◇「無形文化財における「らしさ」を未来へ残す」
(阪田真己子:同志社大学)
●自分史の身体化:ハビトゥス
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歩き方、話し方、箸の持ち方、ご飯の食べ方、くしゃみの仕方、、、私
たちは他者の何気ない振る舞いを見て、優雅さや粗暴さを感じとること
があります。時には、その振る舞いから、人となりや育ちを想像するこ
ともあります。社会学者のピエール・ブルデューは、このように人の何
気ないしぐさや日常の行動に組み込まれた習慣を「ハビトゥス」という
言葉で説明しました。
ハビトゥスとは、ブルデューによる用語で「社会的に獲得された性向の
総体」を意味します。手の大きさや足の長さ、顔つきなど身体の形状、
容貌がある程度生得的に決定づけられている一方で、ハビトゥスは、後
天的に獲得される性向です。
例えば、生まれつきの足の長さは変えられなくても、その足で「どのよ
うに歩くか」は意識すれば変えることができます。また、顔は整形手術
でもしない限り変えることは出来ませんが、話をするときや歌を歌うと