ISSN 2189-1621

 

現在地

DHM 020 【前編】

【差替版】[DHM020]人文情報学月報【前編】

【お詫び】2013年3月31日に配信しました、人文情報学月報【前編】《巻頭言》の本
文のタイトルおよび執筆者名が間違っておりました。
差替版を送信させていただき、ここにお詫び申し上げます。

2011-08-27創刊

人文情報学月報
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄Digital Humanities Monthly

             2013-03-31発行 No.020 第20号【前編】 335部発行

_____________________________________
 ◇ 目次 ◇
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
【前編】
◇《巻頭言》「バレエ古典作品のデジタルアーカイブ化」
 (曽我麻佐子:龍谷大学理工学部)

◇《連載》「Digital Humanities/Digital Historyの動向
      ~2013年2月中旬から3月中旬まで~」
 (菊池信彦:国立国会図書館関西館)

【後編】
◇人文情報学イベントカレンダー

◇イベントレポート(1)
「シンポジウム:すべてをコンピュータの中に(繋がってしまったデータとその未
来)」
 (山崎直樹:関西大学)

◇イベントレポート(2)
「第3回コーパス日本語学ワークショップ」
 (小木曽智信:国立国語研究所 言語資源研究系)

◇イベントレポート(3)
「『東洋学へのコンピュータ利用』第24回研究セミナー」
 (安岡孝一:京都大学人文科学研究所附属東アジア人文情報学研究センター)

◇編集後記

◇奥付

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
【人文情報学/Digital Humanitiesに関する様々な話題をお届けします。】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
◇《巻頭言》「バレエ古典作品のデジタルアーカイブ化」
 (曽我麻佐子:龍谷大学理工学部)

 近年、実物と見分けがつかないくらいリアルな人体を、CGやロボットで再現する
ことができるようになった。私が「これは実物ではない」と分かるのは、たいてい
対象が動いたときである。動きがぎこちなかったり、不自然だと感じたとき、実物
ではないと確信する。そして、ダンスやミュージカルなどの生の舞台を観ると、や
はり人間の動きは素晴らしいと思う。それだけ人体動作は複雑で魅力的であり、主
な研究テーマとして長年取り組んでいる。今回は、私が行っている舞踊のデジタル
アーカイブ化の取り組みを紹介し、現状と今後の課題について、あらためて考えて
みようと思う。

 私は1999年から、プロダンサーの動きをモーションキャプチャで取得し、3次元
データとしてデジタルアーカイブ化を行っている。特にクラシックバレエの古典ソ
ロダンスを中心に毎年数作品ずつ取得している。バレエには有名な古典作品が多く
存在し、現代でも国内外の公演や発表会よく上演されている。たとえば、「白鳥の
湖」第2幕のオデットの踊りと言えば、バレエを習っている人であればどんな曲でど
んな踊りか、たいてい知っている。このような作品を網羅的に収集し、3次元CGとし
て自由に閲覧できるデジタルアーカイブの構築を目指している。現在のところ、約
30の舞踊作品を収録済みであり、そのうちバレエ16作品とコンテンポラリーダンス
2作品をウェブ上で公開している。(*1)

 舞踊のモーションデータは、主に光学式モーションキャプチャシステムを用いて
取得している。収録可能範囲は4m×4m程度であり、舞台よりも狭い。一つの作品を
何回かに分けて収録し、後で繋ぎ合せて一つの作品を完成させる。さらに、計測し
たマーカーの位置座標から、関節の位置を算出し、骨格構造を作成して、CGキャラ
クタに割り当てる。データを加工したり編集したりできるのは、デジタルデータの
利点である。プロダンサーの素晴らしい動きを下手に見せることも上手に見せるこ
ともできる。

 近年では、Microsoft Kinectの登場により、一般人でも手軽にモーションキャプ
チャができるようになってきている。Kinectはこれまでの高価なモーションキャプ
チャに比べて精度は低いが、数万円でモーションキャプチャが実現できる。一家に
一台、誰でもモーションキャプチャ。そんな時代が訪れようとしている。しかし、
プロダンサーの素晴らしい動きを最大限に活かすためにも、クオリティにこだわっ
たデジタルアーカイブの構築を続けていきたい。

 また、3次元CGアニメーションを表示する環境も変わりつつある。スマートフォン
やタブレット端末の普及により、3次元CGはパソコン上だけで表示するものではなく
なってきた。画像やテキストと違い、3次元のデジタルデータを記述する言語や表示
する環境は未だに標準化されていない。これまで、プラットフォームに依存しない
Javaベースのシステムを開発してきたが、また振り出しに戻った状態である。デー
タの取得方法や閲覧環境が変わっても、統一した形式で管理し、表示できるように
するには、工学的な知識が必要である。このような作業的な内容は、研究成果とし
てはあまり期待できないが、人文科学に関わる研究者としては、今後も継続的に行
っていきたい。

 そして将来的な課題は、モーションアーカイブという無形文化財を、今後どこに
どうやって残して管理していくか。古地図や壁画などの有形文化財と違って、実物
が存在しないため、管理している人もいない上、これまでに収録したデータは誰の
ものなのか明確ではない。私が居なくなったら、データは全てなくなってしまうの
だろうか。誰かが引き継いで管理してくれるのだろうか。舞踊の専門的なデジタル
アーカイブとして、後世に残せるようにしていきたい。そう思いながら、毎年少し
ずつ、データの加工を行っている。

(*1)Virtual Dance Theatre
http://www.motionlab.jp/lab/vdt.html

執筆者プロフィール
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
曽我麻佐子(そが・あさこ) 龍谷大学理工学部情報メディア学科講師。博士(学術
)。主に舞踊を対象とした人体アニメーションに関する研究およびシステム開発を
行っている。

Copyright(C)SOGA, Asako 2013- All Rights Reserved.
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
◇《連載》「Digital Humanities/Digital Historyの動向
      ~2013年2月中旬から3月中旬まで~」
 (菊池信彦:国立国会図書館関西館)

 前号に引き続き、2013年2月中旬から3月中旬までのDigital Humanities/Digital
Historyに関する動向をまとめた。

○新聞・ブログ記事
 2月18日付けのThe Chronicle of Higher Educationに、“Stop Calling It
'Digital Humanities'”という記事が掲載されている。記事は、Digital Humanities
がもっぱら大規模な研究大学向けと思われていることに対し、教育中心の小規模な
リベラルアーツカレッジにおいても十分導入可能なものであることを指摘する内容
となっている。むしろリベラルアーツカレッジでのDigital Humanities導入には、
研究大学とは異なる困難さがあるとし、それらの大学で導入する際に気を付けるべ
き10の事柄が列挙されている。記事タイトルにもある“Stop Calling…”は、その
うちの一つとして挙げられているものである。
http://chronicle.com/article/Stop-Calling-It-Digital/137325/

 2月20日、クリーブランド州立大学のCenter for Public and Digital Humanities
が、“Oral History Resources”という記事をウェブサイトで公開している。オー
ラルヒストリー実践のためのリソース集やデジタル技術を活用したオーラルヒスト
リー(Digital Oral History)の増加を背景としたもので、記事はそれらの情報源
を網羅的にまとめた内容となっている。
http://csudigitalhumanities.org/2013/02/oral-history-resources/

 3月5日、人文学研究機関の国際的なコンソーシアムであるCHCI(Consortium of
Humanities Centers and Institutes)が、加盟機関のDigital Humanitiesプロジェ
クトを紹介するウェブページを開設した。この3月は、オーストラリア国立大学、コ
ーネル大学、ワシントン大学シアトル校が取り上げられており、今後3から6週間ご
とのローテーションで紹介される機関が変わることになっている。
http://chcinetwork.org/featured-member-programs-in-digital-humanities/
http://chcinetwork.org/our-members/regional-and-affinity-groups/digital-...

 3月17日、研究者のMiriam Posner(カリフォルニア大ロサンゼルス校)が、自身
のブログでOmekaのセットアップの手順を解説した記事を掲載している。Omekaの講
義資料として広く利用してほしいとしているだけあって、平易でわかりやすい内容
となっている。
http://miriamposner.com/blog/?p=1471
http://miriamposner.com/blog/?p=1477

○イベント・出来事
 3月5日、Dan Cohen(ジョージメイソン大)が、今年4月に公開予定のDigital
Public Library of America(DPLA)の初代事務局長(Executive Director)に就任
するとの発表があった。12日にはDigital Shift誌にDan Cohenのインタビュー記事
が掲載されており、DPLAのプレスリリースやCohenのブログ記事とあわせて読んでお
きたい。
http://dp.la/2013/03/05/dan-cohen-named-founding-executive-director-of-t...
http://www.dancohen.org/2013/03/05/the-digital-public-library-of-america...

 3月8日、EUの人文・芸術系研究インフラプロジェクトDARIAH(Digital Research
Infrastructure for the Arts and Humanities)への参加について、イタリアが覚
書(MoU)に署名をした。今後は、Consiglio Nazionale delle RicercheがDARIAH-IT
としての活動を行うことになる。
http://www.dariah.eu/index.php?option=com_content&view=article&id=289:it...
http://www.cnr.it/sitocnr/home.html

 4月8日は2013年の“Day of DH”(デジタル人文学の日)である。Digital
Humanities研究機関ネットワークであるcenterNetが主催し、ミシガン州立大学の
MATRIXがホスト役となって開催される。Day of DHは、Digital Humanitiesに関心を
持つ研究者がその当日の研究内容をブログで発信することで、「Digital Humanities
とは何か?」を参加者の活動全体から示すという目的がある。現在、参加登録受付
中である。
http://dayofdh2013.matrix.msu.edu/

○プロジェクト・ツール・リソース
Modern Language Associationの学術コミュニケーションプラットフォームMLA
Commonsにおいて、主に英語に関する近世期(1450年から1700年まで)のテキストや
文化を対象としたDigital Humanities研究を行うグループ“EMDC: The Early Modern
Digital Collaboratory”が結成された。研究者間のコミュニケーションやQ&A等が
目的とされる。

 また、MLA Commonsに関しては、3月5日に“Literary Studies in the Digital
Age”というオープンアクセスの論文集が公開されていることも付け加えておきたい。
編者はKenneth M. Price(ネブラスカ大学リンカーン校)とRay Siemens(ヴィクト
リア大学)の2人で、同書には文学研究におけるコンピュータ利用をテーマとした10
件の論文が掲載されている。読者にはコメントや論考の追加等が求められている。
http://commons.mla.org/groups/emdc-the-early-modern-digital-collaboratory/
http://acrl.ala.org/dh/2013/02/19/resource-mla-commons-the-early-modern-...
http://news.commons.mla.org/2013/03/05/literary-studies-in-the-digital-age/
http://dlsanthology.commons.mla.org/

 2月20日に、英Institute of Historical Research(IHR)が“Designing
databases for historical research”という歴史研究者向けの無料の研修教材を公
開した。歴史研究のためのデータベースの構築をテーマとしたもので、この教材は
“Building and using databases for historical research”(こちらは有料)の
第1モジュールとして位置づけられている。
http://www.history.ac.uk/research-training/courses/designing-databases
http://ihrprojects.wordpress.com/2013/02/20/designing-databases-for-hist...

 3月1日にTumblrで、そして15日にはWordPressで、“Postcolonial Digital
Humanities”というプロジェクトサイトが公開された。運営者は、Adeline Koh(リ
チャード・ストックトン大)と Roopika Risam(エモリー大学)の2人。デジタル空
間において白人優位の人種間格差があることを背景に、コロニアリズムや帝国主義、
グローバリゼーション批判と、人種や階級、ジェンダー、セクシュアリティ等に関
係した批判理論をDigital Humanitiesにもたらすのが狙いとされている。また、具
体的な取り組みの一つとして、マイノリティに関する記述が乏しいWikipediaの記事
を充実にする“The Rewriting Wikipedia Project”という活動も行っている。
http://dhpoco.tumblr.com/
http://dhpoco.wordpress.com/

 3月7日、キングス・カレッジ・ロンドンが、セルバンテスの演劇作品“La
entendida”のデジタル化・アノテーション版および英語翻訳版のウェブサイトを公
開している。
http://entretenida.outofthewings.org/index.html
http://www.kcl.ac.uk/artshums/depts/ddh/newsrecords/entretenida.aspx

 3月11日、スイスのチューリヒ工科大学図書館・バーゼル大学図書館・チューリヒ
中央図書館によって、“e-manuscripta”というデジタルアーカイブが公開された。
3館が所蔵している1400年から現代までの手稿史料について、キーワードやコレクシ
ョン種別(文書・書簡・楽譜・図版等)、文書作成場所、作成年代等で検索が可能
で、PDF形式でのダウンロードもできる。公開されている史料の中には、エラスムス
やアインシュタインの手書きの文書やワーグナーの楽譜等がある。
http://www.e-manuscripta.ch/
http://www.ub.unibas.ch/ub-hauptbibliothek/newsdetail/?no_cache=1&tx_ttn...

 3月14日、“DevDH.org”(Development for Digital Humanities)というリソー
スサイトのβ版が公開された。Jennifer Guiliano(メリーランド大人文学技術研究
所;MITH)とSimon Appleford(クレムソン大学サイバー研究所)の2人による。こ
のサイトには、Digital Humanitiesのプロジェクトを始める研究者向けに、どのよ
うにプロジェクトを始めればよいか、他のDigital Humanitiesプロジェクトやツー
ルをどのように見つければよいか、プロジェクトチームの結成方法や研究パートナ
ーをどのようにリクルートすればよいか等、いわばプロジェクトを進める上での実
務的な/手続き的な情報源がまとめられている。このリソースサイトは、2013年1月
6日から11日まで開催されたDigital Humanities Winter Instituteの講義を元に作
成されたものとのことである。

 一方、“DevDH.ort”の公開と同日、ノースウェスタン大学の学術コミュニケーシ
ョン&デジタルキュレーションセンター図書館員Josh Honnの作成によるウェブサイ
ト“A Guide to Digital Humanities”が公開された。これは“DevDH.org”とは別
タイプのリソース集で、Digital Humanitiesの意義や価値、方法論、ツール・リソ
ース集、研究助成や各種学協会の研究評価ガイドライン、Digital Humanitiesプロ
ジェクトや専門書/雑誌等がまとめられたものである。

 強引なまとめ方をすれば、“A Guide to Digital Humanities”がDigital
Humanitiesとは「何か」を知るためのもので、“DevDH.org”はDigital Humanities
とは「どのように」行うのかを知るためのもの、と言えるだろう。
http://devdh.org/
http://mith.umd.edu/dhwi/
http://sites.library.northwestern.edu/dh/

 ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの研究チームによって、英国植民地におけ
る奴隷所有者データベース“Legacies of British Slave-ownership”の作成プロジ
ェクトが進められている。Slave Compensation Commissionによる1830年代の奴隷所
有者統計をもとに作成されたもので、奴隷自身の情報は収録されていない。3月26日
には英国国立公文書館でこのデータベースに関するトークイベントが開催されると
いう。
http://www.ucl.ac.uk/lbs/
http://www.nationalarchives.gov.uk/news/819.htm

 3月(11日?)にイギリスの歴史研究者向けに、同国のオープンアクセスに関する
動向について情報提供を行うウェブサイトが公開された。運営はIHRによるものと思
われる。重要なレポートや政府文書、雑誌・新聞の記事やネット上の記事等の情報
がまとめられており、イギリスの歴史研究者ならずとも、有用なものと言えるだろ
う。
http://openaccess.blogs.sas.ac.uk/

○論文・学術雑誌・研究書
 2月21日に公開された人文社会科学系オープンアクセス電子書籍ポータルサイト“
OpenEdition Books”が、Digital Humanities関連図書9点を集めたコーナーを開設
している。“OpenEdition Books”は、フランスの国立科学研究センター(CNRS)や
社会科学高等研究院(EHESS)等4機関が共同運営するLe Centre pour l'e'dition
e'lectronique ouverte(Cle'o)によるもので、まとめられた9点の図書の多くはフ
ランス語のものとなっている。筆者としては、2012年9月に開催されたTHATCamp
Paris 2012の記録が興味深い。
http://books.openedition.org/392

 3月4日に刊行された雑誌History of European Ideasに、“The Use and Abuse
of the Digital Humanities in the History of Ideas: How to Study the
Encyclope'die”という論文が掲載されている。論文は、百科全書を対象にしたある
Digital Humanities研究が、先行研究を十分抑えていないことを痛烈に批判する内
容であり、また、このような“乱用”から将来の研究を守るためには、Digital
Humanitiesに積極的に関わっていく必要があるとしている。
doi:10.1080/01916599.2013.774115

 米National Council on Public Historyの雑誌“The Public Historian”の35巻
4号が刊行された。“The Public Historian”は、歴史学の成果を一般にわかりやす
く伝えるPublic Historyという研究・実践領域をテーマとした専門雑誌である。こ
の中に、William Bryansらによる”Imagining the Digital Future of The Public
Historian”、Anne Lindsayの“#VirtualTourist: Embracing Our Audience through
Public History Web Experience“といったDigital History関連の論文が掲載され
ている。
http://publichistorycommons.org/tph-toc-35/

 2013年3月付けで“Journal of the Text Encoding Initiative”第4号が刊行され
た。この号には、2011年にドイツのヴュルツブルク大学で開催された第11回TEIカン
ファレンスの論文が掲載されている。大会テーマが「デジタル時代の文献学」であ
ったことから、ゲーテの『ファウスト』や19世紀初頭のベルリンにおける手紙など
を介した知識人ネットワークを題材にした論文が収録されている。
http://jtei.revues.org/563

 雑誌「Visual Resources」29巻1-2号が、“Digital Art History”という特集を
組んでいる。芸術史におけるDigital Humanitiesを取り上げたもので、序文とあと
がきを含め14編の論考が掲載されている。
http://www.tandfonline.com/toc/gvir20/29/1-2

 “Subjecting History”がオープンレビューを開始している。“Subjecting
History”はTrevor R. Getz(サンフランシスコ州立大学)とThomas G. Padilla(
イリノイ大アーバナ・シャンペーン校)共編の研究書で、オハイオ大出版局から今
年秋の刊行が予定されている。同書は、研究がどのように過去を表わすのか、一般
市民の歴史認識とどのような関係を取り持ち、そして研究者の歴史表象が市民のそ
れを無視せずに行うにはどのような方法がありうるのか、をテーマとしている。
http://subjectinghistory.org/
http://publichistorycommons.org/subjecting-history-digital-open-review/
http://historyanddigital.tumblr.com/post/34370494660/subjecting-history

○レポート・報告書
 キングス・カレッジ・ロンドンのデジタル文献学研究プロジェクト“DigiPal”が、
3月5日に“Computation and Palaeography: Potentials and Limits (Dagstuhl
Perspectives Workshop 12382)”という報告書を刊行した。これは、2012年9月18日
から21日にかけてドイツで開催されたワークショップDagstuhl Perspectivesの記録
であり、ワークショップでは古代・中世の文献学・写本研究者とコンピュータサイ
エンティストが、今後の文献学研究におけるデジタル技術活用をテーマに議論が行
われたという。
http://www.digipal.eu/blogs/news/new-publication-computation-and-palaeog...
doi:10.4230/DagRep.2.9.184

特殊文字については次のとおり表記しました。
アクサン・テギュ:e'

Copyright(C)KIKUCHI, Nobuhiko 2013- All Rights Reserved.
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 続きは【後編】をご覧ください。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 配信の解除・送信先の変更は、
    http://www.mag2.com/m/0001316391.html
                        からどうぞ。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

◆人文情報学月報編集室では、国内外を問わず各分野からの情報提供をお待ちして
います。
情報提供は人文情報学編集グループまで...
       DigitalHumanitiesMonthly[&]googlegroups.com
                  [&]を@に置き換えてください。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
人文情報学月報 [DHM020]【前編】 2013年03月31日(月刊)
【発行者】"人文情報学月報"編集室
【編集者】人文情報学研究所&ACADEMIC RESOURCE GUIDE(ARG)
【E-mail】DigitalHumanitiesMonthly[&]googlegroups.com
                 [&]を@に置き換えてください。
【サイト】 http://www.dhii.jp/

Copyright (C) "人文情報学月報" 編集室 2011- All Rights Reserved.
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

Tweet: