.ac.jp/gp/1608/
(永崎研宣:人文情報学研究所)
2017年1月21日午後、京都大学次世代デジタルアーカイブ研究会により、キックオ
フ研究会「デジタルアーカイブの再設計~資料の利用のために何をすべきか/何が
できるか~」が開催された。この研究会は、Webサイトによれば、以下のような目的
を掲げている。
「研究資料の共有をウェブ上で実現することを目的として、これからのデジタルア
ーカイブがどうあるべきかを考える若手の研究者や実務家中心の集まりです。さ
らに媒体を問わない様々な資料とデータの作成、管理、長期保存、信頼性の保証
など、多様な観点からの悩みや疑問、不満等を話し合うことで、有意義な情報の
共有、研究素材の提供、異分野との交流を目指します。デジタルアーカイブを媒
介として学内、地域、機関等の連携を目指します。」
そして、登壇者・発表題目は以下のようなものであった。
元 ナミ(京都大学大学文書館/特定助教)
趣旨説明
齋藤 歩(京都大学総合博物館/特定助教)
「研究資源」から見るデジタルアーカイブの課題-京都大学研究資源アーカイブ
を事例に-
加藤 諭(東京大学文書館/特任助教)
大学アーカイブズにおけるデジタルアーカイブ構築-東京大学文書館を事例に-
橋本 陽(帝国データバンク史料館/研究員)
伝統的アーカイブズ学の理念を反映したデジタルアーカイブ
渡辺悦子(国立公文書館 公文書専門員)
デジタルアーカイブ構築における機関連携の可能性と条件-イギリスの事例から-
亀田尭宙(京都大学東南アジア地域研究研究所/助教)
地域研究資料の共有とデジタルアーカイブの距離
寺澤正直(内閣府大臣官房公文書管理課/公文書管理専門職)
アーカイブズ記述のための概念モデル(RiC)の動向-Draft 0.1版の概要-
加藤聖文(国文学研究資料館/准教授)
ユーザーが語るデジタルアーカイブに必要な機能と限界
当日は70~80名ほどの参加者があり、質疑応答も大変盛り上がった。それぞれの
登壇者が、発表タイトルの通り、各自の関心からデジタルアーカイブへの取組みや
海外の状況等について紹介し、全体としては、将来に向けての期待を高めてくれる
会合であったと思う。会場の雰囲気は、Twitterのまとめ(https://togetter.com/li/1072775
や https://togetter.com/li/1072884 )からある程度うかがい知ることができるだ
ろう。
発表を聞いていて筆者が特に気になったところとしては、歴史研究としての史料
とそれ以外の観点からの文化研究資料のデジタル化についての議論を少し分けて考
えないことには議論が進みにくい面が今後出てくるだろう、という点がある。また、
近現代の史料と近代以前・近世以前についても、一緒に議論するとうまく話がまと
まらない面があるだろう。モノとしての重要性、一次資料としての重要性、複製資
料の多さ、といった軸を立てることで話をある程度整理することは可能だろうと思
われる。この点については、現ヴァージニア大学図書館長のJohn Unsworth氏が来日
講演した際にうまくまとめておられるので参照されたい(和訳: http://21dzk.l.u-tokyo.ac.jp/CEH/index.php?Unsworth
)。こういった問題は、用途に応じたデジタル化という観点で包括できる問題では
あるが、人文学、あるいは文化研究であるからと一括りにしてしまうと話が進まな
くなってしまう可能性があるので、特に留意していただきたい点である。
研究会全体としては、そもそもアーカイブズという概念とワークフローを日本に
定着させる流れがまだ全然できてないようなので、そこに組織的戦略的に注力して
いかなければならない段階なのではないかと改めて実感した。また、発表のなかで
は、欧米先進国でアーカイブズの真正性を担保するための仕組みが整備されている
ということが強調されており、それが日本できちんとできていないことは確かだが、
欧米先進国においても、ボーンデジタルのアーカイブズ資料が増えていくなかで、
その真正性はどの程度まで担保されようとしているのか、という点についても、き
ちんと検証しつつ、日本での現実的なワークフローを考えていただく必要があるの
ではないかと思った。すでに日本でも色々な取組みが行われつつあるところではあ
ると想像しているが、そういったアーカイブズの知見が昨今の「デジタルアーカイ
ブ」の潮流においても適宜参照されながら進んでいくようになっていくとよいので
はないかと思っている。誰がそれに取り組むのか、という問題はあるにせよ、この
研究会の方々にも期待しているところであり、また、この研究会が開催されたこと
自体がそれに資するものであり、その意味で重要な一歩であったと言えるだろう。
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配信の解除・送信先の変更は、
http://www.mag2.com/m/0001316391.html
からどうぞ。
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◆編集後記(編集室:ふじたまさえ)
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2017年最初の号はいかがでしたか?石田さんの巻頭言では、自身が研究者であり
つつ、あらゆる研究を支えたいという図書館の立場からの論考でしたが、このメル
マガの読者の皆さんはどのように受け止めたでしょうか?人的支援という意味では、
専門的知識を持つ人を育てるだけではなく、岡田さんの連載でも紹介されていた
「ボランティア」のようにこれまで研究者や学生に限られていた研究への関わり方
を変えるしくみも広がりつつあります。
イベントレポートで永崎さんが指摘なさっている点についても、特にデジタルア
ーカイブの真正性が気になります。とはいえ、あらゆるところにおいて日本の状況
が諸外国とくらべて遅れているというイメージがついてまわるところも気になりま
す。実質的な評価をどの時点で誰がするのか?という問題もありますが、自分たち
の状況を冷静に捉えて課題を整理する機会を折々に持つ必要があるのではないでし
ょうか。
次号もお楽しみに。
◆人文情報学月報編集室では、国内外を問わず各分野からの情報提供をお待ちして
います。
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人文情報学月報 [DHM066]【後編】 2017年01月31日(月刊)
【発行者】"人文情報学月報"編集室
【編集者】人文情報学研究所&ACADEMIC RESOURCE GUIDE(ARG)
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