ISSN 2189-1621

 

現在地

DHM 030 【前編】

2011-08-27創刊

人文情報学月報
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄Digital Humanities Monthly

             2014-01-28発行 No.030 第30号【前編】 428部発行

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 ◇ 目次 ◇
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【前編】
◇《巻頭言》
「人文学を『分かる』」
 (美馬秀樹:東京大学工学系研究科/知の構造化センター)

◇《連載》「Digital Humanities/Digital Historyの動向
      ~2013年12月中旬から2014年1月中旬まで~」
 (菊池信彦:国立国会図書館関西館)

◇人文情報学イベントカレンダー

【後編】
◇イベントレポート(1)
PNC Annual Conference and Joint Meetings
Asian Network for GIS Studies: アジア歴史地理情報学会
 (清野陽一:人間文化研究機構本部)

◇イベントレポート(2)
シンポジウム「東洋学におけるテクスト資料の構造化とWebの可能性」(前半)
 (岩崎陽一:東京大学大学院人文社会系研究科特任研究員)

◇編集後記

◇奥付

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【人文情報学/Digital Humanitiesに関する様々な話題をお届けします。】
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◇《巻頭言》
「人文学を『分かる』」
 (美馬秀樹:東京大学工学系研究科/知の構造化センター)

 「分かる」とはどういうことか?語源としては「分ける」と同じとのことである。
つまり、「分ける」(分類する)ことが、「分かる」ことにつながる。通常、分類
するためには、特徴の抽出と比較(類を見つける)、加えて、抽象化(同類のグルー
プに対する命名)の過程が必須となる。

 古典的な動物分類は、その形態を特徴としたもので、例えば、ほ乳類は毛が生え
ている、鳥類は翼を持つなど、生物の表現系の比較により分類が行われてきた。言
わば、アナログな情報から、生物を「分かろう」としたわけである。曖昧さを含む
がゆえに、コウモリのような毛の生えた翼のある動物の分類を決めようとすると破
綻を来す。

 一方、現在の分子生物学(分子系統学)においては遺伝子の比較から、ほぼ決定
的にその分類を行うことが可能となっている。つまり、DNAの配列という、デジタル
な情報により個々の生物の特徴を捉えるのである。これにより、マンモスが、従来
考えられていたアフリカ象の類よりもアジア象の類に近いと決定されたのは有名な
話である。最近では、数万円で個人のDNA分析を行うサービスも出現しており、唾液
さえ送付すれば2ヶ月程度で自分のDNA配列の情報を得ることができる。倫理的には
問題があるが、病気の発現の可能性のあるグループ等、膨大で多様な人の特徴に対
して、その分類を短時間に決定することができる。

 では、人文学はと言うと、通常の人文学では多くが実験による実証が難しいため、
その中心が文献の読み込み、つまり、表現系からその本質を推することにある。し
かしながら、個人が、網羅的に関連する領域全ての文献を読み込むことは不可能に
近いために、その理解には主観が入る余地がある。これは、従来の動物分類同様ア
ナログに近い。他方、現在では、近年のコンピュータ科学の発展により、大量のテ
キストを短時間で分析し、特徴を比較することが可能となっている[1][2]。こ
れは、生物におけるDNAと同様、膨大な論文や書籍を短時間で分類可能なことを示し
ている。さらには、自然言語処理の高度化により、言葉の深い理解を自動で行うこ
とも実用の視野に入ってきた[3]。まさしくコンピュータを利用することで、「広
く」、「深く」、人文学を分かることができる状況にあると言える。

 注目すべきは、このようなデジタル化とICTを駆使することで、既存の全ての関連
文献を一気に読み込むことも原理的には可能であることだ。現に国立国会図書館で
は、近代デジタルライブラリーとして、既に30万件以上の文献がデジタル公開[4]
され、一部は全文テキスト化の実験[5]をしている。人の限界を超えて文献を読み
込むことは、人のみでは発見できなかった分類を、新たに発見できる可能性がある
ことを示している[6][7]。つまり、人以上に人文学を「分かる」可能性がある
のだ。これは、もちろん、新たな科学の領域へとつながる。抽象化の過程までをコ
ンピュータ処理のみで行うには、まだまだ時間がかかるであろうから、人が直感的
には理解できない分類となる可能性もあるが、人が「分かる」ために、このような
デジタル化による支援をいかに介するかに、当面の研究としての重要性がある。

 東京大学知の構造化センターでは、上記のような人文学に係る知の構造化を目指
し、文化的、公共的知識資源のデジタル化、高度な利活用技術の確立を目標とした、
文理融合による文化的価値創出の研究を推進している[8]。そこでのパイロットプ
ロジェクトである岩波書店『思想』の構造化プロジェクト[9][10]では、1921年
に創刊された岩波書店『思想』90年分(約1000号、約8600論文、約16万ページ)を
対象とし、電子化・構造化を行うことで、
a)『思想』という知の集積、分析により20世紀日本の哲学・思想史を明らかにする
 こと
b)分析結果の学部・大学院教育での活用の方法論構築を進めること、
及び
c)歴史的文献テキストの電子化に関する方法論を確立すること、
を目的とした研究を進めている。最新の研究成果では、高度なOCR技術と文献構造化
技術、及び最新の分析技術の統合により、家庭用のパソコンで、90年に及ぶ論文を2
週間ほどで「読み込む」ことが可能となっている。MIMAサーチ[11][12]による
構造化、可視化を駆使することで、一世紀に渡る膨大な著書や著者の自動分類によ
り新たな『思想』の理解が、日々、進められている。

[1]Hideki Mima, Sophia Ananiadou, An application and evaluation of the
C/NC-value approach for the automatic term recognition of multi-word units
in Japanese, Int. J. on Terminology 6/2, pp. 175-194, 2001.
[2]Hideki Mima, Sophia Ananiadou, Katsumori Matsushima, Terminology-based
Knowledge Mining for New Knowledge Discovery, ACM Transactions on Asian
Language Information Processing (TALIP), Vol.5 (1), pp. 74-88, March 2006.
[3]Sumire Uematsuy, Takuya Matsuzakiz, Hiroki Hanaokay, Yusuke Miyaoz,
Hideki Mima, “Integrating Multiple Dependency Corpora for Inducing
Wide-coverage Japanese CCG Resources”, In Proceedings of The 51st Annual
Meeting of the Association for Computational Linguistics(ACL 2013),
National Palace of Culture, Sofia, Bulgaria, 2013.
[4]国立国会図書館近代デジタルライブラリー
http://kindai.ndl.go.jp/ja/aboutKDL.html#aboutKDL1_1
[5]国立国会図書館全文テキスト化実証実験
http://www.ndl.go.jp/jp/aboutus/digitization_fulltextreport.html
[6]美馬秀樹,“知の構造化による工学教育の可視化・構造化と教育社会学への適
用”,日本教育社会学会第64回大会 課題研究II「教育社会学教育のあり方を問う」
,2012.
[7]中村雄祐,鈴木親彦,“文化資源学の射程-人文情報学のアプローチによる分
析”, http://www.l.u-tokyo.ac.jp/CR/acr/kenkyukai/kenkyukai24.html
[8]東京大学 知の構造化センター
http://www.cks.u-tokyo.ac.jp/
[9]美馬秀樹,丹治信,増田勝也,太田晋,“近代文献のデジタルアーカイブ化と
テキストマイニング―岩波書店「思想」を題材に”,情報処理学会第95回 人文科学
とコンピュータ研究会発表会,2012年8月.
[10]「思想」の構造化プロジェクト
http://www.cks.u-tokyo.ac.jp/p1.html
[11]東京大学工学部・工学系研究科シラバス構造化システム(MIMAサーチ)
http://mimasearch.t.u-tokyo.ac.jp/
[12] 東京大学授業カタログ
http://catalog.he.u-tokyo.ac.jp/

執筆者プロフィール
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美馬秀樹(みま・ひでき) 徳島大学工学研究科システム工学専攻修了。博士(工学
)。(株)ジャストシステム研究員、ATR音声翻訳通信研究所 研究員、英国マンチ
ェスターメトロポリタン大学講師、東京大学大学院理学系研究員、同工学系助手を
経て同工学系特任准教授。IPA未踏ソフトウェア天才プログラマ認定、The
international Daiwa Adrian

Copyright(C)MIMA, Hideki 2014- All Rights Reserved.
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◇《連載》「Digital Humanities/Digital Historyの動向
      ~2013年12月中旬から2014年1月中旬まで~」
 (菊池信彦:国立国会図書館関西館)

 前号に引き続き、2013年12月中旬から2014年1月中旬までのDigital Humanities/
Digital Historyに関する動向をまとめた。

○新聞・ブログ記事
 2013年12月13日、アメリカ議会図書館(LC)のブログに“Mapping the Movement
of Books Using Viewshare: An Interview with Mitch Fraas”という記事が掲載さ
れた。記事はペンシルバニア大学の研究者Mitch Fraasへのインタビューをまとめた
もので、FraasはLCが開発したViewshareというソフトウェアを使い、1930年から40
年代の図書館所蔵資料の動きをマッピングした記事を、10月に自身のブログで公開
し話題となっていた。
http://blogs.loc.gov/digitalpreservation/2013/12/mapping-the-movement-of...
http://mappingbooks.blogspot.jp/2013/10/library-markings-from-looted-boo...

 2014年1月6日付のThe Chronicle of Higher Educationに、“How the Humanities
Compute in the Classroom”という記事が掲載されている。主にアメリカの大学の
学部生に対するDH教育を論じたもので、多数の事例が登場している。
http://chronicle.com/article/How-the-Humanities-Compute-in/143809/

 パブリックヒストリーに関する情報サイトHistory@Workに、“Digital Sandbox:
Building a community of digital humanists”という記事が掲載されている(1月
10日付)。Indiana UniversityとPurdue University Indianapolisにおける
“Digital Sandbox”というイベントを紹介したもので、これは両大学の人文系の学
生自らが企画運営するDHトレーニングの取組みだという。
http://publichistorycommons.org/digital-sandbox-building-a-community-of-...
http://iupuidh.wordpress.com/

 1月14日、AMeeTに、京都府立創造資料館の福島幸宏による「京都府立総合資料館
の取り組み 京都-日本のデジタルアーカイブのハブを目指して」という記事が掲載
された。2006年の新館開設を目指す同館のデジタルアーカイブプロジェクト等が紹
介されている。
http://www.ameet.jp/digital-archives/digital-archives_20140114/

○イベント・出来事
 12月16日、米国歴史家協会(Organization of American Historians)の理事会が
博士論文のエンバーゴに関する声明を発表した。同理事会は、博士論文の刊行や流
通の方法を決定する著作者としての若手研究者の権利を強く支援すると述べている。
http://www.oah.org/about/governance/oah-executive-board/oah-executive-bo...

 12月20日、国際的なDH組織であるADHOが、会員の新カテゴリを設定した。機関誌
である“LLC: The Journal of Digital Scholarship in the Humanities”の購読資
格はなく、会員登録のみというカテゴリとのこと。また、いわゆる低所得の国々の
研究者の会員登録料が低く設定された。
http://www.adho.org/announcements/2013/adho-announces-members-only-rates

 ADHOのニュースにはさらに次の2つがある。1月4日、ADHOは新たなSpecial
Interest Group(SIG)として、Linked Open Data(DH-LOD)の結成を発表した。
http://adho.org/announcements/2014/adho-announces-new-sig-linked-open-data

 また、同日、年次大会で参加者に求められる行動規範(Code of Conduct)を作成
し、公表している。
http://www.adho.org/announcements/2014/adho-announces-new-conference-cod...

 2014年1月2日から5日にかけて、米国歴史学協会の年次大会がワシントンD.C.で開
かれ、うちデジタルヒストリーに関するセッションは13件開催された。その後1月14
日にはその中のプレカンファレンスワークショップである“How to Get Started in
Digital History”の動画が公開されている。
http://www.historians.org/publications-and-directories/perspectives-on-h...
http://blog.historians.org/2014/01/now-available-video-coverage-aha-2014/

 また、1月9日から12日にかけて、シカゴでModern Language Associationの年次大
会が開催された。こちらでもDHに関するセッションが多数開催されている。
http://www.mla.org/convention/convention_services
http://www.samplereality.com/2013/09/19/digital-humanities-at-mla-2014/

 1月7日、国立国会図書館は、一般社団法人日本出版者協議会及び大蔵出版株式会
社から『大正新脩大蔵経』(全88巻)ほかのインターネット提供の中止を求める申
出を受けた件に関し、その後の対応について報告文書を公表した。
http://www.ndl.go.jp/jp/news/fy2013/report140107.html

 1月24日にはこの問題に関し、京都大学人文科学研究所共同研究班「人文学研究資
料にとってのWebの可能性を再探する」が主催となり、「緊急シンポジウム:近デジ
大蔵経公開停止・再開問題を通じて人文系学術研究における情報共有の将来を考え
る」が開催される。
http://kanji.zinbun.kyoto-u.ac.jp/~nagasaki/daizokyo2014.html

 1月15日、大規模データ解析を活用した人文・社会科学研究助成プログラムである
“Digging into Data Challenge 2013”の助成対象14チームが発表された。
http://www.diggingintodata.org/Home/AwardRecipientsRound32013/tabid/201/...
http://www.neh.gov/news/press-release/2014-01-15

○プロジェクト・ツール・リソース
 12月17日、オーストリア国立図書館が第一次世界大戦100周年記念に関するプロジ
ェクトを発表した。Europeanaでの75,000タイトルの資料公開や新聞史料のデジタル
化提供等が計画されている。
http://www.onb.ac.at/services/presse_22277.htm

 第一次世界大戦に関してはさらに2つの動きがあった。1月11日、第一次世界大戦
のアイルランドの戦死者の記録がデジタル化公開されたこと、1月14日には英国国立
公文書館が、第一次世界大戦時、西部戦線に投入された兵士の日誌をデジタル化公
開し、併せて、クラウドソーシングでタグ付けを行うプロジェクトサイト
“Operation War Diary”も公開した。
http://www.centenarynews.com/article?id=1349
http://imr.inflandersfields.be/search.html
http://www.nationalarchives.gov.uk/news/905.htm

 なお、筆者のブログでは、第一次世界大戦に関するDHプロジェクト等のまとめ記
事を掲載している。
http://historyanddigital.wordpress.com/wwi/

 12月20日、「データカタログサイト」の試行版が公開された。日本の各府省の保
有データをオープンデータとして利用できる場をつくり、データの提供側・利用側
双方にオープンデータのイメージを分かりやすく示すことを目的として開設された
もの。
http://www.data.go.jp/

 12月22日、リッチモンド大学のDigital Scholarship Labが、1932年にCharles O.
Paullin とJohn K. Wrightが著した“Atlas of the Historical Geography of the
United States”のデジタルエディション版のサイトを公開した。700点近い歴史地
図を収録している。
http://dsl.richmond.edu/historicalatlas/
http://dsl.richmond.edu/?page_id=141

 12月26日、京都大学地域研究統合情報センターと首都大学東京の研究グループが
“Aceh Tsunami Archive”を公開した。2004年の同日に発生した「インド洋大津波」
に関するもので、GoogleEarthで津波災害を生き延びた被災者たちの証言や被災直後
から集められていた写真、世界から現地に届いた支援の手をあらわす光の線などが
閲覧できる。
http://aceh.mapping.jp/
http://www.huffingtonpost.jp/hidenori-watanave/2004_b_4502209.html
http://current.ndl.go.jp/node/25179

 12月25日に、明治学院大学図書館が「聖書和訳デジタルアーカイブス」を公開し
た。同館が所蔵する聖書和訳に関連する資料について、32,000枚を超えるデジタル
画像として公開したもの。
http://www.meijigakuin.ac.jp/mgda/bible/
http://current.ndl.go.jp/node/25172

 1月1日、正当に評価されていないレアな史料をウェブに掲載するHistory Leaksと
いうサイトが公開された。センシティブなあるいは機密文書を暴露するようなサイ
トではなく、パブリックドメインとなった史料のみを扱うものという。
http://historyleaks.wordpress.com/2014/01/01/the-history-leaks-manifesto/
http://histi3.commons.yale.edu/2014/01/01/history-leaks/

 1月4日、クリーヴランド州立大学のCenter for Public History & Diigital
Humanitiesが、20世紀のアフリカ系アメリカ人のオーラルヒストリーを紹介するツ
アーアプリ“African American tour”をリリースした。
http://csudigitalhumanities.org/2014/01/new-african-american-history-app...
http://clevelandhistorical.org/tour-builder/tours/show/id/43#.UssS-PRSYcI

 1月8日、Europeanaが3つの新機能を公開した。1つ目はコンテンツの利用に係る制
限を今までよりも容易にチェックできる“Can I use it?”という機能、2つ目は
Europeanaのプラットフォーム上で動画や音声を再生できる機能(これまではコンテ
ンツ提供先の機関サイトまで遷移する必要があった)、3つ目は検索ウィジェットの
機能改善だという。
http://blog.europeana.eu/2014/01/new-features-for-europeana/

 1月7日、岩波デジタルアーカイブスが公開された。過去に開催された「岩波の文
化講演会」と「岩波市民講座」の講演、講義記録を公開するというもので、1月公開
分は、網野善彦氏の「日本中世の平民と職人」、大野晋氏の「語学と文学の間」、
遠山茂樹氏の「近代天皇制の成立過程」、中尾佐助氏の「イモの文化とイネの文化」
となっている。
http://www.iwanami.co.jp/museum/archives/index.html
http://current.ndl.go.jp/node/25224

 2012年に始まったTufts大学のプロジェクト“LiAM: Linked Archival Metadata”
のリソースサイトが公開されている。アーカイブ資料のメタデータをLinked Dataと
するためのツールやそれに関するウェブサイト等の情報がまとめられている。
http://digitalhumanitiesnow.org/2014/01/resource-liam-lists/

○論文・学術雑誌・研究書
 12月17日、Journal of Digital Humanitiesの2(3)が刊行された。時間と場所に
制限のあるカンファレンスでの研究報告を、オープンなウェブ空間により広い読者
/聴衆に提供する試みがテーマとされている。なお今号からは、DH2013でのポスター
報告も紹介されており、その中には大矢一志(鶴見大)の報告もある。
http://pressforward.org/2013/12/journal-of-digital-humanities-2-3-local-...

 Association of Research Librariesが“Research Library Issues”第284号を刊
行した。このなかで、アンドリュー・W・メロン財団のDonald J. Watersが、“An
Overview of the Digital Humanities”という論文を寄せている。
http://publications.arl.org/rli284/3
http://current.ndl.go.jp/node/25118

 オランダやベルギー史に関する雑誌“BMGN - Low Countries Historical Review”
の最新号(vol.128, No.4, 2013)が、デジタルヒストリーの特集を組んでいる。
http://www.bmgn-lchr.nl/index.php/bmgn/issue/view/515/showToc

 Association of College & Research Libraries(ACRL)の刊行する“College
and Research Libraries(C&RL)”の75(1)に、Sarah Buck Kachalubaらによる記事
“Developing Humanities Collections in the Digital Age: Exploring
Humanities Faculty Engagement with Electronic and Print Resources”が掲載さ
れている。人文学分野の研究者が紙媒体と電子媒体の資料をどのように使用し、そ
れぞれの長所と短所をどのように認識しているのかについて量的・質的な側面から
行った調査が報告されているとのこと。
http://crl.acrl.org/content/75/1/91.abstract
http://current.ndl.go.jp/node/25237

 1月、デジタルヒューマニティーズの専門誌『DHjp』が、勉誠出版より刊行予定と
なっている。
http://bensei.jp/index.php?main_page=product_book_info&cPath=9_29&produc...

○レポート・報告書等
 American Association of University Professors(AAUP)が、学術コミュニケー
ション等をテーマとしたレポート“Academic Freedom and Electronic
Communications”のドラフト版を公開した。2004年に刊行された同名のレポートの
後継にあたるもので、研究者のソーシャルメディアの取組みや研究・教育における
ウェブの利用等といった研究環境を取り巻くデジタル環境、そしてそれに関わる連
邦情報公開法もテーマとされている。1月10日までコメントが募集されていた。
http://www.aaup.org/report/academic-freedom-and-electronic-communication...
http://blog.historians.org/2013/12/new-report-academic-freedom-electroni...

 1月10日、DARIAH-EUが、人文社会科学系の研究インフラを特集したニュースレター
を刊行した。欧州委員会「デジタルアジェンダ」のNelie Kroesのインタビュー記事
があるほか、DARIAHやCLARIN、ESS等の研究インフラの紹介記事も掲載されている。
http://dariah.eu/news/articles/details.html?tx_news_pi1%5Bnews%5D=121&tx...

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◇人文情報学イベントカレンダー(■:新規掲載イベント)

【2014年2月】
□2014-02-08(Sat):
第3回 知識・芸術・文化情報学研究会
(於・大阪府/立命館大学 大阪梅田キャンパス 大阪富国生命ビル)
http://d.hatena.ne.jp/JADS/20130928/1380319085

■2014-02-08(Sat):
TUG 2013チュートリアルを日本語で聞く会
(於・東京都/国立国語研究所)
http://tug.org/tug2013/jp/followup.html

【2014年3月】
□2014-03-18(Tue)~2014-03-21(Fri):
Australasian Association for Digital Humanities(aaDH)2014
(於・豪洲/University of Western Australia)
http://dha2014.org/

□2014-03-25(Tue)~2014-03-28(Fri):
the first annual conference of the Association of Digital
Humanities in the German speaking countries(DHd 2014)
(於・ドイツ/University of Passau)
http://www.dhd2014.uni-passau.de/

【2014年4月】
□2014-04-19(Sat)~2014-04-20(Sun):
Soseki's Diversity
(於・米国/University of Michigan Ann Arbor)
http://wwwqa.lsa.umich.edu/cjs/ssekisdiversitysymposium_ci

Digital Humanities Events カレンダー共同編集人
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小林雄一郎(日本学術振興会特別研究員PD)
瀬戸寿一( 東京大学空間情報科学研究センター)
佐藤 翔(同志社大学教育文化学科 助教)
永崎研宣(一般財団法人人文情報学研究所)

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 続きは【後編】をご覧ください。

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 配信の解除・送信先の変更は、
    http://www.mag2.com/m/0001316391.html
                        からどうぞ。

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◆人文情報学月報編集室では、国内外を問わず各分野からの情報提供をお待ちして
います。
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人文情報学月報 [DHM030]【前編】 2014年01月28日(月刊)
【発行者】"人文情報学月報"編集室
【編集者】人文情報学研究所&ACADEMIC RESOURCE GUIDE(ARG)
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