ISSN 2189-1621

 

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DHM 051 【後編】

2011-08-27創刊                       ISSN 2189-1621

人文情報学月報
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄Digital Humanities Monthly

             2015-10-29発行 No.051 第51号【後編】 593部発行

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 ◇ 目次 ◇
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【前編】
◇《巻頭言》「計量文献学の可能性」
 (土山 玄:同志社大学研究 開発推進機構特別任用助教)

◇《連載》「西洋史DHの動向とレビュー
 -三大デジタルアーカイブのデータセット比較と近世全出版物調査プロジェクト」
 (菊池信彦:国立国会図書館関西館)

◇《連載》「Digital Japanese Studies寸見」第7回
 「資料を世界につなぐ:ウィキメディア・プロジェクトからの思いめぐらし」
  (岡田一祐:東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所)

【後編】
◇人文情報学イベントカレンダー

◇イベントレポート
「第26回European Association of Japanese Resource Specialists
 (日本資料専門家欧州協会)年次会」
 (田中あずさ:ワシントン大学図書館)

◇編集後記

◇奥付

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【人文情報学/Digital Humanitiesに関する様々な話題をお届けします。】
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◇人文情報学イベントカレンダー(□:新規掲載イベント)

【2015年10月】
■2015-10-26(Mon)~2015-10-31(Sat):
Annual Meeting of the TEI Consortium@Lyon
(於・仏国/Campus Berges du Rho^ne)
http://tei2015.huma-num.fr/en/

【2015年11月】
■2015-11-02(Mon)~2015-11-06(Fri):
iPRES 2015
(於・米国/University of North Carolina at Chapel Hill)
http://ipres2015.web.unc.edu/

■2015-11-10(Tue)~2015-11-12(Thu):
第17回 図書館総合展
(於・神奈川県/パシフィコ横浜)
http://www.libraryfair.jp/

□2015-11-28(Sat)~2015-11-29(Sun):
NDL lab「国立国会図書館のデータを使い尽くそうハッカソン」
(於・東京都/国立国会図書館 東京本館)
http://lab.ndl.go.jp/cms/?q=hack2015

【2015年12月】
■2015-12-01(Tue)~2015-12-02(Wed):
The 6th International Conference of Digital Archives and Digital
Humanities 2015 in Taipei
(於・台湾/National Taiwan University)
http://www.dadh.digital.ntu.edu.tw/en/index

□2015-12-18(Fri):
国文学研究資料館 歴史的典籍に関する大型プロジェクト
「歴史的典籍オープンデータワークショップ(アイデアソン)」
(於・京都府/メルパルク京都)
http://www.nijl.ac.jp/pages/cijproject/event20151218.html

■2015-12-19(Sat)~2015-12-20(Sun):
情報処理学会 人文科学とコンピュータ研究会
人文科学とコンピュータシンポジウム2015「じんもんこん2015」
「じんもんこんの新たな役割-知の創成を目指す文理融合のこれから」
(於・京都府/同志社大学 京田辺校地)
http://jinmoncom.jp/sympo2015/

Digital Humanities Events カレンダー共同編集人
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小林雄一郎(日本学術振興会特別研究員PD)
瀬戸寿一(東京大学空間情報科学研究センター)
佐藤 翔(同志社大学教育文化学科 助教)
永崎研宣(一般財団法人人文情報学研究所)

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◇イベントレポート
「第26回European Association of Japanese Resource Specialists
 (日本資料専門家欧州協会)年次会」
http://eajrs.net/
 (田中あずさ:ワシントン大学図書館)

 2015年9月16日から19日までオランダはライデンで第26回European Association
of Japanese Resource Specialists(日本資料専門家欧州協会)年次会が開催され
た。European Association of Japanese Resource Specialists(EAJRS)は1990年
以来、欧州の図書館員、キュレーター、研究者などで、日本研究資料の収集、普及、
利用をテーマに集まりを続けてきたようだ。筆者は米国の大学図書館で日本研究を
サポートする図書館員で、EAJRSには部外者なのではないかと参加をためらっていた。
しかし北米には図書館員と研究者が一同に会して日本研究資料について話し合う場
が殆どなく、EAJRSには密かに関心を持っていた。それに今年の開催地はシーボルト
が鎖国中の日本からの帰国後に住んだ街であり、ヨハン・ヨーゼフ・ホフマンがヨ
ーロッパで初めて日本研究科(在ライデン大学)を創設した土地であった事から、
プログラムにはシーボルトが持ち帰った品々が残るシーボルトハウスやライデン大
学図書館の見学が盛り込まれ魅力的であった。幸運な事に発表の機会を得ただけで
なく奨学金まで頂き今回の年次会に参加が叶った。

 今年は16カ国から125人の参加があったそうで、合計35あった発表は日本語か英語
で行われた。今年のテーマはBreaking barriers - unlocking Japanese resources
to the worldで、日本研究資料の共有や普及に特化した発表が目立った。例えば日
本におけるオープンアクセスや日本研究とデジタルスカラシップの状況や問題、日
本国内外で公開されている日本研究資料のデータベースの紹介があった。

 また、江戸時代の日本が西洋の技術や知識を学んだのが開催地オランダを通して
であった関係であろうか、江戸時代の日本と西洋をキーワードにした発表も見受け
られた。その中には17世紀の外交史料、蘭学関係資料、当時の欧州と日本の芸術交
流などをテーマにした発表があった。発表の要旨やスライドはEAJRSのサイトで公開
されている( http://eajrs.net/node/355 )。

 私がこの会議に米国から参加し、日本研究をサポートする図書館員の苦労(日本
語資料のディスカバリーツールへの導入など)は大陸が変わっても同じだと気付い
たと同時に、ひとことに日本研究と言っても、ところ変わればそのアプローチや使
う資料が随分異なるのだとも感じた。会期中ライデン大学図書館の貴重書室やシー
ボルトハウスではシーボルトが19世紀に日本から持ち帰った資料を見学させていた
だいた。米国の図書館にも勿論それより古い資料も所蔵されているが、それらは当
時の日本で収集したものではなく、後になって(恐らくは欧州からも)遡及収集し
たものだと考えられる。図書館所蔵資料の発表で米国からはイエール大学のLGBTQ資
料収集について報告があった。また、私自身も第二次世界大戦中に日本帝国軍が作
成した外邦図が戦後アメリカ陸軍地図局を経て大学図書館に配布された歴史につい
て発表した。僅か数日間ながら欧米の各機関所蔵の日本研究資料の紹介を受けると
北米のそれと異なる特色がある様に思え、地域ごとに収集資料の役割分担が変わる
のではないかと考え始めた。

 例えば、私が所属する図書館では江戸時代に出版されていた武鑑を多く所蔵して
おり、引き続き収集していた。しかしながら、武鑑は日本にもあるし、欧州にだっ
てあるはずだ。しかしながら、日本帝国軍から接収された外邦図はその多くが米国
にのみ存在する。またLGBTQ資料に関しては同性婚が合法になるような国での収集が
スムーズかもしれない。日本国外に存在する資料はこのように地域ごとに特色があ
って良いはずだと。

 しかし、日本研究資料が世界中に散らばっていても構わないと言うには資料のデ
ジタル化が欠かせない。日本から接収された外邦図が米国に、シーボルトが持ち帰
った幕府禁制の日本地図がオランダに存在する。勿論日本研究者が必要とする資料
で日本にしか存在しないものも山ほどある。「ユニオンカタログ」というキーワー
ドが会議中に何度も出たが、こうして各地に散在する資料がデジタルという形でひ
とところに集客されていれば、研究者の活動を何とも円滑にするに違いない。その
ためにも、この様な国際会議で世界中から研究者や資料収集スペシャリストが集ま
り、どこにどんな資料があるのか、似たような資料をどのように一つのカタログに
集約するのか、そして利用者のアクセスをどう提供するかなど情報共有と議論を続
けて行く事が懸命だろう。EAJRSはそうした議論のできる非常に貴重な場で、今回参
加の機会が得られた事に感謝したい。

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 配信の解除・送信先の変更は、
    http://www.mag2.com/m/0001316391.html
                        からどうぞ。

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◆編集後記(編集室:ふじたまさえ)
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 掲載本数としては控えめになりましたが、今回も中身についてはいつもと変わら
ない濃さがでていたように思います。巻頭言はじめ、ご寄稿いただいた皆さま、お
忙しいところにもかかわらずご協力ありがとうございました。

 特にイベントレポートで田中さんが指摘している「地域ごとの資料収集の役割分
担」という点について、日本と海外というだけでなくデジタル化によって報われる
のは、日本国内だけをみても同じはずと思いました。また、全てをデジタル化する
ことは不可能で、地域のためになるものを選ぶためにも、その地域の歴史的地理的
な特徴を理解することが必須なのだと改めて実感した次第です。

 岡田さんの連載で紹介されていたウィキメディア・プロジェクトの今後の動向に
も期待しつつ、デジタル化された資料の今後の「使い方」にも、検索して見るだけ
ではないたくさんの可能性が秘められているんだな、と思いました。

 次号もお楽しみに。

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います。
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人文情報学月報 [DHM051]【後編】 2015年10月29日(月刊)
【発行者】"人文情報学月報"編集室
【編集者】人文情報学研究所&ACADEMIC RESOURCE GUIDE(ARG)
【 ISSN 】2189-1621
【E-mail】DigitalHumanitiesMonthly[&]googlegroups.com
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